Photo:saulgranda/Getty Images
Photo:saulgranda/Getty Images

ビジネス書や小説を読んだり、NetflixやAmazon Prime Videoでドラマや映画を見たり──年末年始はゆっくり読者やコンテンツを楽しむ時間に充てよう、と考えている人も多いのではないだろうか。とはいえ、数多ある書籍やコンテンツの中で何が面白くオススメなのか、分からずにいる人も多いはずだ。

今回、DIAMOND SIGNAL編集部では起業家たちにアンケートを実施。2020年に読んで良かったと思う本、漫画、コンテンツを聞いた。掲載は五十音順。

React共同代表 青木穣氏

「ザ・ファブル」(講談社)

理由:主人公の妹役のヨウコがタイプすぎるからです。

ミラティブ代表取締役CEO 赤川隼一氏

「悲しみとともにどう生きるか」(集英社新書)

理由:2020年に深く響く、生々しい金言がたくさんある本。

「愛するということ 新訳版」(紀伊國屋書店)

理由:新訳が発売された名著。「愛の基本的要素は配慮、責任、尊重、知」。

「現代経済学の直観的方法」(講談社)

理由:資本主義が原理から理解できる目から鱗の本。

franky代表取締役CEO 赤坂優氏

YouTubeのさまざまなチャンネル

理由:色々な職業の方々のルーティン動画を視聴しています。例えば、OL・就活生・トラック運転手など。社会の勉強になっていると感じています。

Hotspring代表取締役 有川鴻哉氏

「ペスト」(新潮文庫)

理由:不条理文学の代表作「ペスト」が、コロナ禍においてとてつもないリアリティを発揮しており、読みごたえがありました。とてつもない不条理と直面したときに様々な人間がそれぞれの人生と思惑の中でどう動くのか、まさに今読むべき一冊です。今読むべき一冊とか言いましたが、今年はこれと佐俣アンリさんの「僕は君の「熱」に投資しよう」の二冊しか本を読んでいません......。

「マイホームヒーロー」(講談社)

「ミステリと言う勿れ」(小学館)

理由:漫画に関しては、この2つを夢中で読みました。あと、ずっと読んでいる『ちはやふる』もいよいよ面白いところになってきましたね。

ヤプリ代表取締役CEO 庵原保文氏

「天才の頭の中: ビル・ゲイツを解読する」(Netflix)

理由:いま、IT業界で飯を食えているのはビル・ゲイツやスティーブ・ジョブスのような産業を作った人のおかげ。そのような偉人が、今なにをやっているのか、地球のどこに巨大な課題を感じているのかがわかりました。IT以上に、人々の健康や当たり前の生活をできるインフラ作り、こういった生きるためのインフラに投資しているビル・ゲイツはやっぱり凄すぎるなと思いました。

YOUTRUST代表取締役 岩崎由夏氏

「CRISPR (クリスパー) 究極の遺伝子編集技術の発見」(文藝春秋)

理由:2020年のノーベル化学賞を受賞した、遺伝子編集技術の開発者による著書です。遺伝子編集はこの発明により、高校生にでも扱えるほどの技術になっているのですが、そこに至るまでの開発経緯はもちろん、この技術がもたらしうる世界への負の影響を想定し、今後の技術利用について倫理的警鐘を鳴らす本です。

私は学生時代、遺伝子の勉強をしていたのですが、10年も経たないうちに遺伝子編集はもうここまで来たのかと、とても驚きました。また驚いたと同時に、かつてのダイナマイトがそうだったように、科学者が未来のために開発したはずのものが世界を悪い方向に変えてしまう可能性も秘めている技術なので、自分もどう扱うべきなのかと思わず一緒に考えてしまう本でした。

FinT代表取締役CEO 大槻祐依氏

「スタートアップ: 夢の扉」(Netflix)

理由:Netflixの韓国ドラマにハマっています。特に仕事柄なのか「スタートアップ」にハマりました。Netflixで配信されている作品をきちんと視聴したのはこれが初めてですが、コンテンツがかなり作り込まれていることに驚きました。

これからもっと動画コンテンツが充実してくるのではないでしょうか。こうしてネットにコンテンツが流れてくることによりお金が流れてきますし、テレビとYouTubeなどのコンテンツの差がなくなると思いました。

SYN代表取締役CEO 大見周平氏

「Will Money Increase Subjective Well-Being?」(論文)

「菊と刀」 (講談社学術文庫)

