
- B2B企業の上場が相次いだ2020年
- SaaS市場が1兆円規模になるカウントダウンは始まっている
激動の1年となった2020年。新型コロナウイルスの世界的流行によって、人々の生活様式は大きく変化し、またそれは大企業からスタートアップまで、ビジネスのあり方も大きく変えることになった。
DIAMOND SIGNAL編集部ではベンチャーキャピタリストやエンジェル投資家向けにアンケートを実施。彼らの視点で2020年のふり返り、そして2021年の展望を語ってもらった。今回はOne Capital代表取締役CEOの浅田慎二氏だ(連載一覧はこちら)。
B2B企業の上場が相次いだ2020年
コロナから始まり、コロナで終わった2020年。投資が劇的に冷え込むと思いきや、デジタルサービスの利用激増、金融緩和が相まって株式市場の活況からテック企業のIPOラッシュが起きました。米国においては、有名なエンタープライズソフトウェア企業が続々株式上場しました。例えばPalantir、Snowflake、ZoomInfo、Agora、nCino、Asana、C3.aiなどです。
国内でも、ヤプリ、プレイド、Kaizen PlatformといったB2B企業が上場しました。また政府もデジタルに遂に本腰を入れてきたターニングポイントとなる年だったと感じています。
SaaS市場が1兆円規模になるカウントダウンは始まっている
2016年からずっと右肩上がりなSaaS企業への投資マネーがついに2019年に744億円まで拡大しました。2020年の金額は2021年春頃に明らかになるでしょうが、確実に1000億円に近づいていることと思います。
2021年はリモートワークがますます進み、レガシーソフトウェアをモダンソフトウェアに切り替える流れがますます加速するはずです。カスタマーサクセスをコアに据えているSaaSのアダプション(採用)の流れは不可逆でしょう。
そういう意味で2021年は、SaaSのAI化が普及し始める年になると予想しています。体系化されたデータを保持するSaaSとAIは相性が良い。そのユースケースは下記3つです。
- ユーザの好みに合わせて最適化された「Personalized UI」
- ユーザ属性に合わせて画一的なSMLではない価格が提案されるPersonalized Pricing
- ユーザが期待するValueを提供するPersonalized Customer Success
あとSoR(System of Record)から、SoE(Engagement)とSoI(Intelligence)へと発展するSaaS企業が出てくると期待を込めて予想します。
SaaS市場が現状の6000億円から1兆円に向かうカウントダウンはもう始まっている。2021年も改めてSaaSにとって大きな年になることを確信しています。