
自分の好みに合ったコーヒーが毎月自宅に届くサブスクリプションサービス「PostCoffee(ポストコーヒー)」。同サービスを運営するPOST COFFEEが複数の投資家から新たに資金を調達し、事業のさらなる拡大を計画している。
同社は2021年6月、既存株主の三井住友海上キャピタルとサムライインキュベートに加え、コーヒー器具メーカーのハリオ商事を引受先とした第三者割当増資により1億5000万円を調達した。
PostCoffeeはオンライン上で実施する無料の“コーヒー診断”を軸に、各ユーザーにパーソナライズされた専用のコーヒーボックスが届くサービスだ。
扱う商品は全てスペシャルティコーヒーで、ラインアップは常時30種類以上。ボックスの中には診断結果を基に選ばれた3種類のコーヒー豆のほか、フィルターやドリッパーなど自宅でコーヒーを楽しむために必要なアイテムも同梱される。

月1回、9杯分(3種類×3杯分ずつ、合計約135g) の料金が1598円から。コーヒー豆の量やミルク、砂糖などのオプションによっても料金は異なる。またサブスク会員であれば各コーヒー豆を単品で購入することも可能だ。
POST COFFEEでは2019年にベータ版をローンチして以降継続してサービスの改良を進めるとともに、2021年に入ってからは国内外のコーヒーショップと積極的にパートナーシップを組んできた。当初は自社で選定・焙煎したコーヒーのみを扱っていたが、現在は国内11社・海外5社が参画。自宅にいながらさまざまな店の味を楽しめるように進化している。
具体的なユーザー数などは開示していないものの、POST COFFEE代表取締役の下村領氏によると直近半年でサブスク会員の数は約2.5倍に拡大。1月に累計10万回に達していたコーヒー診断の実施回数も30万回を超えた。
過去調達した資金をマーケティング施策などにも活用する中で、ユーザーの間口が広がり「今まではインスタントコーヒーやコンビニコーヒーを飲んでいたような人たちが増えてきている」(下村氏)状況だ。ユーザー向けのアンケートを実施したところ、「PostCoffeeを利用するまでは、そもそもスペシャルティコーヒーを知らなかった」と回答したユーザーが半数以上いたという。
通常のコーヒーボックスの場合、リクエスト機能を通じて気になるコーヒーが届く確率を上げることはできるものの、自分が好きなコーヒーをピンポイントで選ぶことはできない。ただPostCoffeeの利用ユーザーには「いろいろなコーヒーに出会えること」が好評で、コーヒーショップとの提携によりラインナップが拡充されたことなども利用者の満足度向上に繋がっているようだ。
今回の資金調達を経てPOST COFFEEでは組織体制を拡充し、プロダクトの機能改善や全国各地でのコーヒーフェスの主催を始めとしたマーケティング活動に力を入れる。プロダクト面では今秋を目処にウェブアプリのリニューアルを行うほか、新たにモバイルアプリの開発も予定しているという。
また新規株主となったハリオ商事とは事業面での連携も見据えている。「これまでPOST COFFEEとしてはコーヒーライフをサポートするためにコーヒー豆を提供してきましたが、今後はコーヒー器具など(コーヒー豆以外の)周辺領域も含めて包括的にサポートしていきたいと考えています」と下村氏が話すように、コーヒーボトルやフィルター、ドリッパーなどの開発、販売を手がけるハリオ商事と組み、新たな商品開発にも取り組む計画だ。