「武士道」(PHP文庫)

「ウェルビーイングの設計論」(ビー・エヌ・エヌ新社)

「行動を変えるデザイン」(オライリージャパン)

理由:Well-being系の本は雑多に色々読みました。コロナ禍で各個人が人生観・幸福観を強制的に問われ、生活が一部リセットされる中で「人生において何が大事か」という問いの重要度が増した1年だったと思います。

サービス提供者も、そもそも幸せとは? 日本ならではの幸せとは? それをどう提供すべきか?について詳しくなるのは大事と思って以下のような本は読んで良かったです。

ポジウィル代表取締役 金井芽衣氏

「実力を100%発揮する方法」(ダイヤモンド社)

理由:「実力を100%発揮する方法」というポジティブ心理学の本がめちゃくちゃ良かったです(実際に弊社内でも大流行し、ユーザーさんにも進めています)。

生きていると不意に湧き上がってくる自己否定の正体についてを擬人化し、その解消法について記載があるのですが行きづらさを抱えている現代人にとっては、とても良いTipsが散りばめられてます。

ヘイ代表取締役社長 佐藤裕介氏

「無形資産が経済を支配する」(東洋経済新報社)

理由:格差・自尊心の拡大や分断、低金利化での長期停滞を無形資産の増大という観点から捉える一冊です。単に会計上の話なだけでなく、資本なき資本主義の特性が、現代のさまざまな社会的課題につながっていく視点を非常に面白く読みました。

またこの価値計測、評価が非常に難しい無形資産について、SaaS企業を評価するメトリクスのようなものが発明されることで不確実性を読みやすくし、投資活性化を促していくことが重要であると感じました。

Mr. CHEESECAKE代表取締役 田村浩二氏

「ブリッツスケーリング」(日経BP)

理由:スタートアップの世界に入って戦う中で、どのように成長していけば良いのか? 時代の流れを掴み、そして離さないためには圧倒的に成長するしかない。そんな当たり前のことを改めて心に刻めた大切な1冊です。

「トヨタの現場力」(KADOKAWA)

理由:もの作りの会社として学ぶべきことしかなかった1冊。日本が世界に誇る企業の考えを少しでも学べたのはとても貴重な時間でした。

さくらインターネット代表取締役社長 田中邦裕氏

「あふれでたのはやさしさだった」(西日本出版社)

理由:技術がいくら進もうとも、いくら成長しようとも、本質的に重要なのは自分がここにいていいんだと思える気持ちだと感じました。

『「超」入門失敗の本質』(ダイヤモンド社)

理由:なぜそういう失敗をしてしまうのか、1980年代後半に書かれたものが、失敗の本質ですが、それを読みやすく解説したもので、原著ととともに見ると、理解が深まります。

グッドパッチ代表取締役社長 土屋尚史氏

「ネット興亡記」(日本経済新聞出版)

理由:インターネットが登場してからの約30年間、IT業界のストーリーを余すところなく書いており700ページを超える分厚さですが、ネットの歴史と起業家マニアの俺としてはたまらない内容でした。大枠で知っていた内容が当事者のインタビューと共に語られ、少し解像度が高くなったのと、何より裏側の様々な人間模様のドラマに胸を打たれました。日本のインターネットの歴史が詰まっている一冊です。

「呪術廻戦」(集英社)

理由:漫画は、鬼滅の刃も読みましたが、2020年後半にアニメとともに呪術廻戦にハマりました。いま一番おすすめの漫画です。主人公ではないのですが五條悟という圧倒的な強さを誇るキャラクターに、女性としてではなく男性としても惚れ込んでいます。

「梨泰院クラス」(Netflix)

理由:作品のストーリーは検索してみてもらえたらと思いますが、どちらかというと敵役であるユ・ジェミョン(チャン・デヒ役) に感情移入をして観ていました。

バルクオム代表取締役CEO 野口卓也氏

「ブリッツスケーリング」(日経BP)

理由:小さくまとまってしまうと思われがちな日本のスタートアップに足りないもの、その具体的な中身がわかったように感じました。「必ずするとわかっている大怪我」を覚悟して一気に踏み込む覚悟とスピード感を、まずは頭で習得できるエポックな一冊です。

KOHKOH代表取締役社長 ハヤカワ五味氏

「愛の不時着」(Netflix)

