
2022年、テクノロジー業界で最も話題となったニュースの1つとして間違いなく挙げられるのが、イーロン・マスク氏によるTwitterの買収劇だろう。
マスク氏は4月にTwitterの筆頭株主となり、取締役に就任した直後に辞任。同社の買収を持ちかけた。その後も紆余曲折があり、米国の人気テックメディア・The Vergeは同氏に関する情報に特化した「This Week in Elon(今週のイーロン)」と題するニュースレターの配信を始めたほどだ。
マスク氏にTwitterを買収する意志があるのかないのか、疑問を世間が抱く中で10月25日(以下、すべて米国時間)、同氏が28日までにTwitterの買収を完了させるとの報道が駆け巡った。同氏は26日には、サンフランシスコにあるTwitter本社に流し台(sink)を持ち込む自身の映像とともに、「let that sink in!(じっくり考えてみて!)」という意味深なメッセージをツイート。Twitterのプロフィール文には「Chief Twit(Twitterのトップ)」という肩書きが記されていた。
Entering Twitter HQ – let that sink in! pic.twitter.com/D68z4K2wq7
— Elon Musk (@elonmusk) October 26, 2022
エキセントリックかつ予測不可能な言動で知られるマスク氏。果たしてTwitter買収は本当に28日に完了するのか。現在に至るまで、二転三転してきた、その経緯を時系列でまとめた。
マスク氏のTwitter“買収劇”を時系列で解説
4月5日:Twitterが、マスク氏の取締役就任を発表。4月4日にはマスク氏がTwitter株の9.2%を取得して筆頭株主となったことが明らかとなっていた。Twitter CEOのパラグ・アグラワル氏はTwitterで「ここ数週間、マスク氏との会話を重ね、彼がTwitterの取締役会に大きな価値をもたらしてくれると確信しました。彼はTwitterの熱心な信者、かつ強烈な批評家でもあるため、我々にとって欠かせない存在だと言えるでしょう」とコメントした。
I’m excited to share that we’re appointing @elonmusk to our board! Through conversations with Elon in recent weeks, it became clear to us that he would bring great value to our Board.
— Parag Agrawal (@paraga) April 5, 2022
4月11日:Twitter CEOのパラグ・アグラワル氏が、マスク氏が取締役の就任を辞退したことをTwitterへの投稿で明らかにした。マスク氏は4月9日付けでTwitter取締役に就任する予定だったが、マスク氏は当日の朝になって、辞退する意向を示したという。
Elon has decided not to join our board. I sent a brief note to the company, sharing with you all here. pic.twitter.com/lfrXACavvk
— Parag Agrawal (@paraga) April 11, 2022
4月14日:マスク氏がTwitterを1株54.20ドル(当時の為替レートで約6790円)で買収すると提案したことが、Twitterが米証券取引委員会(SEC)に提出した資料から明らかとなった。
4月25日:Twitterを440億ドル(約5兆6000億円)で買収するというマスク氏の案に合意したことを、Twitterが明かした。買収は年内に完了し、その後は非上場化が行われる見込みだと報じられた。
5月13日:マスク氏がTwitterの買収手続きを「一時保留」する考えを示した。スパムや偽のアカウントの数を確認することなどを理由として挙げた。
Twitter deal temporarily on hold pending details supporting calculation that spam/fake accounts do indeed represent less than 5% of usershttps://t.co/Y2t0QMuuyn
— Elon Musk (@elonmusk) May 13, 2022
6月6日:スパムや偽のアカウントの数を確認するために必要な情報の提供が「不十分」として、マスク氏がTwitterの買収を取りやめる可能性を示唆した。
7月8日:マスク氏がTwitterの買収契約を一方的に解除しようとしていることが、SECに提出された書類から明らかになった。
7月12日:マスク氏による買収契約の解除は不当として、Twitterがデラウェア州の裁判所に提訴した。
10月4日:マスク氏がTwitterに買収を再提案。買収額は当初提示した440億ドル。双方は同月中に法廷で争う予定だった。マスク氏は「Twitterの買収は、万能アプリ『X』を作るための加速装置」とツイートした。
Buying Twitter is an accelerant to creating X, the everything app
— Elon Musk (@elonmusk) October 4, 2022
10月20日:マスク氏は買収の成立後、Twitterの7500人もの従業員の75%にあたる約2000人を解雇する方針であることを、米新聞社・The Washington Postが報じた。
10月25日:マスク氏がtwitter買収の大詰めの段階に入っており、買収資金の調達を支援する銀行団に対し、10月28日までに買収を完了することを伝えた。Bloombergが報じた。
10月26日:マスク氏がTwitter従業員に、全社員の75%を解雇する予定がないことを伝えたと、Bloombergが報じた。
マスク氏は、弁護士や銀行による書類の最終確認を経て、ニューヨーク時間の10月28日午後5時(日本時間29日午前6時)までにTwitterの買収を完了させる見込みだ。
(編集部追記:10月28日10時56分)マスク氏によるTwitter買収が10月27日に完了したことを、複数の欧米メディアが伝えた。