カエカでは「話す力」をスコア化するオンライン診断サービスを開発している
カエカでは「話す力」をスコア化するオンライン診断サービスの開発に取り組む。約30分の口頭試験の結果を人とAIで分析し、独自のスコアを算出する仕組み

ビジネスパーソンにとって「話す力」は日々の業務に直結する重要なスキルだ。会議や商談、社内外での連絡や指示においてもコミュニケーションのやり方次第で仕事の結果は変わってくる。

それにも関わらず、このスキルを定量的に評価するための具体的な指標やツールはほとんどなく、感覚的に判断されることが多かった。

そこにテクノロジーと専門家の知見を掛け合わせて、話す力の定量化に挑んでいるのが2019年創業のカエカだ。同社では1月18日より、約30分間の口頭試験を通じてユーザーの話す力を診断する「kaeka score」の一般販売を始めた。

kaeka scoreは全10問で構成されるオンライン型の口頭診断サービス。たとえば「部署内の朝会で有意義な情報を提供する目的で、ニュース記事を要約した上で自身の意見を述べる」といったような、話す力を測るためのお題が順々に出題される。ユーザーはその回答をシステムに向けて話しながら診断を進める。

回答結果をもとに「言語力」や「構成力」、「話し方」の特徴量を可視化して100点満点のスコアを算出する仕組み。採点はAIと専門家の知見を組み合わせて実施する。利用料金は1回あたり2980円。希望者に対しては診断結果をもとに学習用のカリキュラムも提案する方針だ。

診断結果のイメージ
診断結果のイメージ。声の高さや間の取り方、話す速さなどが定量的にわかるほか、言語力や構成力が独自の項目で数値化されるのが特徴
カエカでは話す力を14の要素に分解し、各要素を向上させるためのトレーニングサービスを展開してきた。今回の診断サービスではこの内の7要素を分析できる
カエカでは「話す力」を14の要素に分解し、各要素を向上させるためのトレーニングサービスを展開してきた。今回の診断サービスではこの内の7要素を分析できる

カエカはスピーチライターの千葉佳織氏が2019年12月に立ち上げた。千葉氏は高校の部活動をきっかけに15歳から弁論に取り組み、全国大会では優勝を経験。新卒で入社したディー・エヌ・エーでは小説投稿サイトの企画職を経て、人事部で新卒採用を担当しながら社内スピーチライターとしてスピーチの執筆などの業務も担った。

カエカ創業後は「伝え方のトレーニング」を主軸に事業を展開。“伝える力の向上にフォーカスしたパーソナルジム”と言える個人向けのサービス「kaeka」「kaeka pro」に加えて、企業向けの研修事業なども運営してきた。

今回販売を始めたkaeka scoreは約3年間にわたってサービスを提供する中で蓄積してきた知見やデータを基に開発したもの。人の力にAIを組み合わせることで、定量的に診断することが難しかった“話す力”の数値化に取り組む。

これまではkaekaやkaeka proに組み込むかたちで一部の既存ユーザーへ試験的に提供しながら改善を重ねてきたが、経営者やビジネスパーソンなどからは「(話す力を)なんとなくではなく、定量的に分析できるので納得度が高い」といった点が評価を集めているという。

千葉氏によると過去にヒアリングを実施しても「話す力を診断できるサービス」に対するニーズは特に高かったそう。今回kaeka scoreを1つとサービスとして切り出すことで、より多くのユーザーが気軽に自身の話す力を試せるようにしたいという。