ベタですが愛の不時着ですかね…。理由はちゃんとあって、愛の不時着をきっかけに南北情勢に興味を持ち、結果的に関連して北朝鮮の本をいくつか読んだりしました。関連読みでいうと、TENETに関連して時間の本をいくつか読んだのもよかったです。具体的には「時間はどこから来て、なぜ流れるのか」や「時間は存在しない」などです。

「マネーの拳」(小学館)

漫画だと「マネーの拳」は起業系漫画としてかなり面白かったです。小規模な時から、大規模な時までかなりロングスパンの話をテンポよく展開しているのでサクサクと読むことができます。

LayerX代表取締役CEO 福島良典氏

・「呪術廻戦」(集英社)

・​「天地明察」(講談社)

「新・信長公記〜ノブナガくんと私〜」(講談社)

「推しの子」(集英社)

「ホークス3軍はなぜ成功したのか」(光文社新書)

「最高の健康」(KADOKAWA)

「すしのサイエンス」(誠文堂新光社)

「私でもスパイスカレー作れました!」(サンクチュアリ出版)

SHE代表取締役CEO 福田恵里氏

経営者になるためのノート」(PHP研究所)

理由:書き込み型のノートで、半年に一度自分の経営者としての通信簿をつけ、振り返りができる。柳生さんの金言が詰まっていて何度も読み返しています。

鬼滅の刃」(集英社)

理由:竈門炭治郎という、自分のありたき令和リーダー像としてのアイコンが見つかりました。

「Nizi Project」(hulu)

理由:メンバーの成長やJ.Y.Parkさんのマネジメント・フィードバックスタイルから学べる事はもちろん、コンテンツ戦略・クロスメディア戦略等ビジネスとして学べる部分が多かったです。

アル代表取締役CEO 古川健介氏

・「推しの子」(集英社)

理由:まずは「推しの子」です。これは推しのアイドルの子どもに転生してしまうところから物語がスタートするのですが、現代の芸能界などを鮮やかに描いていて、ものすごい作品になっています。

「スタンドUPスタート」(集英社)

・「トリリオンゲーム」(ビッグコミックスペリオール)

理由:またスタートアップ業界でいうと、「スタンドUPスタート」は必読です。珍しいスタートアップについてのマンガですが、起業の描かれ方がとても上手です。起業などに興味がある方はかなり楽しく読めるのではないでしょうか。同じくスタートアップマンガでいうと、「トリリオンゲーム」という作品がはじまり、かなり注目しています。

「葬送のフリーレン」(小学館サービス)

理由:少年誌でいうと、「葬送のフリーレン」は秀逸な作品だと感じています。魔王を倒して世界を救ったあとの話ですが、魔法使いのフリーレンはエルフなので、寿命がすごく長いのです。つまり、魔王を倒したころと変わらない姿で生きていくのですが、勇者などは普通の人間なので寿命が来るわけです。変わっていく世界と、変わらないフリーレン。世界観もきれいで、テンポも軽快で素晴らしい作品です。サンデー編集長が「今一番おもしろいのではないか」といってたことでも話題になりましたが、おそらく2021年にさらに話題になるのではないでしょうか。

「ティアムーン帝国物語」(TOブックス)

「対ありでした。」(KADOKAWA)

変わり種としては、「ティアムーン帝国物語」もよかったです。いわゆるなろう系小説が原作ですが、帝国で革命がおき、皇女のミーアがギロチンされるところから話がスタート、そのまま数年前の自分に戻るのですが、このままいくとギロチンになることがわかっているので、その未来を必死に変えようとする話です。ものすごい才能を感じたマンガでいうと「対ありでした。」もよかったです。お嬢様学校で対戦ゲームをするマンガなのですが、コマ割りや台詞などにすごいセンスを感じます。

「天帝少年」(KADOKAWA)

「やせましょう」(講談社)

短編マンガでいうと、「天帝少年」はよかったです。こういう良質な短編マンガは作者の物語を構成する能力が問われると思いますが、非常によかったです。ドキュメンタリーマンガとしては「やせましょう」はさすがのおもしろさでした。料理漫画を書かせたら国内トップクラスの小林銅蟲先生がダイエットをするという切り口だけで最高なのですが、いろいろなダイエットを試す姿がおもしろいし興味深いです。

「望郷太郎」(講談社)

「宙に参る」(リイド社)

「乙女怪獣キャラメリゼ」(KADOKAWA)

