Photo: Chesky_W/gettyimages
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  • 2022年度中の出荷を目指す、テトラ・アビエーション開発の"空飛ぶクルマ”
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今年の3月、北海道日本ハムファイターズの"BIGBOSS”こと新庄剛志監督が本拠地開幕戦で“空飛ぶバイク”に乗って登場したのは記憶に新しい。

テクノロジーの進展とともに、次世代のモビリティ開発に取り組むプレーヤーが増えている。"空飛ぶクルマ”、いわゆるeVTOL(電動垂直離着陸機)を開発するテトラ・アビエーションもそのうちの1社だ。現在、2022年度中のeVTOLの提供を目指し、開発を進めている同社は技術者の採用を目的に資金調達の実施を発表した。今週(6/18〜6/24)の「スタートアップ最新動向-Weekly SIGNAL」では、そんなテトラ・アビエーションの資金調達について取り上げる。

2022年度中の出荷を目指す、テトラ・アビエーション開発の"空飛ぶクルマ”

空飛ぶクルマ──少し前まではSF映画の中の話かと思われていたが、実は近い将来に実現する可能性が高まってきている。2022年1月末時点で、空飛ぶクルマの学会「VFS(Vertical Flight Society)」には600個のeVTOLが登録されている。

ここ数年、欧米を中心にeVTOL市場は盛り上がりを見せており、Emergen Researchの最新の分析によれば、2028年に2億8840万ドルの市場規模に達するという。

欧米のプレーヤーたちが巨額の資金調達を実施し、開発を推し進めていく中、国内でeVTOLの開発に取り組んでいるスタートアップがテトラ・アビエーションだ。

同社は2020年に米国で開催された航空機コンペ「GoFly」向けにコンセプトモデルとなる「teTra Mk-3」を発表。その後、市販向けのeVTOL「teTra Mk-5」を発表した。teTra Mk-5は世界40台の販売目標を掲げ、予約受付を開始している。

2022年度中には最初の顧客への出荷を目指しており、日米において一般公開可能な有人飛行を含めた飛行試験を実施。米国でのアマチュアビルド市場における認証も取得していくという。現在、試作4号機まで製造している段階だ。

そんなテトラ・アビエーションは技術者の採用を目的に、三井住友海上キャピタル、テイ・エステック、協和テクニカ、東鋼、三菱ガス化学などの事業会社を引受先とした第三者割当増資によって、合計4.5億円の資金調達を実施したことを発表した。

今後は、個人利用としてのeVTOLを開発・販売し、購入者からのフィードバックをもとに量産型eVTOLの開発を行っていくという。2025年に開催予定の大阪万博での飛行など2拠点間移動サービスを行うための機体をリリースしていく考えだ。

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SEAM、約6200万円の資金調達を実施

低アルコールのクラフトカクテルブランド「koyoi」を展開するSEAMは6月23日、ひょうご神戸スタートアップファンドをリードインベスターとし、広島ベンチャーキャピタル、iFund、Full Commit Partners、個人投資家を引受先とする第三者割当増資によって、約6200万円の資金調達を実施したことを発表した。

Ax Robotix、約1億円の資金調達を実施

ロボットベッド「Bexx:ベックス」や、AIで成長するロボット枕「Pixx:ピックス」を開発するAx Robotix(アックスロボティクス)は6月22日、既存株主であるインキュベイトファンド、ライフタイムベンチャーズに加え、新たにサイバーエージェント・キャピタル、三井住友海上キャピタル、Relicなどを引受先とした第三者割当増資により、プレシリーズAラウンドで約1億円の資金調達を実施したことを発表した。

SUPER STUDIO、総額約44億円の資金調達を実施

D2C支援事業やECプラットフォーム「ecforce」を提供するSUPER STUDIOは6月22日、31VENTURES、ALL STAR SAAS FUND、きらぼしキャピタル、ネットプロテクションズ、みずほキャピタル、三井住友海上キャピタル、三菱UFJイノベーション・パートナーズなどを引受先とした第三者割当増資によって、総額約44億円の資金調達を実施したことを発表した。

W3 Fortune、1.2億円の資金調達を実施

5555体の猫のイラストのNFTを販売し、その収益の50%を保護猫活動を推進する団体へ寄付するなどの経済的支援を行うNFTプロジェクト「CatRescue」を展開するW3 Fortuneは6月20日、シードラウンドでRelicおよびエンジェル投資家を引受先とした第三者割当増資によって1.2億円の資金調達を実施したことを発表した。

CO-NECT、3.7億円の資金調達を実施

BtoB受発注システム「CO-NECT」運営するCO-NECTは6月20日、GMO VenturePartners、ぐるなび、Headline Asia、NVC1号ファンド、山口キャピタル、レオス・キャピタルパートナーズからの第三者割当増資と、りそな銀行および日本政策金融公庫からの融資によって3.7億円の資金調達を実施したことを発表した。

LegalForce、約137億円の資金調達を実施

AI契約審査サービス「LegalForce」や契約管理システム「LegalForceキャビネ」を展開するLegalForceは6月23日、SoftBank Vision Fundをリード投資家とし、Sequoia ChinaやGoldman Sachsのほか、既存投資家のWiL、みずほキャピタル、三菱UFJキャピタルなどを引受先とした第三者割当増資によって約137億円の資金調達を実施したことを発表した。

ACROVE、総額5億円強の資金調達を実施

BIツール「ACROVE FORCE」を軸に、ECプラットフォーム事業を展開するACROVEは6月20日、ニッセイ・キャピタル、博報堂DYベンチャーズ、日本郵政キャピタル、サイバーエージェント・キャピタルを引受先とした第三者割当増資によって総額5億円強の資金調達を実施したことを発表した。

NOT A HOTEL、NFT化したホテルの利用権の販売へ

アプリひとつで住まいとホテルを切り替えることが可能な「住めるホテル」を開発・販売するNOT A HOTELは6月21日、NFT化したホテルの利用権販売を開始することを発表した。これは、1棟あたり3億円台から8億円台で販売されている同社の物件(部屋)の利用権を1日単位にまで分割し、NFTとして125万円からという価格で販売するというもの。販売開始は8月を予定している。

Mantra、マンガ作品で英語の多読学習に取り組めるアプリをローンチ

マンガに特化したAI翻訳技術の研究開発を行うMantraは6月21日、集英社の協力のもと、マンガ作品で英語の多読学習に取り組めるアプリ「Langaku」のiOSアプリをローンチした。

経済産業省、スタートアップ関連の支援策を取りまとめた冊子を発行

経済産業省は6月21日、経済産業省と関係独立行政法人などが行っているスタートアップ関連の支援策を取りまとめた冊子「METI Startup Policies ~経済産業省スタートアップ支援策一覧~」を発行した。

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透明マウスピース型の歯科矯正サービス「DPEARL(ディパール)」を展開するフィルダクトは6月23日、Mistletoe Japan、セグメント、OPEN VENTURESおよび個人投資家を引受先とした第三者割当増資によって、約1.5億円の資金調達を実施したことを発表した。