Photo: metamorworks / Getty Images
Photo: metamorworks / Getty Images
  • 将棋AI「Ponanza」の開発リーダーが目指す、完全自動運転
  • その他のスタートアップニュース

ウクライナ侵攻や世界的なインフレ、米テック銘柄の株価急落などの影響を受け、市況が悪化。先行きが不透明な時代になりつつある。そうした時代を生き抜くために、大型のファイナンスに動いていたスタートアップも多くいたようだ。今週は(7/9〜7/15)は2桁、つまり10億円超の資金調達ニュースが相次いだ。

今週の「スタートアップ最新動向-Weekly SIGNAL」では、数ある大型調達のニュースの中から自動運転車の開発に取り組むTURINGの資金調達をピックアップした。

将棋AI「Ponanza」の開発リーダーが目指す、完全自動運転

自動車メーカー各社が研究開発に取り組む「自動運転技術」。どこまで運転を自動化するかによってレベルが0〜5の6段階に分けられており、日本では2022年4月に可決・成立した改正道路交通法がレベル4に対応している。

レベル4では、特定の条件下において運転操作をすべて自動で行い、緊急時の対応もシステムが担うため、無人での走行が可能となる。先日、自動車メーカー大手の本田技研工業(ホンダ)が都内の公道でレベル4の実証実験を本格的に実施することを発表した。

大手メーカーの研究開発・実証実験などが進む中、自動運転システム搭載の車両開発に取り組んでいるスタートアップがTURINGだ。代表を務める山本一成氏は過去にAIシステムを手がけるHEROZでエンジニアとして働いた経験を持つ。

HEROZ時代に開発リーダーを務めた将棋AI「Ponanza(ポナンザ)」は、世界で初めてプロ棋士に勝利したことで一躍、有名になった。

そうしたAI技術を活用し、完全自動運転のEV(電気自動車)の実現を目指して立ち上がったのがTURINGである。同社は、ディープラーニング(深層学習)を活用した映像認識AIを開発し、自動車のフロントガラスの内側から撮影した映像を学習させることで、アクセルやブレーキ、ハンドルの操作を判断できるようにする。

現在、自動運転AIアルゴリズムの開発および走行実験・走行データ取得に取り組んでいるTURINGは人員拡大と社内体制構築を目的に、ANRI、グローバル・ブレイン、DIMENSION、HEROZから総額10億円の資金調達を実施したことを7月13日に発表した。今後、自動運転システム搭載の車両開発を加速させていく予定だという。

その他のスタートアップニュース

HataLuck and Person、総額8億円の資金調達を実施

店舗マネジメントツール「はたLuck(R)」を手がけるHataLuck and Personは7月13日、31VENTURESに加え、戸田建設、オリックス、DDホールディングスベンチャーキャピタルを引受先とする第三者割当増資を実施し、シリーズCラウンドで総額8億円の資金調達を実施したことを発表した。

サロウィン、5億円の資金調達を実施

シェアサロン「SALOWIN」を展開するサロウィンは7月14日、ニッセイ・キャピタルを引受先とした第三者割当増資によって、5億円の資金調達を実施したことを発表した。

UPSIDER、国内メガバンク系VC3社から資金調達を実施

法人カード「UPSIDER」を提供するUPSIDERは7月13日、みずほキャピタル、SMBCベンチャーキャピタルによる資金調達を実施したことを発表した。金額は非公開。今回の発表によって、同社の既存株主である三菱UFJキャピタルも含め、国内メガバンク系VC3社からの資金調達が完了したことになる。

テンクー、総額7億円の資金調達を実施

ゲノム医療のためのトータルソリューションソフトウェア「Chrovis」を展開するテンクーは7月11日、スパークス・グループをリード投資家とし、ほか1社を含めた2社を引受先とする第三者割当増資によって総額7億円の資金調達を実施したことを発表した。

vivola、約1.2億円の資金調達を実施

不妊治療データ分析アプリ「cocoromi」などを展開するvivolaは7月11日、新規投資家としてKDDI Open Innovation Fund、みらい創造機構、GxPartners、既存投資家として、ANRI、ディープコアを引受先とする第三者割当増資によって、プレシリーズAラウンドで約1.2億円の資金調達を実施したことを発表した。

三井物産の社内スタートアップが取り組む脱炭素サービス

三井物産の社内スタートアップとして2022年2月に設立したe-dashは7月13日、米サンフランシスコ発の気候変動テクノロジー企業「Patch Technologies」との業務提携により、二酸化炭素(CO2)排出を相殺する「カーボンクレジット」をオンライン上で購入できるサービス「e-dash Carbon Offset」の提供を開始した。

リーディングマーク、5億円の資金調達を実施

10分間のアンケートに答えるだけで自社で活躍する社員の特徴を明らかにする「ミキワメ 適性検査」などを展開するリーディングマークは7月13日、マネーフォワードをリードインベスターとして、フェムトパートナーズ、AGキャピタル、新生企業投資の4社を引受先とする第三者割当増資によって5億円の資金調達を実施したことを発表した。

フライル、3億円の資金調達を実施

プロダクトマネジメントプラットフォーム「Flyle」を展開するフライルは7月12日、ALL STAR SAAS FUND、UB Ventures、Tablyを引受先とした第三者割当増資により、プレシリーズAラウンドで3億円の資金調達を実施したことを発表した。

スマートバンク、総額20億円の資金調達を実施

“家計簿プリカ”型の支出管理サービス「B/43(ビーヨンサン)」を展開するスマートバンクは7月13日、グロービス・キャピタル・パートナーズ、グローバル・ブレイン、Z Venture Capital 、ANRI、三井住友海上キャピタル、DBJキャピタルを引受先とした第三者割当増資によりシリーズAラウンドで総額20億円を調達したことを発表した。

READYFOR、約17億円の資金調達を実施

クラウドファンディングサービスなどを手がけるREADYFORは7月13日、JICベンチャー・グロース・インベストメンツ、第一生命保険、フォースタートアップスキャピタルを引受先とした第三者割当増資により、シリーズCラウンドで約17億円の資金調達を実施したことを発表した。

KAKEAI、総額11億円の資金調達を実施

1on1クラウド「Kakeai(カケアイ)」を展開するKAKEAIは7月13日、モバイル・インターネットキャピタル、DBJキャピタル、博報堂DYベンチャーズ、SMBCベンチャーキャピタルなどを引受先とした第三者割当増資によって、総額11億円の資金調達を実施したことを発表した。

Voicy、総額27.3億円の資金調達を実施

音声プラットフォーム「Voicy」を運営するVoicyは7月13日、既存投資家に加え、新規で海外投資家や国内投資家、ユーザーであるVoicyのパーソナリティなど個人投資家を引受先した第三者割当増資により総額27.3億円の資金調達を実施したことを発表した。

助太刀、総額18.5億円の資金調達を実施

職人と工事会社のマッチングプラットフォーム「助太刀」を運営する助太刀は7月13日、MPower Partners、はたらくFUNDおよび既存株主を含む複数の投資家を引受先とする第三者割当増資に加え、複数金融機関からの転換社債型新株予約権付社債や融資により総額18.5億円の資金調達を実施したことを発表した。