DIAMOND SIGNALなどを見る読者にオススメしたいマンガとしては「望郷太郎」があります。世界的な氷河期で人類がほぼ滅亡した世界で、コールドスリープで起きた主人公が、イラクから日本に戻ろうとする話です。全体的に寂しい、哀愁のようなものが広がる作風なのですが、迫力あるシーンの描写と、静かなシーンの描写がそれぞれものすごいんです。

SF系でいうと「宙に参る」は相当の秀作だと感じています。宇宙が舞台ですが、世界観を語りすぎなくてもここまで入り込めるんだ、というので、とても良質な作品でした。少女漫画といっていいかわかりませんが、「乙女怪獣キャラメリゼ」もよかったです。大怪獣に返信してしまう女子高校生のクロエが主人公ですが、乙女の恋の話と、その主人公が大怪獣に返信してしまうというミスマッチが、ものすごいおもしろいです。ぜひ読んでみてください。あと1万文字くらい書けそうなのですが、このくらいにしておきます。

ANDART代表取締役社長 松園詩織氏

「ミノタウロスの皿」(小学館)

「気軽に殺ろうよ」(小学館)

「箱舟はいっぱい」(小学館)

大好きな作家、藤子・F・不二雄の「ミノタウロスの皿」「気軽に殺ろうよ」「箱舟はいっぱい」などのSF“異色短編集”シリーズ。2020年は世界において混沌と、価値観や暮らしのアップデートが起きた年かと思いますが、自分の中の常識や安心はあっという間に崩れ「まさか」と思っていたような事態を実体験した今、ここで描かれる非現実なパラレルワールドとそれを取り巻く登場人物たちのストーリーが妙に突き刺さりました。古いもので50年近く前に世に出されたとは思えない、狂気の短編集です。

SmartHR代表取締役・CEOの宮田昇始氏

・「ブリッツスケーリング」(日経BP)

会社でリード・ホフマンの「ブリッツスケーリング」を15人くらいで読みました。読んだメンバーが集まり、お酒を飲みながら「俺が考えるSmartHRをブリッツスケーリングさせる方法」をプレゼンしあう会を実施したところ、それをきっかけに始まったり、前倒しになったりしたプロジェクトがいくつかあります。

「南インド料理店総料理長が教える だいたい15分!本格インドカレー」(柴田書店)

緊急事態宣言中、スパイスカレーづくりにハマったのですが、そのきっかけになった本です。スパイスカレーというとハードルが高いイメージだったのですが、この本のレシピは本当に15分で本格的な味のカレーがつくれます。

また、「基本マサラ」と呼ばれる、8分で作れるベースの作り方さえ覚えてしまえば、それを少しアレンジするだけで色々な種類のカレーがつくれるという構成になっていて、レシピ本としても画期的でした。

X Asia代表取締役CEO 門奈剣平氏

『僕は君の「熱」に投資しよう』(ダイヤモンド社)

当社にも投資してくださっているVC「ANRI」のパートナーである佐俣アンリさんの著書です。読むたびに目頭が熱くなりますし、この方に投資していただいてよかった、このような方と共に夢を抱けることに感謝しつつ、更に精進せねばと気持ちが引き締まります。

・「梨泰院クラス」(Netflix)

今年バズった韓流ドラマです。主人公の逆境に立ち向かう姿勢、その信念の根底にある親子愛、同じ起業家としてハラハラしつつも共感せざるを得ない場面も多く、目が釘付けでした。ちなみに自分はイソ派です(笑)。

10X代表取締役CEO 矢本真丈氏

・舐達麻「BUDS MONTAGE」

・ZORN「Life Story feat. ILL-BOSSTINO」

・BAD HOP「Hood Gospel」

理由:日々様々なものに向き合う中で、正直自分の嫌な部分や苦手な部分に触れて気持ちが沈むこともあります。私はそういうときに、日本のHIPHOPから多くのエネルギーを貰っています。今年リリースされた後のClasicからも多くのエネルギーを貰いました。あえて3つ挙げるとすると、舐達麻「BUDS MONTAGE」、ZORN「Life Story feat. ILL-BOSSTINO」、BAD HOP「Hood Gospel」です。

いずれも過去や現状を一定の肯定しつつも先を向くハングリーさを表現したLyric、そして詩的表現・Flowを引き出した素晴らしいBeat、一度聞いただけで膨大な研鑽が感じ取れる楽曲としての完成度の高さに喰らいました。

※記事内のリンクを経由した商品購入により、編集部がアフィリエイト契約に基づいた利益を得ることがあります。