
- アンドパッドが122億円の資金調達、今後はM&Aも視野に
- Cygnos Capital、暗号資産トレーディングファンドの運用を開始
- その他のスタートアップニュース
小型SAR衛星の開発を手がけるSynspectiveの119億円、AI契約審査サービスを手がけるLegalForceが137億円、自動運転ソフトウェアを手がけるティアフォーの121億円──これらの超大型資金調達に続くかたちで、新たに総額122億円の資金調達を発表したのが、建設業界のDXを手がけるアンドパッドだ。
今週(9/10〜9/16)の「スタートアップ最新動向-Weekly SIGNAL」では、アンドパッドの122億円の資金調達のほか、暗号資産取引所・ビットバンクの元COOが立ち上げた暗号資産のトレーディングファンドについて取り上げる。
アンドパッドが122億円の資金調達、今後はM&Aも視野に
国土交通省が2021年に発表した「建設業の働き方改革の現状と課題」によれば、建設業の就業者の割合は55歳以上が約36%、29歳以下が約12%となっているなど、高齢化が進行している。また、紙などをベースとしたアナログなやり取りも多いためか、総実労働時間は、全産業と比較して360時間以上長い結果となっている。
そうした建設業界の現場をデジタル化し、効率化を進めていこうとしているのがアンドパッドだ。同社はアプリ上で施工管理の状況の確認や図面の共有、チャットでのコミュニケーションなどを可能にするプロジェクト管理サービス「ANDPAD」を展開している。2016年に提供を開始し、現在サービスの利用社数は14.5万社を突破しており、合計38.6万人以上の建設・建築関係者に利用されているという。
アンドパッドは2021年10月に世界最大規模のベンチャーキャピタルであるSequoia Capitalから出資を受けたことでも話題を集めたが、さらに成長を目指すべく、9月12日には総額122億円の資金調達を実施したことを発表した。
今回の資金調達はMinerva Growth Partnersをリード投資家とし、米国の機関投資家やT. Rowe Priceなど複数の投資家を引受先とした第三者割当増資のほか、三菱UFJ銀行と商工組合中央金庫からの融資をあわせたもの。それと同時に、アンドパッドは今後の戦略的投資方針を定めた「ANDPAD Second Act」も併せて公表している。
それによると、今回調達した資金は(1)人材基盤の形成に向けた採用・育成、(2)国内外からのエンジニアの採用、海外開発拠点の拡充、(3)顧客基盤の獲得およびプロダクトの獲得ならびに人材獲得を企図した買収・出資──などに活用するという。
建設業界のDXに取り組むスタートアップはアンドパッドに限らず、建設業向けのマッチングプラットフォームを展開する助太刀、施工管理アプリを手がけるフォトラクション、受発注マッチングサイトを手がけるクラフトバンクなど、さまざまなプレーヤーがいる。今回、総額122億円を調達したアンドパッドは事業戦略としてM&Aも視野に入れており、今後建設スタートアップの合従連衡が進んでいく可能性が高い。
Cygnos Capital、暗号資産トレーディングファンドの運用を開始
国内の暗号資産取引所「ビットバンク」で執行役員COOを務めた三原弘之氏が立ち上げた、シンガポール拠点のファンド運営会社・Cygnos Capital。同社は9月15日、暗号資産トレーディングファンド「Cygnosファンド」の運用を開始したことを発表した。
今回、日本国内外の適格機関投資家・特例業務対象投資家等向けのドル建てファンド「Cygnosファンド I」、日本国外の認定投資家向けのクリプト建てファンド「Cygnosファンド II」の2つを立ち上げている。同社は金融庁への適格機関投資家等特例業務の届出を完了したことで、正式に運用開始となった。
PwCのレポートによれば、クリプトヘッジファンド全体のAUM(運用資産残高)は2020年の38億ドル(約5000億円)から8%増加し、41億ドル(約5435億円)となるなど年々成長を遂げている。その一方で、日本人が海外のクリプトヘッジファンドに投資する機会がなかったことから、Cygnos Capitalが日本の規制や海外の規制を遵守したかたちで、暗号資産トレーディングファンドを立ち上げることにしたという。
その他のスタートアップニュース
エマルションフローテクノロジーズ、4.5億円の資金調達を実施
