
世界トップクラスのプロサッカー選手の1人でパリ・サンジェルマンに所属する、アルゼンチン代表のリオネル・メッシ氏。11月より開催のFIFAワールドカップカタール2022が直近に迫る中、投資会社を設立し、スタートアップ投資に踏み込んだことを明かした。Bloombergなどが米国時間10月19日に報じた。
メッシ氏はサンフランシスコを拠点とする投資会社・Play Timeを設立。同社を通じて、スポーツ、メディア、テクノロジーといった領域でグローバルに投資していく。また、Play Timeではサッカーチームや、サッカーテック領域に関心のある起業家なども支援していく予定だという。
Play Timeではすでに、スポーツゲームを開発するMatchday、サッカーユニフォームなどのオークションアプリを展開するAC Momentoに投資を実施しているという。Play Timeを運営するのは米ベンチャーキャピタル・Graph Venturesのパートナーであるラズミグ・ホヴァギミアン氏。ホヴァギミアン氏は前述のMatchdayの共同創業者でもある。
世界を見渡すとスタートアップに投資するプロスポーツ選手は多い。例えばバスケットボール選手のレブロン・ジェームズ氏、スノーボーダーのショーン・ホワイト氏、テニス選手のセリーナ・ウィリアムズ氏などは投資家としての顔も併せ持つ。
ウィリアムズ氏は米国時間10月19日、米スタートアップメディア・TechCrunchが主催するカンファレンス「TechCrunch Disrupt 2022」に登壇し、自身の投資家としての経験について語っている。同氏は投資会社・Serena Venturesを2014年に設立。8月にはテニスプレーヤーを引退し、VCとしてのキャリアに専念していくことを明かしている。
今なお白人男性が力を握るVC業界では珍しく、Serena VenturesのLP(Limited Partner:有限責任組合員)の約40%は女性、もしくは有色人種だ。同社ではプレシードからシリーズAの、主に一般消費者向けプロダクトを開発するスタートアップへの投資に注力しているという。
「私たちが消費者向けの技術に多くの時間を費やしているのは、私たちが奉仕したいコミュニティのために製品を作りたいからです。私たちは、医療制度におけるジェンダーや人種の公平性、メンタルヘルスやウェルネスに多くの時間を費やしています。これらは、どの地域でも直面する問題ですが、特に女性や有色人種は、十分なツールやサービスがないのが現状です。ですから、私たちはこの問題に真剣に取り組んでいます」(ウィリアムズ氏)
日本でも、サッカープレーヤーの本田圭佑氏が2016年に投資会社・KSK Angel Fundを立ち上げ、スタートアップへの投資を実施してきた。同氏はつい先日、海外の著名人が自身の投資ファンドを立ち上げる際のLP出資に特化した新ファンド、XPV Circle Fundの立ち上げも発表している。
プロスポーツ選手以外に、レオナルド・ディカプリオ氏やロバート・ダウニー・Jr.氏といったハリウッド俳優らも、スタートアップ投資家として知られている。こうしたセレブが出資することで、起業家は金銭面だけでなく、認知度向上といった面でも恩恵を得られる。例えばディカプリオ氏は米グロースキャピタル・Princeville Capitalが運営する気候変動技術ファンドのアドバイザーも務めている。
単に資金源としての役割だけでなく、世界の多くの人々が、環境配慮、SDGsやESG投資など、社会的課題の解決を目指す新たなテクノロジーを知り、触れる機会を得ることにつながる点も、セレブの投資活動が果たす役割の1つと言えるだろう。