
- 動画の製作費2億円。登録者数9000万人のYouTuber「MrBeast」
- YouTuberがレストランを巻き込んで「D2C」ハンバーガーチェーンを開始、ほかのインフルエンサーとコラボも
- クリエイターが起業家になったという文脈で考えるとクリエイターエコノミーは当然の帰結
- 13歳未満の子どもたち「α世代」は「メタバースネイティブ」
- 「デジタルスキンは毎日変えるもの」Fortniteはファッション企業
- 歴史上やっとインターネット上のクリエイティビティにマネタイズオプションがついた
誰もがコンテンツの作り手として経済価値を生み出すことができる、「クリエイターエコノミー」の時代。今後はどのような姿になっていくのだろうか──本稿はクリエイターエコノミー協会による寄稿だ。同団体は日本のクリエイターエコノミー発展に向けた活動を行っており、その一端として開催されたイベントのレポートである。
クリエイターエコノミー協会では「活躍する個人とプラットフォームの現状」と題し、人気ポッドキャスト「Off Topic」を運営する宮武徹郎氏をゲストに迎えてイベントを開催した。その模様をレポート前後編でお届けしている。
前編では宮武氏に、テクノロジーの進化とクリエイターエコノミーの歴史をかいつまんで解説していただいた。
クリエイター自身がオーナーシップを持つようになった、現在のクリエイターエコノミーの姿とは。後編では、アメリカの最新事例から、クリエイターエコノミーのこれからを考察する。モデレーターは、クリエイターエコノミー協会代表理事の1社であるメディアプラットフォーム運営のnoteプロデューサー・徳力基彦氏が務める。

動画の製作費2億円。登録者数9000万人のYouTuber「MrBeast」
──今の米国におけるクリエイターエコノミーの先端事例をお聞かせください。日本ではクリエイターエコノミー(の定義)はまだぼんやりしている感じがあります。たとえばクリエイターエコノミーの分類で言うと、YouTuberのHIKAKINさんなどはちょっと古いタイプになるわけですよね。広告が収入源だし、YouTube側から出ていけといわれた瞬間にアカウントを失ってしまうという意味では、プラットフォーマーに生殺与奪権を握られています。
日本のYouTuberはわからないですが、特にここ2年ぐらい前から、アメリカのYouTubeは広告(による収益確保)がより厳しくなっています。ちょっと変なことを言ってしまうクリエイターさんは、広告もNGになって、BAN(アカウント凍結)されてしまいます。
──速攻でBANされるんですか。スリーストライクアウトとかじゃなくて。
人によってなんですけど。
──過激すぎるとワンストライクアウトになっちゃうんですね。
たとえ1000万人のYouTube登録者がいたとしても、YouTubeだけでは稼げないと気付いているクリエイターさんが多いです。今回最初に紹介するべき人は、Off Topicのリスナーさんは何回も聞いている名前ですが、MrBeast(ミスタービースト)さんです。
10、11年ぐらい前からYouTubeをやっている方で、いま24、25歳ぐらいなんですけど、おそらくYouTuber初の億万長者というか、ビリオネアになるのかなと個人的には思っています。登録者数は現在9000万人。今年、1億人に届きますね。
──そのペースで増え続けているってことですね。
絶対行きます。去年の始めごろで5000万人ぐらいを突破したタイミングだったので。
──1年で4000万人増えているんですか。
はい。
──はぁ、すごいですね。

