Photo: Andranik Hakobyan / gettyimages
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  • 新規上場は38社、2022年上半期の上場を振り返る
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サブスクリプション型のファッションレンタルサービス「airCloset」を展開するエアークローゼット、リアル行動データプラットフォーム「Beacon Bank」を展開するunerry(ウネリー)──この2社が東証グロース市場に上場した。

その一方で、ロシアのウクライナ侵攻に伴うマーケット環境の変化などもあり、住信SBIネット銀行やAnyMind Groupは上場延期を発表するなど、さまざまな動きがあった。今週(7/23〜7/29)の「スタートアップ最新動向-Weekly SIGNAL」では、改めて2022年上半期(6月30日まで)の上場件数を振り返ってみた。

新規上場は38社、2022年上半期の上場を振り返る

ロシアによるウクライナ侵攻の長期化に伴う世界的なインフレの加速、日米の金利差拡大などを背景とした急速な円安など、市況の悪化に関するニュースが幾度となく報じられた2022年の上半期。そうした背景もあり、住信SBIネット銀行やAnyMind Groupなど上場申請を取り下げるなど、上場延期を決めた企業も多い。2021年は通年で5件だったが、今年は上半期のみで8社が上場延期を発表している。

そうした中、2022年の上半期で東京証券取引所に新規上場した企業は38社だった。市場の主な内訳は以下の通りだ。

  • 東証プライム市場1社
  • 東証スタンダード市場10社
  • 東証グロース市場27社

新規上場した企業の中で最も話題を集めたのが、VTuberプロダクション「にじさんじ」を運営するANYCOLORだろう。公募・売出価格(公開価格)は1530円だったが、上場初日は買い気配のまま売買が成立せず、初値はつかなかった。上場2日目に公募の3.14倍となる、初値4810円を記録し、初値騰落率は214%となった。

2022年7月16日時点での時価総額が2714億円を記録したこともあり、一時は“フジテレビ超え”で大きな注目を集めた。

そのほか、エクイティファイナンスによって成長を遂げてきた企業として、ANYCOLORのほかに家事代行サービスを手がけるCaSy、ライブ配信サービスを手がけるモイ、メンタルヘルスソリューションを手がけるメンタルヘルステクノロジーズ、複数のSaaSを展開するヌーラボが東証グロース市場に上場を果たした。

また、下半期に入ってからは7月28日にUnerry、7月29日にエアークローゼットが東証グロース市場上場したほか、8月5日には北欧雑貨のECサイト「北欧、暮らしの道具店」を運営するクラシコムが東証グロース市場に上場する予定となっている。

その他のスタートアップニュース

アダコテック、合計4.2億円の資金調達を実施

独自の画像解析技術を用いて検査・検品業務の自動化に取り組むアダコテックは7月28日、日本政策金融公庫、商工組合中央金庫、三菱UFJ銀行からの融資により合計4.2億円の資金を追加で調達したことを発表した。

SOUNDRAW、約1.8億円の資金調達を実施

映像クリエイター向けAI作曲サービス「SOUNDRAW」を手がけるSOUNDRAWは7月28日、セレス、mint、iSGSインベストメントワークス、SMBCベンチャーキャピタル、DEEPCOREから、約1.8億円の資金調達を実施したことを発表した。

ユニラボ、3億円の資金調達を実施

法人向け受発注クラウドサービス「アイミツCLOUD」を手がけるユニラボは7月27日、新生銀行から新株予約権付融資によって3億円の資金調達を実施したことを発表した。

カムイファーマ、総額6.5億円強の資金調達を実施

炎症性腸疾患治療薬や膵臓がん治療薬などの研究開発に取り組むカムイファーマは7月26日、新規投資家としてCYBERDYNEおよび同社子会社が運営するCEJファンド、DGインキュベーション、広瀬克利氏のほか、既存投資家の三菱UFJキャピタル、北海道ベンチャーキャピタルを割当先とした第三者割当増資により、総額6.5億円強の資金調達を実施したことを発表した。

エニキャリ、総額約5.5億円の資金調達を実施

短距離・ラストワンマイル物流に特化した物流ソリューション事業を展開するエニキャリは7月26日、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、ENEOSイノベーションパートナーズ、Logistics Innovation Fund、JA三井リース、りそなキャピタルを引受先とした第三者割当増資によって総額約5.5億円の資金調達を実施したことを発表した。

Thinkings、16.2億円の資金調達を実施

採用管理システム「sonar ATS(ソナーエーティーエス)」を手がけるThinkingsは7月26日、インキュベイトファンドをリードインベスターとして、XTech Ventures、i-nest capital 、みずほキャピタルからの追加投資、およびSMBC日興証券、JA三井リースを新規投資家としてシリーズBラウンドで16.2億円の資金調達を実施したことを発表した。

Asobica、総額27.2億円の資金調達を実施

カスタマーサクセスプラットフォーム「coorum(コーラム)」を運営するAsobicaは7月26日、複数の投資家からの第三者割当増資等により総額27.2億円の資金調達を実施したことを発表した。

LayerX、法人カードの「バクラクビジネスカード」を発表

法人の支出管理領域にまるわるプロダクトを複数展開するLayerXは7月26日、法人カードの「バクラクビジネスカード」を発表した。8月に先行ユーザー向けに提供を開始し、9月以降に提供範囲を順次拡大していく予定だという。

fondi、1.7億円の資金調達を実施

英会話学習に特化したメタバース「fondi」を展開するfondiは7月27日、ANRI、ココナラスキルパートナーズ、Skyland Ventures、デジサーチアンドアドバタイジング、90sなどを引受先とする第三者割当増資により1.7億円の資金調達を実施したことを発表した。

TERASS、総額10億円の資金調達を実施

優秀な不動産エージェントから提案が受けられる不動産サイト「Terass Offer(旧Agently)」を展開するTERASSは7月27日、グロービス・キャピタルパートナーズ、SBIインベストメント、インキュベイトファンド、三菱UFJキャピタル、comboの5社を引受先とした第三者割当増資により総額10億円の資金調達を実施したことを発表した。

Opt Fit、1.95億円の資金調達を実施

ジム内に専用カメラを設置し、ジム運営をAI化するDXサービス「GYMDX」を展開するOpt Fitは7月27日、DEEPCORE、STATION Ai Central Japan 1号ファンド、ゼロイチキャピタルを引受先とした資金調達およし金融機関からの融資をあわせて1.95億円の資金調達を実施したことを発表した。

Ubie、35億円の資金調達を実施

医療機関向け「ユビーAI問診」と生活者向け症状検索エンジン「ユビー」を展開するUbieは7月27日、既存株主のスズケンに加えて、新規投資家として農林中金キャピタル、NVenture Capital、第一生命保険、エッグフォワードを引受先とした第三者割当増資によって35億円の資金調達を実施したことを発表した。現時点ではファーストクローズとしており、今後のファイナンスも視野に入れているという。

Mantra、約1.5億円の資金調達を実施

マンガに特化したクラウド翻訳ツールを手がけるMantra(マントラ)は7月28日、集英社、東京大学協創プラットフォーム開発、DEEPCORE、コンコードエグゼクティブグループ、ツクリエを引受先とする第三者割当増資により約1.5億円の資金調達を実施したことを発表した。