
- Acompany、EAGLYS、LayerXが「プライバシーテック協会」を設立
- その他のスタートアップニュース
企業がプライバシー保護の観点からデータの取り扱いに慎重さを求められるなか、それをテクノロジーで解決する「プライバシーテック」に注目が集まっている。8月24日、プライバシーテックの社会実装を推進するべく、国内スタートアップのAcompany、EAGLYS、LayerXの3社が「プライバシーテック協会」を設立したことを発表した。
今週(8/20〜8/26)の「スタートアップ最新動向-Weekly SIGNAL」では、プライバシーテックとは何なのか、そこで使われる技術や各スタートアップの取り組みを紹介する。
Acompany、EAGLYS、LayerXが「プライバシーテック協会」を設立
8月11日、米連邦取引委員会(FTC)は企業が消費者情報を商用利用するにあたって、そのデータのセキュリティを厳しく取り締まる規制を検討し、パブリックコメントを求めると発表した。2018年には欧州連合(EU)が一般データ保護規則(GDPR)を施行。日本でも2022年4月に改正個人情報保護法が施行されるなど、企業が個人データを収集し活用するにあたり、プライバシー保護へより厳重に取り組むことが求められている。
こうしたなか注目されるのが、データのプライバシー保護をテクノロジーを用いて実現する「プライバシーテック」だ。プライバシーテックでは、データを暗号化したままで計算できる「秘密計算」や統計データにノイズを与えることで情報の特定を防ぐ「差分プライバシー」といった技術で、データのプライバシーを保護。保護されたデータは、企業間でそのデータを共有するなど、これまでになかったかたちでビジネスや社会での応用が可能となる。
これから重要性が増すことが見込まれるプライバシーテックだが、現状はその用語や技術領域の定義、現行法との関係など整備が行き届いていない。プライバシーテック協会は、その整理やルールメイキングの検討、提言をしていくという。
今回、協会の設立に名を連ねたのは、Acompany、EAGLYS、LayerXの3社。Acompanyは、秘密計算を用いて企業間のデータ連携を安全に行えるサービス「AutoPrivacy」を開発、提供。EAGLYSは、秘密計算を中心としたデータセキュリティ技術やAI解析技術の研究開発を行うほか、秘密計算ソフトウェア「DataArmor」シリーズを開発、販売する。LayerXは、独自開発のプライバシー保護技術「Anonify」で企業のデータ利活用を支援している。
協会の会長にはAcompany代表取締役CEOの高橋亮祐氏、理事にはEAGLYS代表取締役社長CEOの今林広樹氏と、LayerX執行役員兼PrivacyTech事業部長の中村龍矢氏が就任。またアドバイザーに、長年にわたり匿名化や秘密計算といった技術の研究や事業開発に取り組んできた竹之内隆夫氏、ひかり総合法律事務所パートナー弁護士の板倉陽一郎氏が就任している。
その他のスタートアップニュース
エキュメノポリス、総額4.5億円の資金調達を実施
会話AIエージェントを開発するエキュメノポリスは8月22日、Beyond Next Venturesを引受先とした第三者割当増資および2022年度のNEDO「シード期の研究開発型スタートアップに対する事業化支援」、NICT「Beyond 5Gシーズ創出型プログラム」の研究委託先への採択により、総額4.5億円の資金調達を実施したと発表した。
CBA、総額2.3億円の資金調達を実施
廃棄物処理業務を一気通貫で支援するクラウドサービス「CBA-wellfest」を開発・提供するCBAは8月22日、ジャフコ グループを引受先とした第三者割当増資により、シリーズAラウンドで総額2.3億円の資金調達を実施したことを発表した。
obniz、総額3.5億円の資金調達を実施
IoT開発のためのソフトウェアやクラウドサービス、ハードウェアを提供するobnizは8月23日、東京大学エッジキャピタルパートナーズ、Kajima Ventures、西武しんきんキャピタル、みずほキャピタルを引受先とした第三者割当増資および商工組合中央金庫からの融資により、シリーズBラウンドで総額3.5億円の資金調達を実施したことを発表した。
グロービス・キャピタル・パートナーズ、Astar Networkで開発のWeb3スタートアップを支援
グロービス・キャピタル・パートナーズは8月23日、パブリックブロックチェーン「Astar Network」を開発するシンガポールのStake Technologiesと連携し、Astar Networkのエコシステムでプロダクトを開発するWeb3スタートアップを対象にメンタリングや資金の支援を開始すると発表した。
bitFlyerがIEO事業に参入、bitFlyerとナナメウエがIEO実施に向けた契約を締結
bitFlyerは8月23日、IEO(Initial Exchange Offering:暗号資産交換業者を介した資金調達)事業に参入、通話コミュニティ「Yay!」を運営するナナメウエとIEO実施に向けた契約を締結したと発表した。これによりナナメウエは「Yay!」内で利用可能なトークン「YAY」の発行、bitFlyerは「YAY」の受託販売を目指すという。
メディカルフォース、総額6億円の資金調達を実施
美容クリニックや自由診療クリニック向けのクラウド型電子カルテ「medicalforce」を提供するメディカルフォースは8月24日、ALL STAR SAAS FUND、ANRIを引受先とした第三者割当増資により、シリーズAラウンドで総額6億円の資金調達を実施したと発表した。
LifeCoach、総額約1.2億円の資金調達を実施
次世代フィットネスジム「LifeFit」を運営するLifeCoachは8月24日、XTech Ventures、THE SEED、W ventures、メルカリ取締役President兼鹿島アントラーズ・エフ・シー代表取締役社長の小泉文明氏、セーフィー代表取締役社長CEOの佐渡島隆平氏を引受先とした第三者割当増資により、プレシリーズAラウンドで総額約1.2億円の資金調達を実施したことを発表した。
Vetanic、総額5億円の資金調達を実施
iPS細胞を用いた動物用再生医療技術を研究開発するVetanicは8月24日、慶應イノベーション・イニシアティブ、QBキャピタルおよびNCBベンチャーキャピタルが共同で運営するQB 第二号投資事業有限責任組合を引受先とした第三者割当増資により、シリーズAラウンドで総額5億円の資金調達を実施したことを発表した。
Levetty、総額1.3億円の資金調達を実施
パブリッククラウドのセキュリティリスク管理サービス「Cloudbase」を開発、提供するLevettyは8月24日、Arena Holdings、DNX Ventures、Delight Ventures、East Ventures、京都エンジェルファンド、その他複数の個人投資家を引受先とした第三者割当増資により、シードラウンドで総額1.3億円の資金調達を実施したことを発表した。