
Visaプリペイドカードと家計簿アプリを組み合わせることで、ワンストップでの支出管理を実現する「B/43」。サービスを提供するスマートバンクは12月14日、親子向けに支出管理が可能なVisaプリペイドカードの提供を開始した。
B/43は毎月の予算をプリペイドカードにあらかじめチャージし、日々の決済をカードで行うだけで、アプリ上で支出の明細を確認できるサービスだ。アプリでは毎月の予算の設定のほか、目的別の資金管理、後払いチャージなどの機能も提供する。
2021年4月に個人向けカードの提供からスタートし、同年7月にはパートナーとの利用を想定したペアカードの提供を開始。ペアカードが利用をけん引し、月間決済金額は10億円にのぼる(アプリダウンロード数等は非公開)。2022年6月にICチップ付きのVisaプリペイドカードに刷新して、さらに利用金額は増加傾向にあるという。
今回、ペアカードに次いでジュニアカードの提供に至った背景についてスマートバンクでは、2つの課題があると説明する。
1つ目は、既存のキャッシュレス決済手段では、お金の管理ができないこと(未成年のキャッシュレス決済手段が限定されており、また交通系ICカードなどは支出の確認が難しい)。2つ目は、子どもが使えるクレジットカードの選択肢がほぼなく、一方でキャッシュレス決済が進んでいること(カード決済が必須な際に親のカードで決済せざるを得ない。PCやスマホに残った親のカード情報を使用するケースがあるなど)。実際に子どもが自身のカードを所有することで、キャッシュレス時代に適したお金の管理スキルの習得もサポートしたいとした。
カードの利用は無料。ただしICチップ付きカードの発行手数料として500円がかかる。また2023年夏頃にはレポート機能などを含む大型アップデートを計画しており、アップデート後は有料提供する予定だ。

フリマアプリ開拓者は「カード決済」にチャレンジするメルカリをどう見ているか
スマートバンクの代表取締役である堀井翔太氏は、フリマアプリの草分け的存在である「Fril(フリル、現・楽天ラクマ)」の生みの親。かつてフリルは後発のメルカリと競い合ったが、メルカリも「メルカード」でクレジットカード事業に参入したばかりだ。
プリペイドカードとクレジットカードで直接競合するわけではないが、再び近しい領域での事業展開をすることを堀井氏はどう考えているのか。質問したところ、以下のような回答があった。
楽天、Yahoo!といった大手のECサービスがこぞって囲い込みも含めたポイント軸でのクレジットカードを発行しており、メルカードに関してはむしろ今までなかったのが不思議なぐらいでした。カードもJCBブランドから発行されており、初期に高いポイント還元率を実現されていたLINE Payカード(同じくJCBから発行されていた)のリリースを彷彿とさせました。
一方で決済自体はコモディティでもあり、ユーザーがカードを選ぶ理由もどうしても還元率が大きくなると思います。高い還元率自体は一時的な側面もあると思うので、長く使い続けてもらう上で、還元率以外の部分でどう差別化していくのかがポイントになるかと思います。
弊社は家計管理と共有口座をコアに家族世帯向けにサービス提供をしており、今回は直接、競合するような商品性ではないのですが、売上金で返済ができるなどメルカリらしいユニークなポイントで、囲い込み以上に新しいクレジット体験でユーザー層を拡大されるところに期待したいなと思っています。