
- ウーバーイーツユニオンが求める4つの対応
- Uber Eats Japanは「不足分の支払いを準備中」
- 「全国的に波及していく可能性がある」──ウーバーイーツユニオンが抱く危機感
Uber Eats Japanが展開するフードデリバリーサービス「Uber Eats」の配達員らでつくる労働組合ウーバーイーツユニオンは福岡県と京都府で導入された配達料の新料金体系について緊急声明を出した。
ウーバーイーツユニオンの説明によると、Uber Eatsにおいて3月1日より「大幅な報酬引き下げ」が発生しており、配達員は「深刻な混乱と不安の中で稼働するか、あるいは稼働を取りやめるという選択を強いられている」(同労組)状況だ。
福岡県と京都府で働く配達員からは、「1件の配達料金が100円台」だったケースや、「配達距離が0.3キロであっても4キロであっても一律300円」などといった事例が報告されているという。
SNS上でも「ウーバーイーツの福岡と京都の新料金体制。 深夜1時過ぎ、更に他の配達員が少ない+記号大雨なのに300円」や「今日も配達料300円均一 0.5kmのショート行っても 4.3kmのロング行っても 301円!!」といった類いの投稿が見られた。
ウーバーイーツユニオンが求める4つの対応
ウーバーイーツユニオンではUber Eats Japanに対して、4つの対応を要求している。1つ目は今回の騒動に関して配達員へ公式に説明すること。多くの配達員がサポートに問い合わせたところ、「調査中」、「300円以下はバグ」、「正規料金」といった具合に回答がちぐはぐだったためだ。
2つ目は新料金体系の「ベース」を算出する上での基準値と計算式を公表すること。従来はアプリから「受け取り金額」、「受け渡し料金」、「距離料金」を確認することができた。だが、新料金体系が導入された地域では「ベース」と「配達調整金額」しか確認できない状態だという。
3つ目は減額分の補填。そして4つ目は「配達員の生活を無視した」新料金体系の実験行為の中止だ。
Uber Eats Japanは「不足分の支払いを準備中」
今回の騒動に関してUber Eats Japanに取材を依頼したところ、書面での回答を得られた。回答によれば、Uber Eatsでは今月より福岡県と京都府で新しい報酬体系を導入しており、「該当エリアの配達員には事前に伝えている」という。
Uber Japanはこの新報酬体系について、「移動距離、配達パートナーが配達に費やす予定の時間により料金が変化し、ピーク時間帯には配送料が上がります」と説明。また、配達員への報酬に関しては誤りがあったことを認め、以下のように回答した。
「先週初、一部の配達パートナー様へのお支払いにつきまして誤りがあり、 影響を受けた配達パートナーさまへは不足分をお支払いする準備を進めております。 配達パートナー様におかれましては、ご不明点がございましたら、 サポートまでご連絡をいただけますようお願いいたしております」(Uber Eats Japan担当者)
その他、他地域での新報酬体系の導入は未定の状態だという回答が得られたが、「ベースの計算式を公開する予定はあるのか」、「今回の騒動をどう見ているか」といった質問には回答しなかった。
「全国的に波及していく可能性がある」──ウーバーイーツユニオンが抱く危機感
ウーバーイーツユニオンは3月5日、「現場から考えるフリーランスの労働問題」と題したシンポジウムを都内で開催し、同日出した声明について、執行委員長の土屋俊明氏が説明した。

土屋氏は筆者の取材に対し、「この流れは全国的に波及していく可能性があります。全てのUber Eats配達員にとって他人事ではありません。(2月に)日本フードデリバリーサービス協会(Uber Eats Japan、出前館、楽天など12社のフードデリバリー事業者が参加する業界団体)が結成されましたが、このような一方的な料金の引き下げを断行するということをフードデリバリー業界全体としてどのように見ているのか、私は問いたいです」と話した。
「Uber Eatsのように『最初に飴、徐々に鞭』というようなやり方、ビジネスモデルが定着してきてしまっています。Uber Eatsはシェアリングエコノミー協会にも名を連ねています。シェアリングエコノミーと言いますが、何をシェアしているのか。今やっているのは一方的な収奪ですので、そちらにも聞いてみたいと思います」(土屋氏)
ウーバーイーツユニオンではUber Eatsにおける新報酬体系について、日本フードデリバリーサービス協会に見解を3月12日までに回答することを求めている。
Uber Eats Japanが導入した配送料金体系の不透明さによる混乱は、フードデリバリー業界全体の評判を落としかねない。業界の「サービス水準の確保と信頼性向上」を目的として結成されたフードデリバリー協会にも名を連ねる今、Uber Eats Japanには配達員への説明責任を果たし、サービスの透明性の向上も求められている。