Image: sesame / Getty Images
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本連載では、現在シリコンバレーから米国、日本のスタートアップを支援するデライト・ベンチャーズ創業者・マネージングパートナーの渡辺大氏が、起業家が知っておくべき心構えや、資金調達時に注意すべき点などについて解説。第3回は、投資契約にまつわるさまざまなパーツをまとめた「ツールキット」の正しい理解の仕方、活用方法について論じる。

スタートアップ飛躍のカギは「ツールキット」の理解から

スタートアップ1社を成功させるためには、さまざまな立場の関係者(投資家・共同創業者・従業員)が一体となって、大きなイノベーションを起こすべく長期間にわたって協力する必要がある。資金調達にかかわる契約は、その関係者全員が利益を得るためのツールの集合体だ。

そのツールの1つ1つはユニークな役割を果たす上に、それぞれが相互に複雑に作用しあう。達成する目的ごとにツールを組み合わせてツールキットとして使うのだ。

ツールには例えば、先買権や、優先分配権、表明保証、そしてストックオプションなども含まれる。起業家がこのツールの1つ1つの役割を正確に理解せずに資金調達を進めると、結果的に経験豊かな投資家の思い通りになって、あとで後悔することになるだろう。

これらのツールの組み合わせの目的は、投資家のお金を預かったスタートアップが責任を持ってビジネスを進めていくことと、リスクをとって大きなイノベーションを起こすこと、この2つの最適なバランスを実現することだ。