Clubhouseのアイコンに使われているBomani X氏の写真
「Clubhouse」のアイコンに使われているBomani X氏の写真 すべての写真提供:Bomani X氏

日本でも急速に注目が集まった米国発の招待制・音声SNSアプリ「Clubhouse」。スタートアップ関係者から人気に火が付き、この1週間で著名人や芸能人までが続々参加。今ではアプリストアの「無料App」ランキングのトップに君臨するほど話題だが、ギターを手に持つ男性の実写を採用したモノクロのアイコンを不思議に思う人も多いようだ。

SNSでは「アイコンの人って誰なんやろ」、「アイコンのヒゲおじさんは誰」、「めっちゃセブンスコード奏でそうな人のアイコン」といった類の投稿が散見された。そこでDIAMOND SIGNALでは、自身もClubhouseユーザーであり、日本人のルームにもちょくちょく参加しているという、アイコン写真の張本人、Bomani X氏(@iambomanix)を直撃取材した。

取材は録音の許可を得た上でClubhouseのプライベートルームで行ったが、Bomani X氏はレコーディングしたばかりだという新曲を聞かせてくれたりして、まるで友人と会話をしているようなひとときだった。

Bomani X氏は米国の東海岸に住む27歳。ジャズギタリスト・アーティストとして活動するかたわら、4年程前に起業し、自身のビジネスも展開する。Clubhouseでは音楽活動を行い、多くのファンを集めている。現在初となる音源のリリースに向けて曲作りを進めている。

──最近になって日本でもClubhouseが話題となっていますが、日本人ユーザーとの交流はありましたか。

ランダムにいくつかの(日本人ユーザーの)ルームに入ってみたところ、「(Clubhouseの)アイコンの人だ」と言われることもありました。そこでは私が何者で、Clubhouseで何をしているのかなど、軽い会話を交わしました。

私は日本語を全く理解できないのですが、いつかは勉強したいと思っていたこともあり、日本人コミュニティのルームに参加してみています。『NARUTO -ナルト-』、『ONE PIECE』、『進撃の巨人』といったアニメ作品が昔から好きでしたし、いつかは日本を訪れてみたいとも思っていました。

──写真がClubhouseのアイコンになった経緯は。

Bomani Xは私のニックネームです。Clubhouseに参加したのは2020年の7月。他のユーザーたちと同じように、パンデミックの真っ只中で人と会うのが困難だったため、オンライン上なら色々な人と交流ができると思い、登録しました。会話も楽しんでいたのですが、私はミュージシャンなので、音楽を演奏してみることにしました。

まずは友達たちが会話するルームでBGMとしてギターを弾いていました。その後は、アイコンを尊敬するジャズミュージシャンのモノクロ写真にしなければならない“バーチャルジャズクラブ”を立ち上げたりもしました。このクラブはミュージシャンにとってClubhouseをうまく活用するための良い先例になったのではないかと思います。

その後はジャムセッションをしてみたり、最近ではライオンキングのミュージカルをClubhouse上で再現してみたり、色々とやってきたので、新しい取り組みにチャレンジするユニークなユーザーだと認識されるようになりました。

Clubhouseはコミュニティメンバーを世間に紹介するという意味合いで、ローンチの頃からユーザーの写真をアイコンに採用しています。ちょうどライオンキングに向けて準備していた頃に、運営から「あなたの写真をアイコンに使いたいので送ってくれませんか」との連絡があったんです。発表の前という良いタイミングだったので了承しました。そして私の写真がアイコンに使われている、今に至ります。以前は2週間くらいでアイコンが更新されていたのですが、私の写真はもう2カ月ぐらい使われていますね。

──アプリのアイコンになった時はどのように感じましたか。

私の前にもアイコンに起用されたユーザーが5人いたので、最初はそれほど驚きませんでした。ですが、アプリが急成長したことにつれ、私の音楽に興味を持ってくれる人も急増し、非常に大きなインパクトを感じました。

実はあの写真は私が使ってほしいと思っていたものではないんです。多くの人がパンデミックで悩んだり苦しんでいる今、笑顔の人物の写真を見ることは、人によってはあまり心地の良いことではありません。もちろん良い側面もあったので今ではポジティブに捉えていますが、自分の顔を他人のスマホで見かけることには正直、慣れませんね(笑)

──Clubhouseでの知名度は音楽活動にどのような影響をもたらしていますか。

先ほどもお話しましたが、Clubhouseでは会話を通じて知らない人と仲良くなることに対するハードルが下がっているので、本当に多くの人たちが私の音楽に興味を持ってくれるようになりました。私は正式な音源をまだリリースしていないのですが、Clubhouseでの活動のおかげでTikTokのアカウントも「認証済み」になりましたし、そろそろ作品をリリースしても良いタイミングなのかな、と思っています。

1曲目は数週間後にリリースする予定ですが、Clubhouseではずっと演奏してきたの曲なので、多くの人たちがClubhouse外でも聞いてくれるのではないでしょうか。私の仕事での専門分野はデジタルマーケティングやデジタル戦略といった領域なので、仕事の知見が自分の音楽活動に活かせたことを嬉しく思います。フォロワー数が100万人を突破したらClubhouseでリリースパーティーでも開こうかな、と考えているところです。

──Clubhouseを使い始めたばかりの日本人ユーザーにアドバイスはありますか。

Clubhouseの優れているところは、まるで現実の世界のように感じられることで、ルームに参加することで別の国にいるように感じることもできます。他のプラットフォームでも同様に感じられることではありますが、Clubhouseでの体験はより親密でユニークです。

Clubhouseではさまざまな国の人たちとつながることができます。私のように、色々な国の人たちとつながり、一緒に作品を作ったり、教え合うことを望むユーザーも多く存在します。

日本のClubhouseコミュニティとも是非、ジャムセッションを一緒にやってみたいと思います。セッションを通じて日本の音楽の文化を学びたい。私たちが感じた感動をみなさんにも味わっていただきたいので、何か質問があったり助けが必要な際には喜んで手を貸します。みんなでコミュニティを大きく育てていくことが大事だと考えているからです。

私の写真がアイコンじゃなくなってもClubhouseにはいますので、いつでも連絡してください。いつかは通訳でも雇って、Clubhouse発のアーティストとしては初の世界ツアーをアプリ上で実現してみたいと思います。