12月第3週調達サマリー

国内最大級の成長産業領域向け情報プラットフォーム「STARTUP DB」。1万2000社を越える企業の情報を保有するSTARTUP DBのデータを元に、注目のスタートアップの資金調達情報をサマリ形式で紹介する。今回は12月3週の注目資金調達情報だ。

五常・アンド・カンパニー

  • 調達額:27億2000万円
  • 合計資金調達額:148億1700万円
  • 調達先:第一生命保険 / 丸井グループ / アストマックス・ファンド・マネジメント / Beyond Next Ventures / GMO Venture Partners / リコーリース
  • 備考:シリーズDの調達金額は総額で70億7000万円 / 他複数の機関投資家及び個人投資家を含む / アストマックス・ファンド・マネジメントは東京理科大学ベンチャーファンドを通じて出資

新興国向け小口融資サービスを展開するスタートアップ。

世界中の新興国で低価格かつ高品質な金融サービスの提供を目指して事業を行っている。同社は現地国企業の買収・設立を通じて世界中にマイクロファイナンス子会社をもち、各国での適切な経営のもと、質の高いサービスと従業員を育て、事業を拡大している。同社は各国のマイクロファイナンス機関の持株会社の形態をとっており、パートナーの選定にも力を入れて着実に展開を進めてきたことで、質の高いサービスの提供を実現している。創業以来、30日以上延滞率は1%未満と貸付債権の質を維持しながら、年率200%以上のペースで事業を成⻑させた。

2020年12月には第一生命保険、丸井グループ、アストマックス・ファンド・マネジメントからの追加出資に加え、リコーリース、Beyond Next Ventures、GMO VenturePartnersなどを新規投資家として迎え入れ、合計27億2000万円をシリーズDとして調達した。この調達でシリーズDの累計資金調達金額は70億7000万円となった。

FABRIC TOKYO

  • 調達額:13億5000万円
  • 合計資金調達額:36億1200万円
  • 調達先:D2C&Co. / Takram / ポーラ・オルビスホールディングス / 児玉昇司 / 千葉道場 / 富島寛 / 小泉文明
  • 備考:J-KISS型新株予約権の行使 / デットファイナンス等を活用した調達 / その他個人投資家、事業会社を含む

D2Cカスタムオーダーアパレルブランド「FABRIC TOKYO」の提供を行っているスタートアップ。

FABRIC TOKYOは、カスタムオーダーのスーツやシャツなどを作れるD2C(Direct to Consumer)サービスである。従来のアパレル業界では、実際に試着したり、値段を複数の店舗で確認したりなど、服を買うのにわざわざ店舗を回らなければならず、またオーダーメイドと言えば高額で富裕層向けの印象が強かった。同社はこうした旧来のアパレル業界に、テクノロジーを導入し、カスタムオーダーをより身近にすることで変革を起こすことに挑戦している。同社のサービスを利用すれば、店舗で採寸をするだけで、オンラインでオーダーが可能である。また、2回目以降はスマホやPCからそのデータをもとに簡単に注文することが可能になる。こうしたサービスを提供することで、だれもが簡単にオンラインで体にフィットした洋服を購入することができる環境を生みだしている。

2020年12月にはD2C&Co.、ポーラ・オルビスホールディングス、千葉道場ファンド、Takram、小泉文明氏、児玉昇司氏、富島寛氏及びその他個人投資家、複数の事業会社を引受先に資金調達を実施。本調達により商品企画・開発及びテクノロジーへの投資に主に充てる予定で、事業の提供価値をより一層強化し、顧客及び取引先工場へ還元していく方針。

クラッソーネ

  • 調達額:8億円
  • 合計資金調達額:9億4900万円
  • 調達先:Bonds Investment Group / JICベンチャー・グロース・インベストメンツ

解体工事の一括見積もりWebサービス「くらそうね」を開発・運営するスタートアップ。

くらそうねは、解体を希望する施主と工事会社のマッチングサービスで、複数の解体工事会社による見積もり予想金額の算出をAIによって自動化した国内初のサービスだ。Web上で約10項目の物件情報を選択し、郵便番号と電話番号を入力するだけで、価格予測AIが工事会社の予想金額を最短1分で算出し、最大10社分の見積もり予想金額を確認できるほか、工事会社の口コミや定量的な評価も確認が可能。解体工事における不安点や疑問点などを専門スタッフへ相談でき、見積もり内容の相談から工事完了までを一気通貫でサポートしてくれるのも特徴だ。

2020年12月には、JICベンチャー・グロース・インベストメンツ、Bonds Investment Groupを引受先とする第三者割当増資により、総額約8億円の資金調達を実施。これにより、くらそうねのブランド認知拡大や開発体制の強化を推進し、事業拡大していく方針。

モノカブ

  • 調達額:4億5000万円
  • 合計資金調達額:6億7000万円
  • 調達先:Gunosy Capital / W ventures / YJキャピタル / アカツキ / ユナイテッド
  • 備考:アカツキはHeart Driven Fundを通じて出資

スニーカー特化型CtoCマーケットプレイス「モノカブ」を提供するスタートアップ。

「モノカブ」とは個人間で新品の商品を売買できるプラットフォームで、取引時に全ての商品をモノカブが鑑定することで偽物を排除できる仕組み。同サービスは偽物の流通データベースを独自に保有している鑑定士が実物をチェックし、購入者が安心して購入できるシステムを採用している。また、取引を仲介して確実な透明化を実現し、購入者・販売者共に“指値”ができる板寄せ方式のシステムを採用し、価格の適正化がされる。これらの特徴により利用者は安心して売買ができる仕組みとなっている。

2020年12月にはGunosy Capital、ユナイテッド、アカツキ、YJキャピタルおよびW venturesを引受先とする、総額4億5000万円の第三者割当増資を実施した。この調達資金はモノカブの価値提供の中心である鑑定および配送やCSなどオペレーション強化に活用する方針だ。

DAIZ

  • 調達額:1億円
  • 合計資金調達額:15億1000万円
  • 調達先:味の素

植物肉(Plant-based Meat)の開発・販売を手がけるスタートアップ。

2050年までに地球上の人口は100億人に達すると予測されており、それに伴い2030年頃に訪れると予測されている“タンパク質危機”、“食肉価格の高騰”に対して植物肉の提供を通じて貢献をしていく。同社は大豆の代謝に注目した独自の栽培方法である“落合式ハイプレッシャー法"を用いて植物肉(ミラクルミート)の開発を行っている。一般的な植物肉は穀物の大豆を利用しているが、同社の提供している植物肉は芽を出して植物になった瞬間の大豆を利用しているため、アミノ酸やビタミン等の栄養分を多く含んでいる。これまで植物肉において課題とされていた“栄養不足”、“大豆特有の異風味”を独自の製法で解決している。

2020年12月には兼松、丸紅との資本業務提携を締結した。この提携より、両社それぞれの強みを活かし、国内外へ販路拡大を図っていく予定だ。また、同月には味の素より1億円の資金調達を実施。この調達を通し、今後植物性たんぱくの研究や販売も行なう方針だ。