Photo: Yuichiro Chino / gettyimages
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世界的にエネルギー価格や原材料価格が高騰している。ニュースに目を通せば「世界的なインフレ懸念」という見出しの記事をいくつも見るし、実際にガソリンを入れたり、スーパーで買い物をしていたりすると日本でも物価上昇を実感することもあるだろう。

しかし、一方で日本は未だにデフレを脱却出来ていないという話も聞く。今回は一見すると矛盾している、この事象の背景について学んでいこう。

そもそも物価とは何か? インフレ、デフレについての理解

そもそも一般的に物価が上昇している、下落しているという場合、何をもって物価というのだろうか。日本では総務省統計局が毎月発表している「消費者物価指数」を指して物価という。消費者物価指数は物価全体を表す「総合指数」以外にも、「生鮮食品を除く総合」、「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」という2つのデータも重視されている。

なぜ、生鮮食品やエネルギーの価格を除くのか。それは台風や干ばつなどの天候要因で価格が大きく変動してしまう生鮮食品や、地政学リスクや投機資金の流出入など実需以外の要因によって価格が大きく変動してしまうエネルギー価格の影響を除くことで物価動向の実態を把握するためだ。

冒頭でインフレやデフレという言葉を使ったが、経済に馴染みのない方のために簡単に説明をしておこう。インフレは「インフレーション」の略で物価が継続的に上昇する状態を意味し、デフレは「デフレーション」の略で物価が継続的に下落する状態を意味している。