
国内最大級の成長産業領域向け情報プラットフォーム「STARTUP DB」。1万2000社を越える企業の情報を保有するSTARTUP DBのデータを元に、注目のスタートアップの資金調達情報をサマリ形式で紹介する。今回は1月2週の注目資金調達情報だ。
メトセラ
- 調達額:8億9000万円
- 合計資金調達額:20億2400万円
- 調達先:東京大学エッジキャピタルパートナーズ / MAKOTOキャピタル / アルフレッサ / ケイエスピー / 第一生命保険
- 備考:シリーズB-2ラウンド
線維芽細胞を用いた心臓疾患の治療方法の研究・開発を手掛けるスタートアップ。慶應義塾大学で再生医療研究のチームを率いた岩宮貴紘氏と外資系証券出身の野上健一氏が2016年3月に設立した。
同社は機能的な心組織の作製や、心不全の治療に特に適した効果を持つ細胞「線維芽細胞群(VCF)」を活用し、患者本人の細胞を用いた新しい再生医療製品などの提供を目指している。心不全は根本的な治療法が存在しない一方で、高齢化を背景に患者数は増え続けており、新たな治療法の開発が急ピッチで進んでいる。同社は、2019年6月24日に経済産業省発表のJ-Startupに選定された。
2021年1月には東京大学エッジキャピタルパートナーズをリードインベスターとした第三者割当増資を実施。今回の調達によってグローバル展開も視野に、製造プロセスの効率化、後続パイプラインの創出、およびアカデミアや企業との戦略的連携を推進する方針だ。
ジェイファーマ
- 調達額:5億円
- 合計資金調達額:33億1400万円
- 調達先:Eight Roads Ventures / F-Prime Capital Partners
- 備考:シリーズD
細胞膜に存在するタンパク質で細胞内外への物質輸送を担うトランスポーターを標的とした創薬を手がける企業。
トランスポーターはその分子実態が明らかになる前から薬物研究対象として注目されていたが、個々の分子について構造や機能が解明されるに伴い創薬ターゲットとしての重要性が再認識されている。それに伴って同社では、トランスポーターを標的とした創薬研究以外にも、近年は特に「L タイプ・アミノ酸トランスポーター(LAT1)」を標的とした医薬品開発も進めている。LAT1は特にがん細胞に特異的に発現するものであるため、同社が行うLAT1に着目した抗がん剤開発には有用性が期待されている。
2021年1月には、Eight Roads VenturesとF-Prime Capital Partnersを引受先とする約5億円の資金調達を実施した。今後は治療実験中の新薬の臨床開発を進めるとともに、グローバル展開も加速させる方針。
いいオフィス
- 調達額:2億4000万円
- 合計資金調達額:4億円
- 調達先:NKC ASIA / 江口勝義 / 高原直泰
- 備考:他個人投資家を含む
月額制のコワーキングスペース「いいオフィス」の運営や貸会議室の運営、クラウドソーシング事業を手がけるスタートアップ。
いいオフィスは全国にコワーキングスペースを展開しており、運営している国内・海外のコワーキングスペースを月額制でどこでも利用できるサービスとなっている。全店舗にWi-Fi、電源、フリードリンクなどを備えており、普段の仕事場所、訪問先や出張先など好きな場所で快適に働くことができる仕様になっている。2021年1月時点で東京、横浜、埼玉、長野、広島、大阪、神戸、壱岐、フィリピン(セブ、マニラ)など、国内・海外含めて300店舗運営している。2020年度中に契約ベースで400店舗の展開を目指し、店舗開拓を進めている。
2021年1月には江口勝義氏、高原直泰氏、NKC ASIA、ほか個人投資家より合計2億4000万円の第三者割当増資を完了した。本調達により店舗開拓とブランディング、さらに新プランに向けたシステム開発を強化する方針。
シコメルフードテック
- 調達額:4300万円
- 合計資金調達額:4300万円
- 調達先:JFI / ミダスキャピタル
飲食店の経営効率を上げる「シコメル」などを提供するスタートアップ。
同社は、”世界中の飲食店オーナー・食品会社をITテクノロジーで救う”を事業ビジョンとし3つのサービスを展開している。飲食店と食品工場間の仕込みレシピ共有やAI解析を推進することで工数削減及び受発注最適化を行うアプリのシコメル、EC販売やクラウドファンディングの返礼品をフルフィルメントでサポートする「タノメルbyシコメル」と「タノメルクラファン」を提供し、より早くより多くの飲食店・食品会社の経営改善を行うことで成長を目指している。現在はシコメルを中心に事業拡大し、2020年12月度では対前月比で約2倍のスピードで拡大している。
2021年1月には、JFI、ミダスキャピタルから総額4375万円資金調達を実施。今回の資金調達を機に、シコメルフードテックの事業拡大をより加速してく方針だ。当面の事業戦略としてあらゆるジャンルの食品業界や物流業界の皆さまと業務提携や業務資本提携を進めていくようだ。
オルツ
- 調達額:資金調達金額非公表
- 合計資金調達額:20億4100万円
- 調達先:プロトベンチャーズ / ロゼッタ
- 備考:資本業務提携
パーソナライズ化した人工知能「P.A.I.」の開発、提供を事業の主軸として展開しているスタートアップ。
P.A.I.はパーソナル人工知能(Personal Artificial Intelligence)の略称であり、人の“個性”・“意思”をデジタル化しクラウド上に再構築することであらゆるデジタル作業を自身のクローンにさせることを目的としたAIサービスである。これにより、人間では不可能である24時間365日ネットワーク上で活動することが可能になった。同社はその他にも人工知能を活用したサブスク型AI議事録作成ソフト「AI GIJIROKU」やAIチャットボットサービス「NeoRMR」などのサービスの提供も行っている。
2021年1月にはプロトベンチャーズ、ロゼッタとの資本業務提携を締結した。今後はロゼッタの持つ、高精度なAI自動翻訳技術に融合することで双方の強みを高め合う取り組みを進める方針だ。