
- 年間宅配便のうち、5〜10%を「メルカリ」の荷物が占める
- 2024年までにメルカリポストを全国8000か所まで拡大
フリマアプリ「メルカリ」で取引された商品の発送・集荷の効率化に取り組んできたメルカリ。2020年に入ってからは、郵便局職員やコンビニ店員による対面の接客なしに商品の発送ができる「メルカリポスト」を開始したほか、日本郵便と連携し郵便ポストから発送できる「ゆうパケットポスト」を開始している。こうした取り組みを強化すべく、メルカリは新会社を設立した。
10月28日、メルカリは物流サービスの企画・開発・運営を行うことを目的に、100%子会社のメルロジを設立したことを発表した。
年間宅配便のうち、5〜10%を「メルカリ」の荷物が占める
2013年7月のサービスリリース以降、利用者を増やし続けているメルカリ。現在、月間利用者数は約2000万人となっており、累計出品件数は20億品を突破している。こうしたサービスの拡大に伴い、課題となっているのが「物流」だ。
国土交通省が発表した「令和2年度宅配便取扱実績」によれば、令和2年度の宅配便取扱個数は48億3647万個だった。そのうち、5〜10%をメルカリの荷物が占めていることがメルカリの調査でわかったという。また、コンビニ発送のうち約80%がメルカリの出品物の発送になっているとのことで、「日本全体の物流における、メルカリの取扱量は拡大の一途をたどっている」と、メルロジ代表取締役CEOの野辺一也氏は語る。
そうした背景を踏まえ、メルカリでは郵便局やコンビニエンスストアなどでの発送・集荷時のオペレーション負荷を解消すべく、全国約1000か所にメルカリポストを設置。また、パートナー企業と連携してオフラインのタッチポイントを拡充するなど、発送・集荷の効率化施策に取り組んできた。
だが、メルカリの流通取引総額が前年比で25%の成長を遂げていることから、「より効率的な集荷物流網を構築することが必要」(野辺氏)と判断。また、効率的な集荷物流網の構築が顧客体験をさらに向上させると考え、メルロジの設立に至ったという。
2024年までにメルカリポストを全国8000か所まで拡大
メルロジでは、メルカリが保有する発送取扱量、メルカリポストやメルカリを“体験しながら学べる”リアル店舗「メルカリステーション」(全国11か所)をはじめとした自社のタッチポイントを基盤に、テクノロジーを活用した効率的な集荷物流網(パートナーとの連携による、トラック・倉庫などの自社アセットを持たない形での展開)の構築を目指していく。
「メルカリが持つ月間利用者2000万人の取引データをもとに、より荷量が多い場所を特定し、集荷の精度を上げる。また、2024年までにメルカリポストの設置箇所を全国8000か所に拡大し、集荷効率の最大化を図っていきます」(野辺氏)
その集荷物流網をもとに、売れた商品を持ち込むだけで発送が完了する「梱包レス発送」(2021年4月より実証実験中)、発送前の商品のクリーニング、リペア(2022年春に導入予定)といった付加価値サービスを提供していくという。

また、グループ会社のソウゾウが展開するEコマースプラットフォーム「メルカリShops」の出店者向けに、出品・梱包・発送代行を担うサービスを提供するなど、メルカリグループの他の事業とのシナジー創出も目指していく。
「今後はメルロジの集荷物流網を広く開放し、メルカリポストを活用した他社ECの商品返品などの発送対応や、メルカリグループ以外のサービスを使ったネットショップ出店者にも、保管・発送サービスの提供を行っていければと思います」(野辺氏)