デザインを一新した24インチ4.5K Retinaディスプレイを搭載するiMac
デザインを一新した24インチ4.5K Retinaディスプレイを搭載するiMac
  • 驚くほどの「薄さ」と「軽さ」
  • 4.5K Retinaの緻密な映像再現
  • 迫力のオーディオ、リスニングを邪魔しない静かな冷却システム
  • 高性能な内蔵カメラとマイク

アップルが自社設計のApple M1チップを搭載した初めてのiMacを発売する。価格は15万4800円(税込)から。プロダクトデザインを一新し、全7色の鮮やかなカラーバリエーションを揃えた、話題のオールインワンデスクトップの実機をレポートする。

驚くほどの「薄さ」と「軽さ」

今回はアップルからグリーンの新しいiMacをひと足早く試す機会を得た。同機は8コアのCPU・GPUと計4基のUSBポートを搭載する上位モデルだ。

アップルのオンラインストアから注文すると、本体のカラーバリエーションだけでなくメモリやストレージの容量をカスタマイズできる。また、本体と色を合わせたBluetoothワイヤレス対応のMagic Mouse、Magic Keyboardのほか、オプションとしてMagic Trackpadが選べる。ただ、最も安価なモデルを選んだ場合、iMacに初めて採用された指紋認証Touch ID搭載のMagic Keyboardはオプション扱いになるので、その点は注意したい。

とにかくスリムで軽い──これが新しいiMacを触ってみたファーストインプレッションだ。アップルが「本体をスリムにすることに専念してきた」という歴代iMacの中でも群を抜く本体(=パネル部分)の厚みはわずか11.5ミリ。アップル純正のアクセサリー「Smart Keyboard Folio」を装着した12.9インチのiPad Proと比較してみると、iMacの薄さがわかるだろう。

本体は厚みがわずか11.5ミリ
本体は厚みがわずか11.5ミリ
12.9インチのiPad ProにSmart Keyboard Folioを装着。iMacの薄さが際立っていることがわかる
12.9インチのiPad ProにSmart Keyboard Folioを装着。iMacの薄さが際立っていることがわかる

アルミニウム製のデスクトップスタンドの奥行きは14.7cm。重心のバランスが良く、本体のパネルをしっかりと支える安定感が頼もしい。ジョイント部分を動かせばディスプレイの角度調整ができる。

本体の質量は約4.4kg。前機種の21.5インチ Retinaディスプレイを搭載するiMacよりも、さらにサイズアップした24インチの4.5K Retinaディスプレイとしながら、本体部分の縦横サイズはほとんど変わらない。ディスプレイ周辺のベゼル(額縁)をスリムにしたことでスマートなルックスに仕上がっている。

背面は濃厚なグリーン。金属の光沢感と相まってとても華やかな雰囲気だ
背面は濃厚なグリーン。金属の光沢感と相まってとても華やかな雰囲気だ

4.5K Retinaの緻密な映像再現

また、4.5K Retinaディスプレイの精細感と自然な映像の色バランス、明るさはどれをとっても心地よい。今や高画質を楽しめる動画やゲームなどのコンテンツは豊富にある。アップルも定額制ゲーム配信プラットフォーム「Apple Arcade」で4Kの高精細なグラフィックスを作り込んだゲームタイトル『ファンタジアン』を配信しているし、Apple TVアプリからは4K画質の映画やドラマも視聴できる。

ただ、あえて注文を付けるとすれば、ベゼルの色をホワイトとしたことでSF映画やシリアスなドラマなど暗い映像が多用される映画・ドラマなど映像作品の没入感がやや損なわれるように感じた。27インチの5K Retinaディスプレイを搭載するiMacのようにブラックのベゼルをオプションとして選ぶことができれば文句はないのだが……。

24インチのディスプレイは大きく広いので、ZoomやMicrosoft Teamsなどビデオ会議サービスを立ち上げながらテキストエディタでメモをとったり、ウェブブラウザを開いて情報を検索したり、とマルチタスキングにも効果を発揮する。

ノートPCと外部モニターを組み合わせて構築したデュアルディスプレイ環境を、画面の大きなiMacにまとめてしまえば、さまざまな作業が一段と楽になりそうだ。

ディスプレイ周囲のベゼルの幅を狭くしたことで、21.5インチの4K Retinaディスプレイを搭載するiMacとほぼ同じ縦横サイズとしている
ディスプレイ周囲のベゼルの幅を狭くしたことで、21.5インチの4K Retinaディスプレイを搭載するiMacとほぼ同じ縦横サイズとしている

