
Twitterによるショッピング機能「Twitter Shops」のローンチを筆頭に、海外のテクノロジー業界では先週(3月6日から3月13日)も、さまざまなビッグニュースが飛び交った。
毎週月曜日に掲載する連載「海外テックニュース-Trend Now」では、特に注目すべきニュースを編集部が独自にピックアップし、お伝えする。今週は世界最大規模のSpotifyが子供・家族向けポッドキャストの制作に注力すると明かした。米国を中心に盛り上がるポッドキャスト市場を動画配信プラットフォームのYouTubeはどう見ているのか。
Twitterがショッピング機能「Twitter Shops」をローンチ、ユーザー基盤の拡大を視野に
音声配信機能の「Spaces」、応援したいアカウントに直接送金できる“投げ銭”機能の「Tips(旧:Tip Jar)」、有料サブスクリプション機能の「Twitter Blue」などの提供を2021年に開始し、ますます多機能化が進むTwitter。怒涛(どとう)の勢いで新機能を追加するTwitterが次に注力するのは、ショッピング機能の拡充だ。
Twitterは3月9日、ショッピング機能「Twitter Shops」のベータ版をローンチした。この機能を使えば、企業は商品カタログをプロフィール上に表示し、販売することが可能となる。2021年7月からは同様のショッピング機能「Shop Module」を試験的に提供していたが、この機能では最大でも5件の商品しか登録できなかった。そのため、Twitter Shopsでは最大で50件の商品を扱えるようにした。
Twitter Shopsを使うと、企業のTwitter上のプロフィールには「View shop」というボタンが表示される。TwitterユーザーはView shopをクリックすると、企業が掲載した商品を閲覧できる。商品を購入しようとすると、企業の販売ページにリダイレクトされる。企業はこの機能を無料で利用でき、Twitterは決済処理や販売の手数料を徴収しない。

Twitter Shopsは現在、米国のiPhone版でのみ提供。通信大手のVerizonやフードデリバリーサービスの「All I Do Is Cook」が利用している。正式版のリリース予定や、日本での展開については明言していないが、Twitterのプロダクトマネージャー、ジャスティン・ホアング氏は公式ブログで「Twitter上でのショッピングを可能な限り優れた体験にしてみせます。ご期待ください」とつづっている。
Twitterは2021年11月にもライブショッピング機能「Live Shopping」を発表していたが、企業やクリエイターにより「モノを売る場」として大いに活用される競合SNSのTikTokやInstagramと比較して機能が揃っていないため、Twitter上での売買のやりとりは活発ではない。
Twitterが掲げる指標であるmDAU(Monetizable Daily Active Users:収益化可能なデイリーアクティブユーザー数)は現在2億1700万人規模だが、同社では2023年までに3億1500万人規模にまで増やすことを目指している。ショッピング機能の拡充は、mDAUの急拡大を目指すTwitterにとって、大きな一手と言えるだろう。
ポッドキャストの拡充を目指すSpotify、子供・家族向けコンテンツに注力
移動中や作業中に気軽に聞けることから、海外を中心に人気を博す音声コンテンツのポッドキャスト。AppleやAmazonのほか、世界最大規模のストリーミングサービスSpotifyも近年、コンテンツの拡充に注力している。
Spotifyは2019年、最大で5億ドル(約580億円)もの資金を投じて、ポッドキャスト制作・配信を手掛けるメディアの「Gimlet」、そしてポッドキャスト制作プラットフォームのAnchorを買収。米新聞社「The New York Times」によると、2020年には2億ドル(約230億円)以上をつぎ込んで、コメディアンのジョー・ローガン氏によるポッドキャスト「The Joe Rogan Experience」との独占契約を交わした。
Spotify上では2021年、120万件もの新たなポッドキャストエピソードが配信され、ユーザー数の底上げに貢献した。そしてさらなるコンテンツ拡充を視野に、同社は3月8日、音声クリエイターの育成プログラム「Sound Up」において、子供や家族向けのコンテンツ制作を目指す配信者の支援を強化すると明かした。
だが、音声コンテンツであるポッドキャストの盛り上がりを、動画配信プラットフォームのYouTubeは気持ちよく思っていないようだ。米通信社のBloombergは3月5日、YouTubeがポッドキャスト配信者に資金を提供し、動画コンテンツ制作の支援に乗り出す計画だと報じた。ポッドキャストを制作する個人には5万ドル(約580万円)程度、事業者には20万ドル(約2300万円)から30万ドル(約3500万円)程度の資金を提供する予定だという。