
巣ごもり需要の拡大で昨年から利用者が増えているフードデリバーサービス。利用者の拡大とともに、フィンランド発の「Wolt」や米国最大手の「DoorDash」といった黒船フードデリバーサービスの日本ローンチが相次ぐなど、一気に競争が激化している。
そうした中、老舗の「出前館」の後を追うように国内発の新規フードデリバリーサービスとして、利用者を増やしているのが「Chompy(チョンピー)」だ。現在、会員数は6.5万人を超え、利用可能な店舗数は1100店舗を超えている。
そんなChompyの運営元がシンあらためChompyだ。同社は6月30日、Delight Venturesと藤田ファンドを共同リードインベスターに、既存投資家のANRI、DCMベンチャーズ、Coral Capital、新規投資家のSony Innovation Fundから、約7.8億円の資金調達を実施したことを明かした。これにより、累計調達額は約17億円となった。
また、Chompyは経営体制を強化。創業期からプロダクト・組織の両面で事業を牽引してきた大杉健太氏を執行役員CXO(Chief Experience Officer)、深山亜紀氏を執行役員CBO(Chief Branding Officer)に新たに任命するほか、DeNAの常務執行役員CSOである原田明典氏を社外取締役として迎える。後日、必要な機関決議などを経て、正式に就任する予定だという。
今回の資金調達に際し、 代表取締役の大見周平氏は「約1年間フードデリバリーの最前線で培ってきた資産・知見を元に、Chompyとして新しいチャレンジをしていきます。スタート時の志や、運営を通じて得た学び・顧客とのつながりを大事にしつつ、“第二創業”らしく事業・組織の両面にて大きく飛躍をしていこうと思っています。これからのチームChompyのチャレンジをぜひ注目いただければと思います」とコメントした。
フードデリバリーサービスは巣ごもり需要の拡大で新規の利用者は増えているものの、海外勢の参入などによってCMの実施など激しい"マーケティング合戦”になっている感は否めない。実際、出前館は広告宣伝費や人件費が増えたことで2021年8月期の連結最終損益が215億円の赤字になる見込みだという。また、国内の競合サービスである「menu(メニュー)」も大人気アニメ「ONE PIECE(ワンピース)とコラボしたテレビCMを実施するなど、認知拡大に向けて多額の資金をつぎ込んでいる。
一方でChompyは渋谷区、目黒区、新宿区、豊島区、千代田区、中央区、港区、世田谷区、品川区、中野区、杉並区、文京区の一部のエリアに対応するなど、着実に配達対応エリアを増やしているが、マス向けの大々的なマーケティングは行っていなかった。
拡大を続けるサービスがある一方で、最近では日本国内で高い知名度を誇る米国発のフードデリバリーサービス「Uber Eats」における粗雑な運営体制が明らかになった。これに対してChompyは外国籍配達員の資格確認のフローを公開するなど、業界の健全化に努めている。
数年前のキャッシュレス決済サービスのように大量のテレビCMを実施して認知拡大を図る国内の競合サービス、また資本力で勝負してくる海外勢に対して、Chompyは今後どう戦っていくのか。これからの動向に注目が集まる。