
スタートアップやビジネスの変革に取り組む“挑戦者”を表彰する「SIGNAL AWARD 2022」。120社以上からのエントリーを受け付けた本アワードでは4月26日、オンライン開催の表彰式イベントにて最終審査の結果を発表する。
最終審査の審査員を務めるのは以下の4名だ。革新性・成長性・持続性・市場規模とシェアの4項目で採点を行い、最も優れた企業を決定する。
- グロービス・キャピタル・パートナーズ ジェネラルパートナー 高宮慎一氏
- シニフィアン共同代表 朝倉祐介氏
- マクアケ共同創業者・取締役 坊垣佳奈氏
- 早稲田大学ビジネススクール教授 入山章栄氏
今回は一次審査を通過した20社の中からアスエネ、ナナメウエ、matsuri technologies、令和トラベルの4社を紹介する(掲載は五十音順)。
企業のCO2削減をサポートする気候テック企業「アスエネ」

アスエネはテクノロジーを活用して企業のCO2削減をサポートするクライメートテック(気候テック)領域のスタートアップだ。日本企業においても“脱炭素化”の機運が高まる昨今、同社ではCO2排出量の見える化・削減クラウドサービス「アスゼロ」を通じて企業の課題解決に取り組んでいる。
アスゼロの特徴はAI OCRなどの技術を活用することにより、簡単な作業で排出量を可視化できること。またソフトウェアと“SX(Sustainability transformation)コンサルティング”をセットにすることで、排出量の算出から具体的な削減目標の設定や削減策の提案までをワンストップで提供する。
アスエネは三井物産出身の⻄和田浩平氏らが2019年に創業。直近では2022年4月にシリーズBラウンドで国内外の投資家から総額18億円を調達した。
代表取締役CEOを務める西和田氏は「2020年の日本政府のカーボンニュートラル宣言により脱炭素社会への変容が急務となっており、世界・日本でサプライチェーンCO2排出量の削減要請も毎年増加しております。これからも、企業のお客様に対してCO2排出量見える化・削減を中心とした脱炭素経営支援をおこない、ミッションの『次世代によりよい世界を』を追求してまいります」と今後の抱負を語っている。
登録者500万人超えの通話コミュニティを手がける「ナナメウエ」

ナナメウエではZ世代を中心に500万人以上が登録する通話コミュニティ「Yay!(イェイ)」を運営している。
Yay!は匿名性のSNSで、同世代の人や同じ趣味・趣向を持つ人と交流しやすいように設計されているのが特徴。掲示板のようなオープンなタイムラインに加えて、共通点のあるユーザー同士が「サークル」を作って交流できる。
最大18人で使えるグループ通話機能も人気の要因の1つで、ユーザー同士が音声でつながりながらゲームやYouTube、雑談を一緒に楽しむ場所になっている。中には6〜7時間に渡って通話をつなぎっぱなしのユーザーも存在するという。
2022年4月には複数の投資家から16億円の資金調達を実施。今後はWeb3時代の新しい居場所の創出を目指してトークンを絡めた取り組みなども計画している。
「世の中に『民主化』の流れが来ています。 SNSの文脈では、匿名で素が出せてフラットで多様性があり、他人に寛容なサービスへと人が移動しています。 ファイナンスの文脈では、クリプトが250兆円以上の市場を形成しています。 このSNSとファイナンスの民主化が混ざりあうものこそが次世代のバーチャルワールドを形成します。 Yay!がこの世界No.1になれるよう全力を尽くします」(石濵氏)
テクノロジーで空間の価値を最大化する「matsuri technologies」

「テクノロジーを用いて『たび』と『すまい』の形を変える」をテーマに複数の事業を展開するmatsuri technologies。同社が現在力を入れているのが、テクノロジーを活用して空間の価値を最大化することを目指した「StayX」事業だ。
StayXでは既存の住宅や空き家などのインフラにテクノロジーを取り入れることで、1つの物件を宿泊施設や貸し会議室、短期滞在施設といったようにさまざまな用途で運用可能な空間へと変える。
この仕組みを支えるのが一連のオペレーションをデジタル化するために開発した5つのSaaSだ。物件所有者にとっては大きな負荷なく物件を柔軟に運用でき、空室リスクの解消や収益の向上を見込めるのが特徴。チェックインからチェックアウトまでの工程がオンラインで完結するため、ゲストにとっても面倒な手続きなどがなく利便性に優れる。
コロナ禍で売上の85%を占めていたインバウンド宿泊客が一気に消滅するなど大きな打撃も受けたが、複数の新規事業を立ち上げることによって売上高は2年間で約3倍に成長した。2022年3月には20億円の資金調達も実施しており、StayX事業を中心に事業を拡大させていく計画だ。
連続起業家が創業、海外旅行ツアーのDXに取り組む「令和トラベル」

ホテル・旅館の宿泊予約サービス「Relux」を運営するLoco Partnersの創業者で、2020年3月31日まで同社の代表取締役を務めた篠塚孝哉氏。その篠塚氏が“海外旅行”の変革という新たな挑戦に向け、2021年に立ち上げたのが令和トラベルだ。
同社が取り組むのは「海外旅行ツアー」のDX。デジタル技術を活用し、スマホから簡単にお得な海外旅行ツアーを予約できる仕組みの実現を目指している。
令和トラベルでは創業から3ケ月で約22億円を調達し、コロナ禍の逆風の中で地道にプロダクト開発を進めてきた。厚生労働省の「入国後の自宅等待機期間の変更」に関する発表を受け、2022年4月に待望の海外ツアー予約アプリ「NEWT」をローンチ。現在はハワイを対象に300以上のツアーを扱っており、すでに初月から数千万円の手配予約が進み始めているという。
「海外旅行自由化から60年、これほど大きな変革が起きたことはありませんでした。まだまだ混沌とした世の中ではありますが、デジタル技術を駆使して海外旅行を簡単・お得にしていき、誰もが安心してアクセスできる社会を目指します」(篠塚氏)
4月26日に開催するSIGNAL AWARD 2022のオンラインイベントでは、表彰式に加えて、メルカリ創業者・代表の山田進太郎氏らが登壇するセッションなども実施する。イベントへの参加は無料で、Peatixにて参加登録を受け付けている。