Photo:Raymond De Dalmas / 500px/gettyimages
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急成長、急拡大を遂げ、評価額が10億ドル(約1100億円)を超えるスタートアップ、ユニコーン企業が続々と誕生する一方で、昨今、“ゼブラ企業”という言葉が注目されている。ゼブラ企業とは持続可能な成長を掲げ、利益と社会貢献の両立を目指す存在のことを指す。

一見すると相反するように見える2つの目標を追う姿を、白黒模様のシマウマに例えていることが名前の由来だ。2016年に起業家や投資家らによるコミュニティである米Zebras Uniteが提唱を始めた概念として知られる。

米国の西海岸ではそんなゼブラ企業の価値を重視する「ゼブラ・ムーブメント」が起こりつつある。そこでは「会社は株主のもの」「株主価値の最大化が会社の存在目的」といった考え方に異を唱え、「会社はステークホルダー全員を幸せにするために存在する」「会社は経済的価値とともに社会的価値を生み出していかなければならない」といった価値観が重視されている。巨額の資金調達によって指数関数的な成長を目指すユニコーン企業と対照的に語られることが多い。

海外では、YouTubeコンテンツ製作者、ミュージシャン、ウェブコミッククリエーター向けのクラウドファンディング・プラットフォーム「Patreon(パトレオン)」などがゼブラ企業の代表例として知られている。

また国内でも、経済的リターンと社会的課題解決の両立を図る「インパクト投資」が増えている。最近では6月、地方企業の副業・兼業に特化した人材シェアリングサービス・JOINSが、ソーシャル・インベスト・パートナーズ(SIP)と日本財団が共同運営する基金からインパクト投資の考え(編集部注:売上や利益ではなく、6カ月以上契約継続する人数をソーシャルKPIとして設定)に基づく出資を受け入れている。