Photo by Stephen Lam/Getty Images
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  • MRヘッドセット「HoloLens」の父、キップマン氏がセクハラ報道の後に退社へ
  • 情報管理ツール「Notion」が次世代カレンダーサービス「Cron」を買収
  • ブレア元首相の息子が率いるMultiverseや、EC事業者を支援するスウェーデンの「Juni」が大型調達

米Microsoftのテクニカルフェローで、複合現実(MR)ヘッドセット「HoloLens」の生みの親として知られるアレックス・キップマン氏。そのキップマン氏が、セクシャルハラスメントなどの問題行動を報じられた後に、21年在籍したMicrosoftを退社することが明らかになった。

今回の「海外テックニュース-Trend Now」では、キップマン氏が退社へと追い込まれた背景や、情報管理ツール「Notion」によるカレンダーアプリ「Cron」の買収、そして先週明かされた大型の資金調達を紹介する。

MRヘッドセット「HoloLens」の父、キップマン氏がセクハラ報道の後に退社へ

MRヘッドセット「HoloLens」の生みの親として知られる、米Microsoftのテクニカルフェロー、アレックス・キップマン氏が同社を退社する。米ウェブメディア・Insiderなど複数のメディアが6月8日に報じた。Microsoft社内ではキップマン氏による暴言やセクシャルハラスメントが横行していたことを、Insiderが5月25日に伝えていたばかりだった。

米テックメディア・GeekWireが独自入手した社内メールによると、キップマン氏は今後2カ月間で引き継ぎ作業を完了させた後に退社する予定だ。そのメールはMicrosoftのクラウド・AI分野のトップ、スコット・ガスリー氏によるもので、同氏は「我々は彼が当社を離れ、新たな機会を追求するのにふさわしい時期だと判断した」と話している。また、同メールでは、MR部門のハードウェアチームを「Windows and Devices」部門に、ソフトウェアチームを「Experiences and Devices」部門に統合する計画についても説明している。

ガスリー氏のメールはキップマン氏については言及していない。だが、ガスリー氏が社内に組織再編のメールを送信したのは、Insiderがキップマン氏の問題行動を報じた直後のことだったとInsiderは報じている。

情報管理ツール「Notion」が次世代カレンダーサービス「Cron」を買収

多機能な情報管理ツールNotionを展開する米サンフランシスコのスタートアップ、Notion Labs。同社は6月10日、カレンダーサービス「Cron」を買収したと発表した。

2020年設立のCronは米名門アクセラレーター・Y Combinator出身のスタートアップ。提供するカレンダーサービスのCronはまだ一般公開されていないため、まだその詳細については謎が多い。だが、優れた性能や操作性がデモ版を利用するユーザーから評価され、新サービスやアプリを紹介するウェブサイト・Product Huntによって「Productivity App of the Year(今年の生産性向上アプリ)」に選ばれている。

今後の方針に関する詳細は明かされていないが、公式ブログには「Notionはあなたの生活や仕事を整理整頓する場所。Cronはあなたのスケジュールを管理する場所。Cronの従業員はNotion Labsにジョインしますが、NotionとCronではビジョンやブランドを共有しながらも、別々のサービスとして進んでいきます」と綴られている。

Notion Labsでは2021年9月にも、ビジネス版のIFTTTともいえるサービスの「automate.io」を買収。同社の買収戦略については、CEOのアイバン・ザオ氏が筆者の独占取材で説明している。

ブレア元首相の息子が率いるMultiverseや、EC事業者を支援するスウェーデンの「Juni」が大型調達

アプレンティスシップの「Multiverse」が2億2000万ドルの資金調達

イギリスのトニー・ブレア元首相の息子であるユアン・ブレア氏がCEOを務めるスタートアップのMultiverseは6月8日、2億2000万ドル(約294億円)の資金調達を発表。ラウンドはシリーズDで、Lightspeed Venture PartnersやGeneral Catalystといった米名門ベンチャーキャピタル(VC)がラウンドをリードした。

2016年に設立されたMultiverseでは、企業が候補者を見習いとして雇い、実践的な職業経験を積ませる教育制度「アプレンティスシップ」のプラットフォームを展開。GoogleやFacebookといった大手IT企業も、Multiverseを活用して、アプレンティスシップ制度により求職者受け入れている。

EC事業者を支援する「Juni」が2億600万ドルの資金調達

EC事業者の収支管理を支援する「Juni」は2億600万ドル(約276億円)の資金調達を実施。米テックメディア・TechCrunchが6月9日に報じた

Juniは2020年にスウェーデンで設立したスタートアップだ。今回のラウンドはシリーズBで、EQT Ventures、Felix Capital、Cherry VenturesといったヨーロッパのVCが出資を引き受けた。

「培養肉」と「植物肉」をブレンドするSCiFi Foodsが2200万ドルの資金調達

代替肉を開発するイギリスのスタートアップ・SCiFi Foodsは6月8日、米名門VC・Andreesen HorowitzがリードするシリーズAラウンドで、2200万ドル(約29億円)を調達したと発表。SCiFi Foodsが開発する代替肉は、動物の細胞を体外で組織培養することによって得られる「培養肉」と植物性素材から成る「植物肉」をブレンドしていることが特徴的だ。