ソロアーティストのNOA
ソロアーティストのNOA
  • キャリアの転機となった「BIGBANG」と「ONE OK ROCK」
  • トリリンガルを生かし、グローバルのファンを獲得

BTS(防弾少年団)などを中心に、世界の音楽シーンで存在感を示しているK-POP。数多くのヒット曲を生み出してきた韓国に単身で渡り、歌唱力やダンススキルなどを磨いた後、2020年1月に日本でデビューを果たした“逆輸入アーティスト”がいる。

彼の名は「NOA(ノア)」。NOAは自ら楽曲制作やダンスの振り付けなども手がける、新進気鋭のアーティスト。日本語・英語・韓国語を話せる“トリリンガル”という強みを生かし、InstagramやTwitterなどのSNSを通じて海外のファンとも交流することで、アジア圏を中心にグローバルで人気を獲得していっている。

例えば、2020年6月にリリースした2作目のデジタルシングル「TAXI feat. tofubeats」はタイのSpotifyバイラルチャートで1位を獲得。また、2021年3月に実施したオンラインライブはインドネシア3位、フィリピン8位、タイ26位とTwitterでトレンド入りしている。

NOAのキャリアのスタートは12歳にさかのぼる。2012年当時、韓国の男性アイドルグループ・BIGBANGに憧れ、「彼らのようになりたい」という思いに突き動かされるままに単身で渡韓。そして、韓国の美容院でBIGBANGや女性アイドルグループ・BLACKPINKなどが所属する芸能事務所「YG ENTERTAINMENT」にスカウトされ、そのまま日本人初の練習生として所属。6年ほどレッスンを受けた。

練習生としてボーカルやダンス、楽曲制作、語学などの基礎を学び、2018年に日本に帰国。その後は現在所属している事務所「アミューズ」のオーディションに合格し、2020年1月に1作目のデジタルシングル「LIGHTS UP」をリリースした。2021年8月にはシングル「LET GO feat. JEON WOONG(AB6IX)」でメジャーデビューし、10月10日は3カ月連続配信シングルの3作目として「Highway」をリリースする予定だ。

オーディション番組の人気などを背景に、韓国でK-POPアイドルを目指す若者は急増中だ。だがNOAが渡韓した2012年頃、韓国でK-POPアイドルを目指すという道は、今ほど理解されるものではなかった。そうした中、なぜ彼は韓国でアーティストとしてのスキルを身に付け、逆輸入というかたちで日本デビューしたのか。NOAの考えを聞いた。

キャリアの転機となった「BIGBANG」と「ONE OK ROCK」

──アーティストを目指すことになった、きっかけは何ですか。

5歳の頃に見た、映画「ハイスクール・ミュージカル」がきっかけです。そこから、音楽とダンスで表現するエンターテインメントに興味を持つようになりました。また、母親が音楽好きだったこともあり、物心ついたときからクラシックやジャズ、R&B、ヒッポホップなど、さまざまなジャンルの音楽を聴いていました。

本格的にアーティストを目指すようになったのは、テレビでBIGBANGさんのパフォーマンスを見たときです。テレビ越しながら衝撃を覚え、「自分もこの人たちのようになりたい」と思いました。それでK-POPの本場・韓国に行くことにしたんです。

渡韓した最初の月にYG ENTERTAINMENTのアーティストやタレントがよく通っている美容院に行ってみたら、BIGBANGさんを担当するヘアメイクさんに声をかけられて。その流れでオーディションを受けてみたら、合格しました。

それからYG ENTERTAINMENTの日本人初の練習生として、レッスンを受けていくことになりました。当時は1年くらい現地のスクールでレッスンを重ねてから、オーディションを受けようと思っていたので驚きました。

──韓国の練習生生活はハードだと聞いています。当時はどのようなスケジュールだったのでしょうか。

最初の頃はお昼にレッスンを受けて、すぐ家に帰っていました。ただ、練習生の生活も慣れてきた14〜15歳くらいからは、朝の11時頃から、(自主練習も含めて)終電の時間ぐらいまで練習していました。大体、0時半ごろまで練習してから帰る、という感じでしたね。

