インスタメディア「cocorone」が立ち上げた、うつわのブランド「きほんのうつわ」 すべての画像提供:cocorone
インスタメディア「cocorone」が立ち上げた、うつわのブランド「きほんのうつわ」 すべての画像提供:cocorone
  • インスタメディアが「うつわづくり」を始めた理由
  • 創業から100年以上続く、老舗窯元が制作
  • 自宅でも、心が踊るような体験を
  • 「地域のうつわをアップデート」cocoroneの展望

D2Cが世界的なトレンドとなり、今や誰もが簡単にブランドを立ち上げられる時代になった。ライフスタイルメディア「cocorone(ココロネ)」も、D2Cブランドを立ち上げたメディアのひとつだ。2020年3月、クラウドファンディングでうつわブランド「きほんのうつわ」の販売をスタート。メディアの世界観に共感するユーザーを中心に、404人の支援者が集まり、約300万円ほどの支援が集まった。

「うつわで暮らしに彩りを」をコンセプトに掲げ、Instagramを中心に情報発信する私たち。ものづくりは初めての経験だ。なぜ、私たちがプロダクト開発を始めたのか──。その裏側にある思いをお伝えしたいと思う。

インスタメディアが「うつわづくり」を始めた理由

きほんのうつわは、“うつわで彩る暮らし”をコンセプトに、シーンに合わせたうつわの使い方を発信するインスタメディア「cocorone」が立ち上げた。

cocoroneは、もともと運営会社であるIDENTITY代表取締役の碇和生氏が名古屋に移住した際に「地域に眠るいいプロダクトは数多くあるのに、情報が流通していない」と感じたことがきっかけで生まれたメディアだ。その背景には「地域のうつわ産業をデジタルの力でアップデートしたい」という思いがあったという。

IDENTITYは岐阜県美濃加茂市に本社を構える。美濃の地域は、古くから茶の湯の文化を支えた美濃焼きでも名高い地域で、うつわの日本市場の半分以上を占めている。

そんなうつわの一大産地・美濃地域だが、美濃焼きで広く認知されているブランドはほんの一握りだという。インターネットやSNSを駆使して、ブランディングに取り組む窯はまだ少ないのが実情だ。

だからこそ、cocoroneはメディア運営で培った世界観、編集力、ユーザーコミュニティを活かし、地域の窯元と一緒にものづくりをすることで、その地域が持つうつわの魅力を多くの人に発信したい、と考えた。

創業から100年以上続く、老舗窯元が制作

きほんのうつわの制作を担当するのは、岐阜県多治見市でうつわづくりを手がける会社「丸朝製陶所」だ。同社は創業から100年以上の老舗磁器メーカーである。

一般的な家庭用雑貨は、窯に十分な酸素がある状態で短時間焼く「酸化焼成」で作られているが、丸朝製陶所は窯の中にある酸素を減らし、長時間焼き上げる「還元焼成」で制作している。

約1300度の高温で、24時間焼き上げることで、より密度が高まり、割れにくいうつわへが仕上がる。作家もののような繊細なデザインでありながら、機能性を兼ね備えたうつわは意外と少ない。だが、きほんのうつわは丸朝製陶所の高い技術力により、電子レンジ、オーブン、食洗機も対応可能。機能性とデザイン性を兼ね備っている。

自宅でも、心が踊るような体験を

これを機に、cocoroneはメディア事業からブランド事業へ軸足を移すことを決意。2度目のクラウドファンディングに向けて、ブランドアイデンティティの定義を始める。

きほんのうつわは、地域のうつわをアップデートし、現代の暮らしに合った体験の提供を目指す。そんな思いから、ブランド名の「きほん」には“デイリーユース”の意味を込めた。忙しい現代人の暮らしに合わせ、どんな食卓やメニューでも使い回せるうつわを目指した。

忙しい毎日を送っていると、料理に時間をかけられない日も、品数が少なくなってしまう日もある。そんな中でも、きほんのうつわがあることで食卓がきちんとまとまり、盛り付けや食事の時間が楽しいと思える。そうやって心が踊る瞬間を積み重ねることで、ユーザーに自分らしい暮らしを楽しんで欲しい、と考えている。

こうして臨んだ2回目のクラウドファンディングでは、主役になれる鉢と大皿を開発した。1回目のクラウドファンディングで発表したうつわとも組み合わせられるよう、色みや形にこだわり、365日使える「デイリーユース」をコンセプトに掲げた。

Makuakeでの目標達成率は500%を突破し、プロジェクトは終了した。クラウドファンディングを通じて、少しずつ「きほんのうつわ」に共感する支援者の輪が広がっている気がする。今後はECサイトもオープンする予定だ。

「地域のうつわをアップデート」cocoroneの展望

作り手の高齢化、窯の減少、後継者不足など、うつわ産業が抱える課題はまだまだ多い。そんな中、cocoroneはきほんのうつわの取り組みを通じて、地域のうつわにまつわる発信や、うつわの価値向上に取り組んでいる。

きほんのうつわは、cocoroneが展開するうつわブランドのひとつ。今後は、きほんのうつわをエントリーモデルと捉え、美濃だけではなく他の地域の窯とも協業し、地域の文脈に沿ったブランドの拡充を目指す。

「地域のうつわ産業を現代風にアップデートしたい」──そんな思いから始まったcocoroneのプロダクト開発。今後も「地域のうつわ」を切り口に、新たな挑戦に取り組んでいく。

とみこ
「うつわで暮らしに彩りを」をテーマに情報発信するライフスタイルメディア「cocorone」の編集長。2018年3月に参画。好きなものはコーヒーとお酒。趣味は、SNS、うつわあつめ、料理。SNSの総フォロワー数は約6万人。