日本原子力研究開発機構発のレアメタルリサイクルベンチャー・エマルションフローテクノロジーズは9月13日、既存投資家のリアルテックファンドをリード投資家とし、本田技研工業、SMBCベンチャーキャピタル、三菱UFJキャピタル、KDDI Green Partners Fund、岡三キャピタルパートナーズを引受先とする第三者割当増資によって、シリーズAラウンドで4.5億円の資金調達を実施したことを発表した。
ギフトパッド、シリーズCラウンドで総額11億円の資金調達を実施
オンラインギフトプラットフォームを軸に複数の事業を展開するギフトパッドは9月13日、シリーズCラウンドのセカンドクローズで博報堂DYベンチャーズを引受先とする第三者割当を実施した。ギフトパッドでは先月に総額10億円の資金調達を発表しており、シリーズCラウンドの累計調達額は11億円となった。
MOON-X、シリーズBセカンドクローズで15億円の資金調達を実施
クラフトビールブランドなどを筆頭に複数のD2Cブランドを展開するMOON-Xは9月13日、日本グロースキャピタル投資法人を引受先とした第三者割当増資により、シリーズBラウンドのセカンドクローズで15億円の資金調達を実施したことを発表した。
PharmaX、約5億円の資金調達を実施
かかりつけオンライン薬局「YOJO」を運営するPharmaXは9月13日、KDDI Open Innovation Fund 3号、ANRI、グロービス・キャピタル・パートナーズを引受先とした第三者割当増資により約5億円の資金調達を実施したことを発表した。
アスエネ、シリーズBセカンドクローズで約7億円の資金調達を実施
CO2排出量の見える化・削減SaaS「アスゼロ」を展開するアスエネは9月14日、Salesforce Ventures、SBIインベストメント、GLIN Impact Capital、Tybourne Capital Managementを引受先とした第三者割当増資、日本政策金融公庫、りそな銀行、三菱UFJ銀行から融資をあわせてシリーズBラウンドのセカンドクローズで約7億円の資金調達を実施したことを発表した。
アルバトロス・テクノロジー、総額1億円の資金調達を実施
洋上風力発電に活用できる浮体式の垂直軸型風車(Floating Axis Wind Turbine: FAWT)を開発するアルバトロス・テクノロジーは9月14日、ジェネシア・ベンチャーズを引受先とした第三者割当増資により総額1億円の資金調達を実施したことを発表した。
パートナーサクセス、約2.2億円の資金調達を実施
ベンダー(製造元)とパートナー(代理店)をつなぐPRM(パートナーリレーションシップマネジメント)ツール「PartnerSuccess」を展開するパートナーサクセスは9月14日、グローバル・ブレイン、B Dash Venturesなどを引受先とした第三者割当増資によりプレシリーズAラウンドで約2.2億円の資金調達を実施したことを発表した。
immedio、約1.5億円の資金調達を実施
ウェブフォーム連動型の商談獲得自動化サービス「immedio」を展開するimmedioは9月14日、DNX Ventures、デライト・ベンチャーズ、Sansanなどを引受先とした第三者割当増資により約1.5億円の資金調達を実施したことを発表した。同社はデライト・ベンチャーズが手がけるEIR(Entrepreneur in Residence、客員起業家制度)を経て立ち上がったスタートアップ。代表の浜田英揮氏は三井物産出身ということもあり、元ディー・エヌ・エー以外のEIRとしては第1号案件となっている。
Datable、総額2.25億円の資金調達を実施
SaaS企業のインテグレーション開発を支援するサービス「datable」を展開するDatableは9月14日、ALL STAR SAAS FUND、mint、複数の個人投資家を引受先とした第三者割当増資によりシードラウンドで総額2.25億円の資金調達を実施したことを発表した。
ROMS、総額約12億円の資金調達を実施
ロボティクスを活用した小売業向け自動化ソリューションを提供するROMSは9月14日、既存投資家のDNX Venturesをリード投資家とし、総額約12億円の資金調達を実施したことを発表した。
ソーシャルインテリア、総額約13.3億円の資金調達を実施
家具のサブスクリプションサービスなどを展開すソーシャルインテリアは9月15日、ロッテベンチャーズ・ジャパンなどを引受先とした第三者割当増資、金融機関からの融資をあわせて総額約13.3億円の資金調達を実施したことを発表した。