仁木勝雅
 

激動の1年となった2020年。新型コロナウイルスの世界的流行によって、人々の生活様式は大きく変化し、またそれは大企業からスタートアップまで、ビジネスのあり方も大きく変えることになった。

DIAMOND SIGNAL編集部ではベンチャーキャピタリストやエンジェル投資家向けにアンケートを実施。彼らの視点で2020年のふり返り、そして2021年の展望を語ってもらった。今回はディープコア 代表取締役社長の仁木勝雅氏だ(連載一覧はこちら)。

AI領域では、世界規模の研究成果の発表と社会実装が加速

弊社がフォーカスするAI/Deep Learning技術領域では、世界的に話題になるような研究成果の発表とコロナ禍における社会実装が加速した2020年でした。

AI/Deep Learning技術関連の主要な国際学会における論文採択数は継続して急増しており、2020年にOpen AIが発表した言語モデル「GPT-3」はその象徴的なものでした。本モデルに関するブログ記事が、実は本モデルを活用したAIが書いてしまったブログであったというオチは個人的にも印象的でした。

2018年にGoogleが発表したTransformerというモジュールを活用したBERTという自然言語処理モデルに続く、技術的な大きな前進でした。GAFAMやBAT/TMDの巨大資本を背景とした研究開発および研究者の奪い合いは継続していくでしょう。

一方、それらの技術を活用した社会実装は、新型コロナウイルスの世界的な流行によって加速せざるおえない1年でした。あらゆる業界において、非接触・非対面を実現するためのワークフロー自体の見直し・効率化が求められ、結果として先端技術として導入に時間がかかっていたAI/Deep Learning技術の実装が加速しました。

投資先の事例では、2014年に生まれたGANという画像生成技術を活用し、オンライン会議に自分のスーツ姿の画像を使ってすっぴんや寝巻き姿で参加できるxpression cameraを提供するEmbodyMeや、動画・画像の高解像度化AIソリューションを提供するNavierなどが、コロナ禍における先端技術導入の流れにのっていました。

2021年はオフライン領域でもAI/Deep Learningの社会実装が進む

2021年以降も、コロナ禍における社会実装が加速するのは明らかです。特に2020年以前から、特定の業界に深く入り込み、その業界特有のバリューチェーン/ワークフローを正しく捉え、AI/Deep Learning技術を活用することで業界全体のインパクトやトランザクションを増やすことができるプレイヤーが勃興していくと考えています。

投資先の事例では、With/Afterコロナを見越した診療体制の早急な整備が求められる病院向けに病理AIソリューションを提供するメドメインは医療現場におけるワークフローを捉え、サービス導入の拡大を進めています。2020年には病院グループとの資本提携もしました。