左上の動画は「イカゲーム」を完全再現したものです。ちなみに、この動画の制作費は2億円です。
──映画じゃないですか。この動画だけで?
はい。もうこのレベルはハリウッド(の映像業界)化しています。彼は広告収入も得ていますし、グッズ販売もしています。実はほかにも複数のYouTubeチャンネルを持っているので、そこの広告収入を全部制作予算に寄せているんですよ。ただ、全部の動画に2億円をかけているわけではないです。イカゲーム再現動画のときだけですね。
──HIKAKINさんが何かあったときにプレゼントをさっと配ることと、文脈としては近いと思います。(視聴者プレゼントでなく)コンテンツへの投資に回すっていうのが欧米っぽいですね。
そうですね。月次の制作予算が4億円ぐらいです。
──本当に? 僕が初耳っていうのはちょっと恥ずかしいけれど、たぶん日本では知らない人が多いですよね。
日本ではこれから知る人が増えます。なぜかというと、MrBeastさんは最近、声優さんを採用して、ほかの言語でも出しているんです。
──いまは英語だから英語の情報をウォッチしている人にしか届かないけど、日本のTwitterでバズったら一発ですね。今、後頭部を殴られたような衝撃を受けています。YouTuberで成功している人はNetflixなどに番組を提供するようになるのかなって(想像していたんですが)、今はもう違うんですね。自分のプラットフォームで作っちゃうんだ。
MrBeastはNetflixにも行ったんですけれども、NetflixがNGを出しました。
──なるほど。ちょっと文脈が合わないのでしょうか。
MrBeastは、文脈的に言いますと次世代版のゲームショーホストとして考えたほうがいいと思います。彼はいろんなゲームを考えているんですが、よくあるパターンが、彼が1台のランボルギーニを買って、どこかに置いて友達を呼び、最後まで手を置いていた人がランボルギーニをもらえる……そういう系統の動画をいっぱい出しています。
それも、YouTubeのアルゴリズムを考えながらそういう動画を作っていて、そこにはかなり大金を使うんですけど、MrBeastの凄さはYouTubeだけではないというところが大きくて。2020年末には「MrBeast Burger」というハンバーガーチェーンを作りました。
YouTuberがレストランを巻き込んで「D2C」ハンバーガーチェーンを開始、ほかのインフルエンサーとコラボも
──ちょっと待ってください。MrBeastはYouTuberですよね。
YouTuberです。
──YouTuberがバーガーチェーンを作るんですか。
はい。このバーガーチェーンがちょっと特殊でして、リアル店舗がないんですよ。

これです。MrBeast Burgerです。彼が何をやっているかといいますと、全米のレストランと提携して、レストランにハンバーガーの素材を送って、レストランが作って、Uber Eatsでデリバリーしてもらっています。
──すごい。もう本当に「D2C」ですね。
店舗がいらないんですよね。MrBeast Burgerという名前ですと、いわゆる一般人でも買ってくれるじゃないですか。そこから、もしかしたらYouTubeにつながるかもしれないっていう(逆の)流れもあります。
しかも、ローンチ時に300店舗を一気にオープンしたんです。リアル店舗がないので。あえてそれをゴーストキッチンにしなかった理由は、コロナ期間中だったから。レストランへのレベシェア(レベニューシェア)ができるので、レストランとしてもすごくよかったと。
──レストラン支援! すごい。この人、めちゃくちゃ好きになりました。スケールでかいなぁ。近いことをやっている日本のYouTuberはいますけど、MrBeastってブランドで一気通貫にしてるところがすごいですね。
そこからの展開もすごくて。1年ちょっとやっているんですけど、いまアメリカとカナダとロンドンで1000店舗以上展開しています。
重要なのは、インフラを彼が作ったので、その上でいろんなほかのインフルエンサーとコラボできることなんですよ。「Minecraft」プレイ動画で有名なYouTuberでDreamという人がいるんですけど、彼とも提携して「Dream Burger」を作りました。

Dreamさんからすると楽じゃないですか。300店舗に一気に販売できるので。MrBeastからすると、場合によっては5年後、10年後、自分のMrBeast Burgerを運営していなくても、いろんなYouTuberたちのバーガー屋さんになっていればいいんですよね。
クリエイターが起業家になったという文脈で考えるとクリエイターエコノミーは当然の帰結
──MrBeastとかDreamとか、グローバルで通用するブランドネームの取り合いも並行してありますね。
それもありますね。たしかに。
──覚えやすいですよね。
MrBeastではもうひとつ新しい取り組みがあります。お菓子ブランドを作ったんです。最初にチョコレートを出したんですけど、「チャーリーとチョコレート工場」という映画をオマージュしたかたちで、チョコレートバーを作りました。

