Photo by Towfiqu barbhuiya on Unsplash
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  • 大事なのはお金の「増やし方」よりも「使い方」
  • 投資を始める際に知っておくべき「複利」の概念
  • 複数の企業の株に分散させる投資でリスクを低減
  • 長期・つみたて・分散投資に適した金融商品が並ぶ「つみたてNISA」

4月に入り、新年度が始まった。気持ち新たに何かを始めようとする人も多いだろう。筆者の周りにもダイエットを始めたり、筋力トレーニングを始めた知人がいる。

また、高校の授業での投資教育も義務化された。老後2000万円問題などの影響もあり、新たな挑戦として「投資を始めてみよう」という声もよく耳にするが、どうも投資と聞くと難しく考えてしまう人が多いようだ。今回は投資を始める前に知っておきたいことを4つのポイントでまとめてみた。「怖い」とか「難しそう」といった先入観を捨てて読んでみて欲しい。

大事なのはお金の「増やし方」よりも「使い方」

まず投資を始める前に知っておきたいことは、お金の増やし方よりも使い方だ。「投資はお金を増やすためにやるんじゃないの?」と思った方もいるだろう。

最近は「FIRE」という言葉が流行っている。FIREとは「Financial Independence, Retire Early(経済的自立と早期リタイア)」という意味だ。このFIREを達成すべく、日々の出費を極力抑えて、その分を投資に回している人の話を聞く機会が増えている。

たしかに、毎月投資に回すお金を増やしていき、相場環境が良い状態が続き、運用がうまくいけば、定年を待たずに引退し、仕事の重圧から解放された生活を送ることができるだろう。しかし、20代、30代のうちに自己投資にお金を使って能力を向上させたり、飲食にお金を使いながら友人を増やしたりして人脈を広げる、または旅行や読書にお金を使って知見を広げることも重要であることは忘れてはいけない。

そもそも投資に充てるお金は余剰資金でなくてはいけない。生活に必要なお金は投資に充ててはいけないし、無理して捻出する必要もない。まずは少額からでもいいので、無理のない範囲から始めることが重要だ。

投資を始める際に知っておくべき「複利」の概念

無理のない範囲から始める理由は他にもある。無くなってもいいお金など存在しないが、投資に充てているお金が余剰資金であれば、目先の増減に一喜一憂することはなくなるからだ。

どれだけ投資や経済に関する知識・経験を積み上げたとしても、将来を正確に予測できるようにはならない。長い投資生活を送る中で、時には評価損が大きくなる瞬間もあるだろうし、逆に評価益が大きく膨らむ瞬間もあるだろう。

しかし、相場の動きに応じてその都度売買を頻繁に繰り返しているようでは、人生における多くのリソースを投資に充てないといけなくなってしまう。専業の投資家でもない限り、そのようなライフスタイルは送れないだろうし、送りたくもないだろう。多くの人は家族や友人との時間、仕事、趣味など、さまざまなことにリソースを充てることになるからだ。

また、長期投資をすることで複利の効果が働くことも理解しておくべきだろう。100万円投資して、1年後に105万円になったら増えた5万円を引き出して、翌年も100万円を投資に回すよりも、増えた5万円もそのまま投資し続けた方が効率的に資産を増やすことができるという考え方だ。金融リテラシーを測った際に、国際的にみて日本人は複利の理解が平均よりも低いという調査があるが、投資を始めるのであれば複利の概念は知っておく必要がある。

複数の企業の株に分散させる投資でリスクを低減

投資を始めようとしても、いざ本当にお金を投資に充てようとすると怖いものだ。その感覚は決して間違っていない。しかし、怖がっていたらいつまで経っても始められないし、怖いと思いながら続けるのもつらいだろう。

そこで、重要になってくることがリスクを低減させるということだ。リスクを低減する代表的な方法の1つに分散投資がある。

分散と一言でいっても、さまざまな種類の分散がある。その1つが、投資先を1社の株に集中させるのではなく、複数の企業の株に分散させる投資だ。そうすることによって、仮に投資先の1社の株価が大幅に下落してしまっても、投資資産への影響を低減させるということだ。

次に投資対象の資産の種類を分散することが挙げられる。株式だけでなく、債券や不動産、原油や金などのコモディティ(商品)にも投資をするのだ。そして、投資タイミングを分散するという方法もある。株式市場が大きく下落した時に「チャンスだ!」と決め打ちするのではなく、たとえば毎月定額を同じ投資対象に投資し続ければ、投資タイミングを計る必要がなくなる。いわゆる「つみたて投資」という手法だ。

長期・つみたて・分散投資に適した金融商品が並ぶ「つみたてNISA」

長期で資産運用をする場合、期待されるリターンと同様に重視されるのが金融商品にかかるコストだ。年率0.5%程度の差であっても、投資期間が20年、30年と長くなればその影響は大きくなってくる。前述した複利の概念と同じことである。

さて、投資を始める前に読む記事にもかかわらず、いろいろと書いてきてしまったため、一度ここまでで学んだことを整理しよう。長期投資、分散投資、つみたて投資、低コスト。これら4つのポイントを押さえればよい。「最後まで読んだけどやっぱり難しいじゃないか」と思った方もいるだろう。そこでお勧めしたいのが「つみたてNISA」という制度の活用だ。

つみたてNISAとは、長期の積立・分散投資を通じた資産形成を後押しするために創設された税制優遇制度。年間の投資上限額は40万円となっているが、これから投資を始める人には毎月3万円のつみたて投資は十分と言えるだろう。

また、つみたてNISAでは投資できる金融商品の数に限りがあるが、金融庁が低コストで長期・つみたて・分散投資に適していると判断したものだけで構成されているため、投資対象を選ぶのに時間を割かずに済む。そして、なによりもつみたてNISAを通じて得た投資の利益は非課税になるというメリットがある。

まずは少額からお得な非課税制度を活用して投資を始めてみて、徐々に知識や経験を積んでから、自分の将来プランに応じて個別株への投資など投資のバリュエーションを増やしてみるといいだろう。