
アルバイト仲介アプリ「タイミー」を展開するタイミーは9月15日、シリーズDラウンドで53億円の資金調達を実施した。調達金額の内訳は、40億円の第三者割当増資と13億円のデットファイナンスだ。同社の累計調達額は90億円となった。
第三者割当増資の引受先として、海外からは香港を拠点とするクロスオーバー投資家のKeyrock Capital Management、Kadensa CapitalとSeiga Asset Managementが参加。国内からはみずほキャピタル、みずほ銀行とシニフィアンによるグロースファンドのTHE FUND、そして伊藤忠商事とKDDIグループのコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)であるKDDI Open Innovation Fundが新規投資家としてラウンドに加入した。なおタイミーでは資金調達と同時に伊藤忠商事とは資本業務提携を締結し、KDDIとは業務提携の検討を進めている。
タイミーは2018年8月にローンチしたアルバイト仲介アプリで、ギグワーカーと事業者をマッチングする。従来アルバイトの採用においては当たり前だった応募と面接のプロセスを省き、働きたい時だけ働くことを可能としたギグワークのプラットフォームだ。これまでに200万人以上のユーザーがタイミーを利用し、約4万4000店舗が求人を掲載した。
調達した資金は開発や営業体制強化のための人材採用やユーザー獲得のためのマーケティングに利用する。
今回の資金調達について、タイミー代表取締役の小川嶺氏は「上場も1つの手段として捉えている中で、上場後も見据えた資本施策を考え、シリーズDでは長期にわたり戦略的パートナーとして協力を得られる投資家を探していました」と話す。
香港の投資家3社にとって、タイミーへの投資は日本の未上場企業への初の投資案件だ。
「香港の投資家たちは、日本の未上場市場、グロースステージは要注目と話すなど、日本のスタートアップへの期待は高まっています。日本のマザーズ市場は最も上場しやすい市場の1つで、大きな時価総額でなくても上場することが可能です。上場後に大きな時価総額を目指す会社もいますが、未上場で潜っていくという選択肢も増えてきていると思います」
「1000億円、3000億円、1兆円と目指すスタートアップに、数百億円の時価総額で出資できる市場が、日本の未上場市場であり、マザーズ市場なのだと思います。グローバルに見ても類まれな市場なのではないでしょうか」(小川氏)