Photo: daboost/gettyimages
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海外投資家などの参入により、大型の資金調達が目立った2021。ソフトバンク・ビジョン・ファンドも日本での投資活動を開始するなど、海外の目も日本のスタートアップに向けられるようになってきた。

資金調達の大型化に伴い、待遇改善に動くスタートアップも出てきた。日本経済新聞社が12月に公表した「NEXTユニコーン調査」によると、2020年度のスタートアップの平均年収は601万円で、上場企業の平均とほぼ同等の水準だった。2021年度には5パーセント増え、630万円となる見通しだ。

そして給与だけでなく、ストックオプション(新株予約権)を活用した新たな取り組みも見られるようになってきた。未上場で資金が少なく、高額の報酬を支払うことが難しいスタートアップにとって、ストックオプションは優秀な人材を獲得する上で重要なインセンティブ制度だ。

ストックオプションは、あらかじめ定められた価格で株式を取得できる権利だ。企業が役員や従業員に対してインセンティブとして付与し、役員や従業員は権利行使することで会社の株式を行使価額で取得できる。安価な行使価格を設定しておき、上場後、株価が上昇した時点で行使し、株式を売却すると、行使価額と株価との差がキャピタルゲインとして得られるという仕組みだ。

そんなストックオプションだが、日本では基本的にその会社を退職することで権利を失効するケースが多い。そこにで他社との差別化として、退職後もストックオプションの権利を保有し行使することができる新制度を導入し、優秀人材の獲得を図るスタートアップも出てきた。