Photo:leoimage / gettyimages
Photo:leoimage / gettyimages
  • 現実そっくりの仮想世界を自動生成するAI開発のスペースデータが総額14.2億円の資金調達
  • その他のスタートアップニュース

現実世界とそっくりの仮想世界をバーチャル空間上に再現する──まるでSF映画に出てきそうな技術が現実のものとなってきている。開発するのは、メタップスの創業者・佐藤航陽氏が新たに立ち上げた会社「スペースデータ」だ。

今週(7/30〜8/5)の「スタートアップ最新動向-Weekly SIGNAL」では、スペースデータの資金調達について取り上げる。

現実そっくりの仮想世界を自動生成するAI開発のスペースデータが総額14.2億円の資金調達

「メタバース」といった言葉の盛り上がりとともに、バーチャル空間で会議をしたり、音楽ライブを観賞したりといったことが少しずつ行われ始めている。従来のバーチャル空間は現実の世界とは明らかに異なるものとなっており、あくまでコンピュータグラフィックス(CG)で制作した“仮想的な空間”というものだった。

そうした中、衛星データと3DCG技術を活用してバーチャル空間上に現実そっくりの仮想世界を自動生成するAIを開発しているのが、スペースデータだ。同社はメタップス創業者である佐藤航陽氏が2017年に設立した。

スペースデータでは、人工衛星から取得した地上の静止画像と標高データに対して機械学習を行い、検出し、分類、構造化した上で、AI"が"地上の3Dモデルを自動生成する。その後、3DCG技術によって石・鉄・植物・ガラスなどの細かな材質も自動的に再現することで、現実そっくりの仮想世界を生成する。

同社が開発したAIアルゴリズムは、従来の3D地球儀が苦手とする人間視点(一人称視点)での3Dモデルを自動生成することを得意としており、VRやゲーム、映像制作といった三次元空間を人間の視点で動き回るような用途にも活用しやすいという。

下記の動画はAIが自動生成したバーチャル世界の「新宿」だ。新宿以外にも、バーチャル世界の「ニューヨーク」も生成している。

そんなスペースデータは8月3日、Spiral Capital、宇宙フロンティアファンド、KDDI Open Innovation Fund、GREE Ventures、平尾丈氏、富島寛氏、THE CREATIVE FUND、Headline Asia、前澤友作氏、MZ Web3ファンドを引受先とした第三者割当増資によって、総額14.2億円の資金調達を実施したことを発表した。

今後、世界中で高まるメタバースやデジタルツインの需要に対応して、さまざまなソリューションを企業や行政向けに提供していく予定とのこと。最終的には交通量・人通り・昼夜・四季・気温・植物分布・夜間光量など現実世界のあらゆるデータを取り込んで、限りなくリアルタイムの現実に近い「並行世界」をコンピューター上に再現するAIへと進化させることを目指すという。

その他のスタートアップニュース

フツパー、総額4.2億円の資金調達を実施

外観検査自動化AIサービス「メキキバイト」などを展開するフツパーは8月1日、ANRIをリードインベスターとして、フューチャーベンチャーキャピタル、池田泉州キャピタル、三菱UFJキャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、りそなキャピタル、および既存投資家から総額4.2億円の資金調達を実施したことを発表した。

Bonds Investment Groupの元パートナーが独立

オプト(現デジタルホールディングス)の投資チームおよびBonds Investment Groupでパートナーを務めていた細野尚孝氏、日野太樹氏が独立し、新たにベンチャーキャピタル「BIG Impact」を立ち上げたことを8月1日に発表した。

Manabie、3億円の資金調達を実施

シンガポールに拠点を構え、教育機関のDXを推進するプロダクト開発・サポートを提供するManabieは8月1日、子会社であるManabie Japanを通じ、あおぞら企業投資を引受先とするManabie Japan合同会社第1回無担保普通社債およびManabieからワラント(新株予約権証券)を発行することにより3億円の資金調達を実施したことを発表した。

TMIK、AI楽曲作成サービスをリリースし8000万円の資金調達を実施

1000組を超えるアーティストへの楽曲提供・プロデュースを手がけている音楽クリエイター集団・agehasprings代表であり、現役の音楽プロデューサーである玉井健二氏。玉井氏が代表取締役CEOを務めるスタートアップ・TMIKが8月1日、AI楽曲作成サービス「FIMMIGRM(フィミグラム)」をリリース。あわせて、エンジェルラウンドで8000万円の資金調達を実施したことを発表した。

VideoTouch、7億円の資金調達を実施

マニュアルなどの動画制作・共有サービス「VideoTouch」を展開するViibarは8月2日、フェムトパートナーズ、プレイドの2社を引受先とする第三者割当増資により7億円の資金調達を実施。あわせて社名をVideoTouchに変更したことを発表した。

スプレッド、総額40億円の資金調達を実施

次世代型の自動化植物工場「テクノファームけいはんな」などを運営するスプレッドは8月2日、事業会社およびエンジェル投資家を引受先とした第三者割当増資により、シリーズAラウンドで総額40億円の資金調達を実施したことを発表した。

Yoom、8.4億円の資金調達を実施

さまざまなSaaSを連携したデータベースをノーコードで作成し、複数のSaaSをまたいだ業務フローを自動化するデータベース型のiPaaS「Yoom(ユーム)」を展開するYoomは8月2日、株主割当増資により8.4億円の資金調達を実施したことを発表した。同社は7月29日付でTimeTechnologiesからYoom事業を譲り受けている。

Varinos、6億円の資金調達を実施

ゲノムテクノロジーを用いた遺伝学的検査を開発・臨床実装するVarinosは8月3日、既存投資家のAngel Bridge、SMBCベンチャーキャピタル、みやこキャピタルに加え、新規投資家のファストトラックイニシアティブ、三菱UFJキャピタル、MTG Ventures、Sony Innovation Fundを引受先とした第三者割当増資により、シリーズCラウンドで6億円の資金調達を実施したことを発表した。

エステートテクノロジーズ、約5億円の資金調達を実施

AIによる不動産情報提供サービスなどを展開するエステートテクノロジーズは8月3日、既存投資家の伊藤忠テクノロジーベンチャーズに加え、新規投資家のグローバル・ブレイン、みずほキャピタルを引受先とした第三者割当増資により、約5億円の資金調達を実施したことを発表した。

ミツモア、総額23億円の資金調達を実施

オンラインでの見積もり比較・受発注サービス「ミツモア」、フィールドサービス事業者向けSaaSプロダクト「MeetsOne」を展開するミツモアは8月4日、Eight Roads Venturesをリードインベスターとして、新規投資家のMPower Partners、三菱UFJキャピタルに加え、既存投資家のAngel Bridge、WiLを引受先とした第三者割当増資により、シリーズBラウンドで総額23億円の資金調達を実施したことを発表した。

mish、総額2億円の資金調達を実施

動画チャンネル運営者のためのメンバーシップ作成サービス「mish」を提供するmishは8月4日、既存投資家のANRI、千葉道場ファンド、デライト・ベンチャーズに加え、新規投資家のSBIインベストメントを引受先とした第三者割当増資により、プレシリーズAラウンドで総額2億円の資金調達を実施したことを発表した。

プレティア・テクノロジーズ、総額約7億円の資金調達を実施

ARクラウドプラットフォーム「Pretia」を展開するプレティア・テクノロジーズは8月4日、SBIインベストメント、電通グループ、小学館、アダストリア、SMBCベンチャーキャピタル、エンジェル投資家を引受先とした第三者割当増資によって総額約7億円の資金調達を実施したことを発表した。