
Googleが日本でスタートアップ向けの新たな支援プログラム「Google for Startups International Sales Academy」を12月より開始する。新プログラムでは経済産業省(以下、経産省)と協力。経産省が手がけるスタートアップ支援制度「J-Startup」の採択企業から10社を選定してトレーニングを実施。海外市場における新規顧客やパートナーシップの獲得、資金調達のためのスキルなどを学ぶ。
Googleが日本でのスタートアップ支援プログラムを発表したのは約2年ぶりのこと。2019年秋に東京・六本木から東京・渋谷駅前の複合施設「渋谷ストリーム」にオフィスを移転。そのタイミングでGoogleの日本法人は、同社肝いりのスタートアップ支援施設である「Google for Startups Campus」をオープンした。2020年2月には同施設で開催するスタートアップ支援プログラムの「Google for Startups Accelerator」を発表していた。
このプログラムには9社のスタートアップが採択されたが、新型コロナ禍に直面。Googleはオフィスとともにこの施設を閉鎖。施設で実施予定だったプログラムのほとんどがオンライン開催へ移行するかたちとなった。
今回発表した新プログラムでは、9週間にわたり、起業家が7つのテーマを学習する。具体的にはGoogleの社員や専門家による動画での座学をはじめ、オンライントレーニングや1on1のメンタリングなどを実施する。10月よりスタートアップの応募を受け付け、12月よりプログラムを開始する。
Googleは7月28日、そのGoogle for Startups Campusにおいて、施設の再開と新プログラムについて発表する会見を開催した。会見には初代デジタル大臣の平井卓也氏や、長年スタートアップ支援施策などに取り組んできた経済産業省 経済産業政策局 新規事業創造推進室長の石井芳明氏らも登壇、新プログラムへの期待の言葉を語った。
国内でプログラムを統括するHead of Google for Startups Japanのティム・ロメロ氏は、「イノベーションを生み出すのは人。(人の)コミュニティがイノベーションを生み出す。プログラムを通じて海外進出に成功した起業家が、再び日本に戻り、その学びを新しい起業家に共有してくれることを心から願う。助け合いのコミュニティがイノベーションを促進する」と語った。
Googleでは、これ以外にも「Google for Startups」としてさまざまなスタートアップ支援制度を展開している。2021年には「Women Founders Academy: APAC」と題して、アジア太平洋地域の女性起業家に特化した12週間のプログラムなども開催した。
日本法人代表の奥山真司氏によると、2021年までにGoogleのスタートアップ支援プログラムに参加した国内スタートアップは55社にのぼる。また支援先企業がプログラムを契機に調達した資金は2021年で16億円以上となり、結果的に272件の雇用を創出したとしている。