チョコレートバーにはステッカーが入っていまして、その裏にコードが貼ってあるんです。そのコードを入力すると、抽選にチャレンジできます。チョコレートを買うだけで、もしかしたらチョコレート工場をもらえるかもしれないとか、テスラ(の電気自動車)をもらえるかもしれないんです。
──チョコレートバーにも、MrBeastらしい遊び心があふれているんですね。
いわゆるゲームショーホスト的なかたちで、こういうもの(展開)があるわけです。
──この規模のレベルになってくると、さっき(前編)のクリエイター側に力があるという話の意味がすごくよくわかります。
なので、クリエイターが起業家になったという文脈で考えてもいいのかなと思います。YouTuberとしてはある程度ありがちなパターンではあるんですけど、彼はいろんなことをやっているので、個人的にすごく面白いなと思っています。
13歳未満の子どもたち「α世代」は「メタバースネイティブ」
──もうちょっと身近な事例も教えていただけますか?
たとえばゲームでは「Roblox」が今すごくはやっていますが、Robloxのクリエイターもいっぱいいます。Robloxは「体験プラットフォーム」という形で、Robloxの中でいろんなゲーム体験ができ、いろんなバーチャル世界をユーザーが作れるのですが、Robloxの運営自体は何も作っていません。「Fortnite」と違いユーザーが全部作っていて、特にアメリカだとほとんど子どもが(コンテンツを)作っています。

──13歳未満の子どもたちが使っているプラットフォームで、自分でゲームをこの中で作れる。
ゲームしたり、ほかの人が作ったゲームを遊べたりするところが、ちょっと「Minecraft」っぽくて。ただ、その中で経済圏ができていて、実際に物を売買できたりするんです。
──何かモノを作ったら、それを欲しい人に売れば、お金をもらえて当たり前だよねっていうのを、13歳未満の子どもたちがもう体験しまくっていると。
体験しまくっています。でも、この層って生まれた歳で言うと、2010年とか2011年ぐらいの層じゃないですか。そのタイミングで何が出たかと言いますと、iPadが発売されたんですよね。たぶん徳力さんも覚えていると思うんですけど、赤ちゃんがiPadでスワイプしていて、テレビもスワイプしちゃったりとか。
──そうですそうです、うちの長男もそうです。2歳児でもiPadって使えるんだねっていう世代ですね。
その世代がRoblox世代なんですよ。バーチャル世界のネイティブの人たちですね。
──そうですね。自分の13歳のときを想像しちゃ駄目なんですね。
僕はミレニアム世代なので「インターネットネイティブ」とよく言われているんですけど、「Z世代」と呼ばれている方々はどちらかというと「スマホネイティブ」と言われていて、次のα世代がまさに今のRobloxのユーザーさんたち。そこがたぶん「メタバースネイティブ」みたいな文脈になるのかなと思いますね。
でも、このRobloxの中だと、いろんなデジタルアイテムを皆さんが作っていて、実際に専門のクリエイターも出てきています。いま26、27歳ぐらいのRobloxのクリエイターでMegan Letterさんという方がいるんですが、彼女はRobloxのゲームスタジオ(Wonder Works)を立ち上げて、年間800万ドル(約8億円)ぐらい稼いでいます。

