
ソフトバンク傘下でYahoo! JAPANを展開するZ HOLDINGS(Zホールディングス)は3月1日、LINEとの経営統合後の初の方針発表会を実施した。両社が競合するスマホ決済サービスでは、ソフトバンク系の「PayPay」へ「LINE Pay」のサービスを統合する方針が示された。
PayPayはZホールディングスとその親会社のソフトバンクが出資するスマホ決済サービス。QRコード決済市場において決済回数で国内首位を維持している。
LINE PayはQRコード決済サービスを早くから展開し、QR決済だけでなくクレジットカードやApple Pay/Google Payなど多様な決済手段が選べるサービスとなっている。
会見に際し、PayPayとLINE PayのQR決済サービス統合を協議していることが明らかにされた。統合は2022年4月の予定とし、PayPayを存続サービスとしてLINE Payを統合する方式が検討されている。

また、QR決済の統合に先立ち、2021年4月には中小加盟店で多いユーザースキャン方式(QRコードのプレートを決済アプリでスキャンする方式)の加盟店について、PayPayの加盟店でLINE Pay決済を可能とする方針だ。
なお、PayPayとLINE Payのサービス統合は独禁当局による承認など必要な法的な手続きを満たした上で実施するとしている。
会見では、LINE、Yahoo!、PayPayブランドの3つのブランドをそれぞれ成長して、多機能な「スーパーアプリ化」していく方針が説明された。その中でQRコード決済機能については、ユーザーにとっての利便性を重視した上で統合という選択肢を選んだという。
LINEとPayPayでは金融事業において銀行、クレジットカード、証券など多くの分野で重複しているが、それらをすべて統合するかは今後判断していくという。LINE Payブランドはクレジットカードなどでも使われているが、今後のサービス統合の過程で存続する可能性もある。
また、LINEは海外において台湾、タイ、インドネシアで大きなシェアを獲得している。すでにLINE Payブランドを用いているこれらの地域での展開は、引き続きLINE Payブランドで用いていく。
このほか両社では、LINEとYahoo! JAPANのサービスを組み合わせた新たな事業戦略を発表している。発表の内容は追ってお伝えする。
(編集部注:2021年3月1日17時45分)法的な手続きや海外での展開などについて追記しました。
(編集部注:2021年3月1日19時54分)「スーパーアプリ化」していく方針などについて追記しました。