──練習生としてスキルを積んでいく中、いつ頃から「日本での音楽活動」に意識が向いていったのでしょうか。

大きなきっかけとなったのは、(4人組ロックバンド)ONE OK ROCKさんのソウルでのコンサートを見たときです。自分は最初K-POPアイドルを目指し、グループとして練習を積んできました。いろんなことを学ぶうちに、グループより1人で作詞作曲ができるソロアーティストになりたい、という思いがどんどん強くなっていきました。

グループとしての練習に燃え尽きかけていたタイミングで、ONE OK ROCKさんのライブパフォーマンスを見て、自分も「日本から世界に向けて発信していきたい」と強く思うようになりました。それで帰国する決断をし、2018年に日本に戻ってきたという感じです。

その後は、いま所属しているアミューズのオーディションを受けて合格し、デビューに向けて、ずっと曲づくりなどの準備していました。

トリリンガルを生かし、グローバルのファンを獲得

──2020年1月に1作目のデジタルシングル「LIGHTS UP」をリリースしています。それから約1年半以上が経ちましたが、手応えはいかがでしょうか。

「LIGHTS UP」をリリースしてからすぐにコロナ禍になってしまい、ファンの人たちと直接お会いする機会がほとんど持てなかったのは悔しい部分でした。ただ、悲観的になっていても仕方ないので自宅でできることを探し、YouTubeでカバー動画も投稿したり、インスタライブをしたり、ファンのみなさんとコミュニケーションをとりました。

そういった活動を通じて、多くの人に自分のことを知ってもらい、その結果としてタイのSpotifyバイラルチャートで「TAXI feat. tofubeats」が1位を獲得でき、嬉しい限りです。

──NOAさんのインスタライブは、さまざまな国の人がコメントしているのが印象的です。コミュニケーションで何か意識されていることはありますか。

日本語・英語・韓国語を話せるので、その強みを生かして、さまざまな国の人とコミュニケーションがとれたらと思っています。

だからこそ、インスタライブなどで英語でコメントをもらったときは英語で返答し、韓国語でコメントをもらったときは韓国語で返答することを心がけています。また、曲づくりに関しても英語の歌詞を入れるなど、“グローバル”は重視しています。

例えば、海外で流行っている曲などはチェックするようにしていて、何か良い要素があれば取り入れるようにしています。

──他に曲づくりで意識していることはありますか。

曲を通して、どんなメッセージを伝えたいか。これは常に意識するようにしています。また、今の時代はファンの人たちとコミュニケーションをとれるので、会話を通して「ファンはどんな曲が好きなのか」はなるべくチェックしています。

あとはSpotifyやApple Musicなどのサブスクリプションサービスで曲名が表示されたときに、少しでも「この曲を再生してみようかな」と思ってもらえるように、シンプルでメッセージ性のある曲名にすることを心がけています。

──Spotifyなどのサブスクリプションサービスはアーティストにとって、どういう存在でしょうか。

自分の魅力をアピールできる場所だと思っています。サブスクリプションサービスのおかげで全世界に発信しやすく、いろんな国で聞いてもらえる可能性が広がるのは良いことです。実際、Spotifyなどを通して自分の曲が世界中に広がっていくのを見るのは面白かったですし、「TAXI feat. tofubeats」のヒットがきっかけとなり、過去の曲が掘り起こされる形で再生回数が増えていったのはサブスクリプションサービスならではだと思います。

──最近のヒット曲はTikTokから生まれることもあります。NOAさんは自身でダンスの振り付けも考えられるそうですが、TikTok映えなどは意識されますか。

踊ってもらいやすい振り付けなどは意識しますね。例えば、ファーストEPのリード曲「Too Young」はMVの中でもTikTokをイメージした映像があります。またコロナ禍の2021年1月にリリースしたので、家の中でも踊ってもらえるように、特に意識して振り付けを考えました。

──最後にNOAさんが目指すアーティスト像を教えてください。

自分は今まで、いろんなアーティストの曲に勇気づけられたり、背中を押されたりしてきました。今はアーティストという立場になったからこそ、自分の曲を聞いてくださる人に元気や一歩踏み出すきっかけを提供できるアーティストになりたいと思っています。