最近、Robloxは日本のユーザーがすごく増えていて、去年からたぶん倍ぐらいになっています。
──それもやっぱり13歳未満が多いから、言語とか関係なく、直感的に入れるからでしょうね。
直感的にある程度入れるものですし、日本のコンテンツも結構増えているからでしょう。
「デジタルスキンは毎日変えるもの」Fortniteはファッション企業
──なるほど。クリエイターエコノミーのスケールの大きさが皆さんに伝わっているとよいのですが。
オンラインの記事も情報が飛び交っているからこそ、より信頼する人とか、信頼できるエクスパティーズ(専門家の見解)を欲しがる人が増えていますよね。
──自分がブロガーだから、「オンライン上の記事がこんなにあるのに、なんでわざわざ有料で記事買うの?」と思っちゃう側の人間だったんです。クリエイターエコノミー→課金→金儲けって思っちゃう、昭和世代の自分がどうしてもいるんです。けれどもnoteに入社して、noteを利用する方々のモチベーションとか、お金を払う理由を聞き、noteのクリエイターの方からは「仲間内の安全なエリアという壁を作るために課金にしているんです」みたいな話を聞くと、やっぱり違うんですよね。
Robloxも「子どもにやらせて、子どもがお金稼ぐとか」と、つい思っちゃいますけど、今の話を聞くとそうではなくて、普通に友達と何かをやっていて、「ちょっとこれちょうだい」って言ったら「これと交換ね」みたいな行為が、オンライン上で行われているぐらいの感じなんですね。
しかも、どんどん進化していまして、今ではたとえばアメリカでクリスマスプレゼントに何が欲しいか子どもに聞くと、Fortniteの通貨や、Robloxの通貨が欲しいって言い始めるんです。
──現金よりもゲームの通貨のほうが、彼らにとってはよりリアルなマネーということですね。
特にコロナの期間中ですと、どうしても友達とリアルで会えないので、誕生日会とかをRoblox上でやります。そこでは、やっぱり自己表現が重要になってくるので、「デジタルスキン」とかが大事になってくるわけですね。
──面白いですね。うちの次男は「Pokémon UNITE」で遊んでいますが、課金するとスキンとかが変えられるんですよね。いっさい強くならないので、僕からしたらこれにお金を払う意味がわからないんですけど、友達の家に行くときにちょっとおしゃれな服を着ていくっていう感覚なんですよね。
逆にリアルな場ですと、毎日着替えているわけじゃないですか。いまRoblox上でそれと似たようなことが起こり始めています。
──アバターで毎日同じ服を着ていると……。
カッコ悪い……ってなるんですよね。
──大変な時代だなって思っちゃいますが、普通なんですよね。
RobloxはUGCコンテンツなのでちょっと違いますけど、Fortniteはファッション企業として見たほうがいいんですよ。
──Fortniteはファッション企業ですか。名言が来ました。
もちろんゲーム会社でもあるんですけど、結局あそこ(配信元のEpic Games)って、スキンでマネタイズしているので。
──ファッションとはなにかという話でもありますよね。
自己表現の場なので。Fortniteって毎年37億ドル(約4000億円)から55億ドル(約6000億円)ぐらいの売り上げなんです。その規模感のファッション企業ってどこかというと、PRADAさんとか、そういう企業になってくるんですよ。
──面白いですね。noteで「バーチャルマーケット」さんとイベントをしたときに聞いたのですが、BEAMSさんはメタバースを、オンラインでリアルの服を売るための入り口にしているそうなんです。けれど、アバター用の服も結構売れるらしいんです。実際、今はオンライン空間にいる時間のほうが我々は長いですから。
どんどん長くなっていると思います。だからこそ今、Roblox上ですと、毎日来ているデイリーアクティブユーザー(DAU)の大体5分の1が、毎日何かしら自分のアバターのアイテムを変えているんですよ。それって、ほぼ毎日服を着替えているのと同じようなことが、今(オンラインで)起きているってことなんですよね。

