
- 設立から18年、福岡発スタートアップの雄・ヌーラボが上場承認
- その他のスタートアップニュース
福岡市長の高島宗一郎氏が旗振り役となり、福岡市がスタートアップの創業支援などを行う指針を示した「スタートアップ都市ふくおか宣言」を発表したのは2012年のこと。宣言から10年の節目となる今年、福岡のスタートアップ・エコシステムにおいてエポックメイキングな出来事があった。ヌーラボの新規上場承認だ。
今週(5/21〜5/27)の「スタートアップ最新動向-Weekly SIGNAL」では、ヌーラボの新規上場承認のほか、ニュースが相次いだ医療関連スタートアップ各社の動向などについて取り上げる。
設立から18年、福岡発スタートアップの雄・ヌーラボが上場承認
ヌーラボはプロジェクト管理ツール「Backlog(バックログ)」や、オンライン作図・共有サービス「Cacoo(カクー)」、ビジネスチャットツール「Typetalk(タイプトーク)」を展開する、福岡発のスタートアップ。会社の設立は2004年だ。
福岡が“スタートアップ都市”として名を馳せる、ずっと前から福岡を拠点にし、地道に成長を遂げてきた。現在は本社を構える福岡のほか、東京や京都、ニューヨーク、シンガポール、アムステルダムにも拠点を構えている。
“福岡発スタートアップの雄”として知られるヌーラボが5月24日、東証グロース市場に上場承認されたことを発表した。上場予定日は6月28日。有価証券報告書によれば、同社の2021年3月期における売上高は19億3864万円で、経常損失は852万円の赤字となっている。
この10年の間で数多くのスタートアップが上場することで、スタートアップ・エコシステムは発展を遂げてきた。しかし、福岡に関してはさまざまなスタートアップが生まれてきたものの、株式上場を果たすスタートアップの事例はほとんどなかった。
過去には、CAMPFIRE代表取締役の家入一真氏が福岡で立ち上げた会社「paperboy&co.(現:GMOペパボ)」は2008年12月にJASDAQ証券取引所に上場しているが、その4年前の2004年に本社を福岡から東京に移している。
そうした背景もあり、今回のヌーラボの上場承認は福岡のスタートアップ・エコシステムにとって、エポックメイキングな出来事と言えるだろう。上場する事例がなかなか生まれてこなかった福岡のスタートアップ界だが、今回を機にエコシステムがさらに発展していくのではないだろうか。
その他のスタートアップニュース
ドクターメイト、合計10億円の資金調達
介護施設向けに医療相談・夜間オンコール代行を提供するドクターメイトは5月23日、シリーズBラウンドにおいて、グローバル・ブレイン、農林中金イノベーションファンド 、Aflac Ventures、DBJキャピタル、SMBCベンチャーキャピタルの5社を引受先とした第三者割当増資によって合計10億円を調達したことを発表した。
mov、総額7億円の資金調達を実施
口コミサイトの一括管理ツール「口コミコム」を運営するmovは5月25日、千葉道場ファンドをリードインベスターとし、KDDI Open Innovation Fund 、NTTドコモ・ベンチャーズ、Rakuten Capital、i-nest capital、Coral Capital、SMBCベンチャーキャピタルを引受先とした第三者割当増資によって、総額7億円の資金調達を実施したことを発表した。
ユーフォリア、総額7億円の資金調達を実施
スポーツ選手がパフォーマンス向上、ケガ予防を行うためのコンディション情報管理システム「ONE TAP SPORTS」などを展開するユーフォリアは5月25日、慶應イノベーション・イニシアティブ、アトラエ、MTG Ventures、イノベーション・エンジン、コクヨ、りそなキャピタル、KDDI Open Innovation Fundを引受先とする第三者割当増資によって、総額7億円の資金調達を実施したことを発表した。
タウンドクター、5000万円の資金調達を実施
生活習慣病患者・予備軍向け食事指導サービス「NPartner」の開発を行うタウンドクターは、DEEPCOREからJ-KISS型新株予約権の発行によって、5000万円の資金調達を実施したことを発表した。
FOODCODE、総額4億円の資金調達を実施
アプリでしか買えないカレー「TOKYO MIX CURRY」を運営するFOODCODEは5月25日、ジェネシア・ベンチャーズをリードインベスターとし、スクラムベンチャーズ、デライト・ベンチャーズ、ハウス食品グループイノベーションファンド、個人投資家のアレンマイナー氏を引受先とした第三者割当増資によって、総額4億円の資金調達を実施したことを発表した。
ディー・エヌ・エーが291億円でアルムを買収
ディー・エヌ・エー(DeNA)は5月25日、医療関係者間コミュニケーションアプリ「Join」などを展開するアルムの株式を段階的に取得し、子会社化する予定であることを発表した。買収金額は292億5400万円。
まずはアルムの第三者割当増資を引き受け、7月にアルムの株式の37.3%を保有する見通し。その後、アルムによる自己株式の取得や消却などを経た上で、同社の坂野哲平社長が保有する普通株式を取得し、議決権の57.5%を保有することで子会社化する想定だという。
SDFキャピタル、デットファンドを新たに設立
2021年11月創業のSDFキャピタルは5月24日、スタートアップ向けのデットファンド(借入のかたちで融資を実行するファンド)を新たに立ち上げたことを発表した。1社あたりの投融資金額は数千万円〜数億円程度を見込む。