Twitter CEOのジャック・ドーシー氏
Twitter CEOのジャック・ドーシー氏 (Photo:Victor Boyko/gettyimages)

1月6日に米ワシントンで起きた、ドナルド・トランプ米大統領の支持者らによる連邦議会議事堂への襲撃──この事件を受けて、大手SNSのTwitterは8日、「暴力行為をさらにを扇動する恐れがある」としてトランプ氏の個人アカウントを永久凍結。Facebookは6日にトランプ氏のアカウントを一時凍結したが、8日には「無期限に、少なくとも政権交代が完了するまでの対応とする」と改めた。

ほかにも、動画共有サービスのYouTubeとライブ配信サービスのTwitchがトランプ氏のアカウントを停止し、新規投稿をできない状態に。写真・動画共有アプリのSnapchatはTwitterと同様に同氏のアカウントを永久凍結。ECプラットフォームのShopifyは同氏の選挙活動グッズ関連を扱うショップ「Trump Store」を閉鎖した。

大手テック企業による“トランプ大統領の排除”の動きが続く中、Twitter CEOのジャック・ドーシー氏は米国時間1月13日、トランプ氏のアカウントを永久凍結するに至った判断について、自身のTwitterアカウントで説明した。

ドーシー氏はトランプ大統領のアカウント凍結は「正しい決断だった」と説明。だが同時に「開かれたインターネットの高貴な目的と理想」を破壊する、危険な対応だったとも言う。

13の連続したツイートでは、今回の対応に至った経緯や対応についての問題点だけでなく、今後のインターネットの“あるべき姿“についても綴られている。ビットコインに代表されるようなdecentralized(分散型)な仕組みのあり方、そして分散型SNSの開発を目指すTwitterのプロジェクト「bluesky」についてだ。以下にその全容を紹介する。

私はドナルド・トランプ大統領のアカウントを凍結したことを祝ったり、誇りを感じたりはしません。この措置を講じるという明確な警告の後、Twitter内外での身体的な安全に対する脅威に基づいて、最善の情報を元に決断を下しました。この判断は果たして正しかったのでしょうか?
Twitterの判断は正しかったと信じています。私たちは異常で受け入れがたい状況に直面し、すべての対応を安全性に集中させることを余儀なくされました。オンラインでの演説がオフラインでの危害に繋がっていることは明確です。このことが何よりも私たちのポリシーと施行を推進するのです。
とは言うものの、アカウントの凍結は大きな影響を伴います。明確な例外はあるものの、アカウント凍結は健全な会話を促進することができなかった私たちの失敗がもたらした結果だと感じています。今は我々が事業、そして世界情勢について考える時間だと捉えています。
このような対応を取ることで、公の会話は断片化されます。我々を分断化するのです。和解や学習の機会を制限します。そして私が危険だと感じる前例を作ります。その前例とは、個人または企業がグローバルな公の会話に対して持つ力です。
この力を監視し説明を負うことはこれまで、Twitterのようなサービスがインターネット上で行われる大規模な公の会話の一部であるという前提のもと、行われてきました。私たちの規則と施行に同意しない場合、ユーザーは別のインターネットサービスに移行することができますよね。
この概念は先週、揺らぐこととなりました。多くのインターネット企業は危険だと判断したものをホストしないと決断したのです。これは決して共謀ではありません。各企業は独自の結論を出した、もしくは他の企業の対応に触発されたのではないでしょうか。
この対応は現時点では不可欠だったかもしれませんが、長い目で見れば開かれたインターネットの高貴な目的と理想を破壊するでしょう。企業による意思決定は、政府によるアクセス権の剥奪とは異なりますが、ほぼ同様に感じることもできます。
私たちは皆、Twitterの方針そして我々が講じた対応の矛盾を批判的に見る必要があります。私たちのサービスがいかに危害を引き起こすかを考えなければならないのです。モデレーションの透明性を高める必要があります。そして、これらは自由でオープンなグローバルインターネットを侵食してはならなりません。
私がビットコインに対して大きな情熱を感じているのは、その構造に可能性を見出したからです。特定の個人や団体による制御または影響を受けない基礎を成すインターネットテクノロジー。これこそがインターネットが目指すべき道であり、時間の経過とともに、より浸透していくでしょう。
私たちは、ソーシャルメディアのオープンで分散されたSNSの標準を作る取り組みに出資しています。私たちの目標は、インターネット上での会話において、そのような標準のクライアントになることです。私たちはこの取り組みをblueskyと呼びます。
構築には時間がかかります。現在は面接や採用を進めている段階です。標準をゼロから作ることと、既存の取り組みに貢献することの両方を検討しています。私たちはこの作業を公にとっての透明性を保ちつつ、進めます。
今は世界中の多くの人々にとって非常に不確実で葛藤の多い時代であることを認識することが重要です。この瞬間の私たちの目標は、可能な限り武装を解除し、相互理解を深め、より平和な存在になるべく、建設的になることです。
私は、インターネットとグローバルな公の会話が、そのことを達成するための最善かつ最も適切な方法であると信じています。現在はそうでないということも認識しています。私たちが学んだことをもとに、人々が協力し合えるよう、改善を進めます。