ShiruBe代表取締役の上館誠也氏
ShiruBeの上館誠也氏

連載「アニマル・スピリット最前線」では、ノンフィクションライターの石戸諭氏がアニマル・スピリット──つまり溢れんばかりの好奇心に突き動かされる人たち、時には常識外とも思えるような行動を起こす人たちの思考の源泉に迫っていきます。第4回に話を聞いたのは、ShiruBe上館誠也氏です。

「僕は旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の信者を親にもつ二世として生まれました。信仰はとっくにありません。教義を超えるために必要だったのは、僕自身が考えることだった。人間が考え続けてきた学問である『哲学』をビジネスに使いたいという発想は、間違いなく僕の生まれ育った環境とつながっています」

ビジネスパーソンが仕事上の悩みを「哲学者」との対話(1on1)などを通じて、ビジネスに還元していくというマネジメントプラットフォーム「哲学クラウド」を提供するShiruBe代表取締役の上館誠也氏はこう語る。哲学クラウドでは従業員やチームの悩みを言語化し、それを哲学者が分析する。その後、チームの理想的な状態やそれぞれが納得できる目標とは何かを哲学者を交えて、ビジネスパーソン自身が考えていく──これが基本的なサービス内容だ。

生い立ちと一風変わったビジネスとを結びつけて語られることは、もしかしたら上館氏にとっては不本意かもしれない。だが、彼の存在は少なくない二世信者やカルト宗教と向き合う上でも、なにより自分が感じた"不”を解決していくというスタートアップビジネスにとっても重要な考え方になると思う。

なぜ彼が哲学をビジネスにしたのか。ひも解いていこう。