迫力のオーディオ、リスニングを邪魔しない静かな冷却システム

合計6基のスピーカーユニットによって構成されるオーディオシステムは、スリムな本体のボトム側に内蔵されている。Apple M1チップが駆動時の電力効率に優れているため、ロジックボードの左右に小型の空冷ファンを配置するだけで内部の放熱を手際よくこなせるという。

電力効率の良いSoC、Apple M1チップの搭載によりロジックボードと空冷ファンの小型化を実現した 提供画像:アップル
電力効率の良いSoC、Apple M1チップの搭載によりロジックボードと空冷ファンの小型化を実現した 提供画像:アップル

Apple M1チップにより効率化できた内部スペースをオーディオシステムに割いたことにより、クリアでパワフルなサウンドを鳴らし切る。

特にApple TVアプリから、音声トラックをドルビーアトモスで記録した映画やドラマを再生すると息をのむほどリアルなサラウンド音声による没入感が味わえる。新しいiMacがあれば自宅でリッチなパーソナルシアターが満喫できるだろう。大きな音が出しづらい夜間はAirPodsやAirPods Pro、AirPods Maxを上手に併用したい。

本体のボトム側左右に合計6基のスピーカーユニットを搭載している 提供画像:アップル
本体のボトム側左右に合計6基のスピーカーユニットを搭載している 提供画像:アップル

Apple M1チップがよりコンパクトな空冷ファンによる放熱システムを搭載したことにより、システム全体の静音性能が向上。アップルは「新しいiMacはファンノイズが10デシベルを超えないように設計した」と伝えているが、確かに静かだ。

Apple Arcadeで長時間ゲームをプレイし続けてもパフォーマンスが揺らがず、ファンノイズも気にならなかった。ビデオ会議やエンターテインメント鑑賞の際に心強い。

Apple M1チップを搭載するMacから、App StoreからiPhone/iPad向けの一部アプリをダウンロードして動かせるようになった。星空探索アプリの「スカイ・ガイド」や、洋の東西を問わずさまざまな料理のレシピ動画をチェックできる「Kitchen Stories」は、iPad Proを超える大きな画面のiMacで楽しむとまたひと味違う良さがあった。

iPad対応のアプリ「スカイ・ガイド」もiMacの大きな画面で楽しめる
iPad対応のアプリ「スカイ・ガイド」もiMacの大きな画面で楽しめる

高性能な内蔵カメラとマイク

新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐために在宅勤務を選び、快適に作業ができるように環境を充実させてきた人も多いと思う。筆者の周辺でもビデオ会議の映像・音声の品質を向上させるために高品位な外付けタイプのカメラやマイクを揃えた人は少なくない。

iMacはディスプレイの上部に搭載する1080p FaceTime HDカメラによって撮影できるビデオの画質がとても良い。少し暗い室内でもユーザーの顔が明るく、血色良く撮れる。また3基の高性能マイクユニットを搭載しているので通話音声の品質がクリアで、広がりのある音場を感じさせる音をキャプチャできる。

1080p FaceTime HDカメラの画質も秀逸だ
1080p FaceTime HDカメラの画質も秀逸だ
電源ケーブルのコネクタはマグネットにより簡単に着脱できる。iMacを宅内の様々な場所に移動して使いやすくなった
電源ケーブルのコネクタはマグネット式で簡単に着脱できる。iMacを宅内の様々な場所に移動して使いやすくなった

今後は多くのビジネスパーソンが在宅勤務をメインに働くことになるかもしれない。自宅では仕事からエンターテインメントまで幅広い用途に使えて、扱いやすいマウスやキーボードが付属するだけでなく、高性能なカメラやマイクまで備えたiMacの方が、MacBookなどのノートPCよりも周辺機器を買い揃える出費と手間が抑えられるので、より賢い選択といえるかもしれない。

外出の際にはiPadとキーボードの組み合わせを使い、オフィスや自宅のリモートワーク環境はiMacをメインとする方向もありだと思う。新しいiMacは、MacBookシリーズなどノートPCの強力なライバルにもなりそうだ。