──オンライン上のコミュニケーションや、今のクリエイターという言葉に対する僕のイメージは古いんだなって、ちょっと思い知りました。宮武さんのアメリカの話を聞いて、スケールがデカいなというのが皆さんにも伝わっていればうれしいです。
歴史上やっとインターネット上のクリエイティビティにマネタイズオプションがついた
──やっぱり日本のクリエイターエコノミーはこれからですね。でも、その芽は出てきている気はします。noteのクリエイターの方でも、本当にだんだんと横展開されている方が増えている感じもありますし。
ここまでの話を聞くと、アメリカのクリエイターエコノミーに日本は完全に差をつけられちゃった感じがするので、日本も頑張りましょう。日本のほうが強い領域は絶対にあると思います。
絶対ありますね。
──ちょっと僭越かもしれませんけど、僕ですらクリエイターの可能性のリミットみたいなものが、今日完全に弾けてましたから。僕は「テレビ番組はもっと世界を意識して作りましょう」と記事ではよく書いていますけど、個人のクリエイターでもそれは全然可能だということですもんね。
全然可能だと思いますね。それこそコンテンツの種類によっては、まったく言語がわからなくても。特にTikTokがそうですね。
──きゃりーぱみゅぱみゅさんとか、たぶんすごいポジショニングにあると思います。
しかも、いろんな種類のクリエイターがいるので。たとえばTikTokですと、「アイスクリームクリエイター」がいて、彼の動画は言葉を理解してなくても、アイスクリームを作っている目線で動画を作ったんだってわかるので。
──言葉を超えやすいコンテンツってありますよね。日本もアニメとかにそういう可能性があると思います。当然、クリエイターエコノミー協会だけでやることではないですけれども、横のつながりで世界に、という点では(皆さん)まだまだ苦戦していると思うので、ぜひ協会の皆さんも参加いただければと思います。
私自身が今、クリエイターエコノミー協会の活動自体にコミットしているわけではないんですけれど、日本でクリエイターエコノミー的なものが広がっていくためには、こういうことに挑戦するクリエイターの方が増えていかないといけないと思うんです。
別にアメリカがすべてだとは思わないですけれど、日本に今、何が欠けていて、広がっていくためにはこういうことにトライしてもいいんじゃないかな、というヒントになりそうな話を、1つだけ追加していただけますか。
そうですね。概念的な話になってしまうんですけど、今までのインターネットは、クリエイティビティと相性がすごく悪かったと思う人が多いんですよ。それこそ、たとえば記者やジャーナリストのコンテンツがUGCコンテンツと同じような取り扱いを受けたり、コピーされたりするので、クリエイティブな仕事をしている記者などが稼ぎづらくなっています。逆にアーティストさんも無償で写真をネットにあげないといけないとか、そういう状況になっています。
ですが、これは実はインターネットがクリエイティビティと相性が悪いという話ではなくて、クリエイターエコノミーの歴史と、インターネットの歴史を見ると、今までは、そこにクリエイティブに対するマネタイズオプションがなかっただけなんですよね。
──そうですね。みんなが無理だと思って最初から提供しなかったから、なかったとも言えますよね。
だからこそnoteさんとかのサービスはすごく重要な立ち位置にいます。結論から言うとクリエイティビティは、今のWeb2.0と相性が悪かったというだけ。Web2.5、Web3.0では、より相性がよくなります。
──それは前向きになれる話ですね。今までだと、バズるための記事の書き方という話で、その場でバズって広告収入を集めるのが、Web2.0のメディアの行く末みたいになっちゃった流れがありました。
はい。今までですと、Twitterで出したり、Facebookで出したり、いろんなもので出して、それこそOff Topicでもいろいろ出しているんですけど、それで「拍手」をもらっているだけ、「いいね」をもらっているだけなので。
──そうですね。「同情するなら金をくれ」っていう言葉が浮かんでしまった古い人間ですが、たしかにそうですね。拍手をもらえるのは楽しいんですけど……。
それはすごくいいと思うんですけど……。
──本業にはできないですよね。拍手をもらうことでは。
でも、すごくいいアーティストさん、絵を書く方々や音楽を作る方々って、拍手だけ(しかもらえない)じゃないですか。リアルな世界では、もちろん拍手だけもらう人もいますけど、より優秀な方、より優れた方は、お金をもらえるという概念が当たり前なんですけど、ネットの世界では当たり前ではない。
──確かにそうですね、当たり前じゃないんですよね。
それを今後どう変えていくのかというのが、クリエイターエコノミーの課題になっています。クリエイターエコノミー3.0がファンとの直接的なマネタイズオプションで、クリエイターエコノミー4.0がWeb3.0の領域っていうところになっていますね。
──価値あるものにはお金が払われるのが当然という文化に、ある意味戻るべきという話ですよね。未来に向けて希望が持てる話をしていただき、本当にありがとうございました。
ありがとうございました。

宮武徹郎氏(Off Topic 代表取締役)
USバブソン大学卒。2014年に新卒でデジタルガレージに入社し、ベンチャー投資育成チームに配属。主に北米のスタートアップ企業への投資に従事。2020年に独立してクリエイターと世界、テクノロジーと社会を結びつけ、カルチャーモーメントを生み出すメディアブランド・コミュニティカンパニー「Off Topic」を立ち上げる。
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