
ついに日本での投資活動を開始した、ソフトバンクグループの10兆円ファンド、ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)。10月29日には日本市場での第1号案件として、バイオベンチャーのアキュリスファーマへの投資を発表した。そして12月2日には、スニーカーのマーケットプレイス「SNKRDUNK(スニーカーダンク)」を展開する日本のスタートアップ・SODAへの出資を明らかにした。
SODAは2018年7月に設立し、2019年8月よりSNKRDUNKを展開する。SNKRDUNKはスニーカーに特化したCtoCのマーケットプレイスで、真贋鑑定を実施することで偽造品の流通を防ぐ。
SODAは2021年7月、NAVER子会社のKREAM Corporationやソフトバンク・ベンチャーズ・アジアを引受先とするシリーズCラウンドで、約62億円の資金調達を実施したことを発表。累計調達額は約87億円、評価額は約240億円となったことを明かしていた。
今回の資金調達はシリーズDラウンドで、引受先はSVFの2号ファンド。調達金額は非公開だが、同社の評価額は約380億円となった。
なぜSODAは日本展開開始直後のSVFから出資を受けられたのか。代表取締役の内山雄太氏は「既存投資家に同じソフトバンクグループのVCであるソフトバンク・ベンチャーズ・アジアがいたことが大きかった」と説明する。
SVFを株主に迎えた理由について、内山氏は「国内では『ヤフオク』、『PayPay』、『LINE』といった最大手サービスとの連携が可能になります。そして彼ら(SVFの2号ファンド)は世界各国のC向け(一般消費者向け)サービスに投資しているため、得られる知見は豊富です」と話す。
内山氏が言うとおり、モビリティやフィンテックといった領域への投資が目立った1号ファンドと比較して、2号ファンドは各国の一般消費者向けサービスへの出資に積極的な印象だ。以下は2号ファンドが出資する一般消費者向けサービスの一例だ。
調達した資金をもとに、SODAでは今後、国内に加えて、シンガポール、オーストラリア、香港といった海外市場の獲得を目指す。同社は7月、資金調達と併せて競合スタートアップ・モノカブの買収も発表しているが、これについても目的は海外展開の加速だったと内山氏は言う。
「少しでも早く海外市場の獲得へ動きたかったことから、国内で両社が多額の広告宣伝費を消費していくよりも、買収を通じて手を取り合うことが最善であると判断しました」(内山氏)
スニーカーのマーケットプレイスという領域にはすでに米国のStockX(評価額38億ドル:約4180億円)やGOAT Group(評価額37億ドル:4070億円)といったユニコーン企業が存在する。そんな中でSODAが海外で事業を拡大するには、各市場の特異性に対応し、既存の巨大プラットフォーム以上の利便性を提供する必要がある。その上で、SVFが持つ知見は大いに生かされるだろう。