
スタートアップ情報プラットフォーム「STARTUP DB」運営のフォースタートアップスは3月15日、「国内スタートアップ資金調達金額ランキング(2023年2月)」を発表した。2023年1月1日から2月28日までの期間を調査の対象としており、1位はシリーズGラウンドで100.8億円という大規模な資金調達を実施したアストロスケールホールディングス、2位は54.7億円のLayerX、3位は54億円のBaseconnectと続いた。
日本のスタートアップが立て続けに大型の資金調達を実施・発表する一方で、スタートアップ・エコシステムの梁山泊とも言える米シリコンバレーでは、スタートアップ向けの融資で中心的な役割を担っていたシリコンバレーバンクが経営破綻。現地スタートアップたちの運営に影を落としている。
今回の「スタートアップ最新動向-Weekly SIGNAL」では、今週(3/11〜3/17 ※一部は3/10)発表されたスタートアップの資金調達をはじめとするニュースから、注目すべきものをピックアップしてお届けする。
今週のスタートアップニュース
米スタートアップ融資の主役、シリコンバレーバンクが経営破綻
3月10日、スタートアップ向けの融資で中心的な役割を担っていた米カリフォルニア州本拠のシリコンバレーバンク(SVB)が、資金繰りの悪化により経営破綻した。同行の2022年12月末時点の総資産は約2090億ドル(約28兆円)だった。
SVBは顧客の預金をMBS(Mortgage Backed Securities、不動産担保証券)などで運用していたが、米連邦準備理事会(FRB)による金利引き上げで債券価格が下落。さらに、利上げで新規の資金調達が難しくなったスタートアップらが相次いで口座から預金を引き出した。現金確保のためSVBは債券売却による18億ドルの損失、合わせて22億5000万ドルの増資計画を発表したが、取り付け騒ぎに発展。急速に資金繰りが悪化し、SVBは経営破綻に至った。米連邦預金保険公社(FDIC)は同じく3月10日、SVBを管理下に置いたと発表。預金については全額補償する方針だ。
10X、総額15億円の資金調達を実施
小売向けECプラットフォーム「Stailer」提供の10Xは3月13日、静岡銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行、山梨中央銀行、Fivot、SDFキャピタル、Yoiiからの借入などにより、総額15億円の資金調達を実施したことを発表した。
Oriental Coffee Ventures、総額4000万円の資金調達を実施
コーヒーブランド「Lonich,」を運営、スペシャルティコーヒーの越境ECプラットフォーム「conee」を開発するOriental Coffee Venturesは3月13日、INNOVATIVE SEARCH FUNDを引受先とした第三者割当増資により、シードラウンドで総額4000万円の資金調達を実施したことを発表した。
エルティービー、総額8000万円の資金調達を実施
在日外国人向けのジョブマッチングサービス「TOKYO JOB」を運営するエルティービーは3月14日、グロービスなどが出資するKIBOW社会投資ファンド3号、カオナビ、ユナイテッド、ブライダル・イン・プロジェクトを引受先とした第三者割当増資により、プレシリーズAラウンドで総額8000万円の資金調達を実施したことを発表した。
ファンズ、総額約36億円の資金調達を実施
オンラインの貸付投資プラットフォーム「Funds」を運営するファンズは3月14日、既存投資家としてANRI、グローバル・ブレイン、B Dash Ventures、伊藤忠テクノロジーベンチャーズなど、新規投資家として楽天証券、韓国の生命保険会社大手・ハンファ生命の子会社であるHanwha Asset Management、Cygames Capitalなどを引受先とした第三者割当増資およびみずほ銀行、千葉銀行、商工組合中央金庫を対象としたデットファイナンスにより、シリーズDラウンドで総額約36億円の資金調達を実施したことを発表した。
OpenAI、新たな大規模言語モデル「GPT-4」を公開
米AI開発のOpenAIは米国時間の3月14日、大規模言語モデル「GPT-4」を公開した。GPT-4は、チャットボットAI「ChatGPT」のベースだった「GPT-3.5」から性能が大幅に向上。例えば司法試験の模擬試験を解答させたところ、GPT-3.5では受験者の下位10%程度のスコアだった一方、GPT-4は上位10%程度のスコアで合格したという。また、GPT-4ではテキストだけでなく画像による入力も可能となっている。現在は課金制の「ChatGPT Plus」に登録すると利用が可能だ。さらに同じく3月14日、Microsoftはすでに公開済みの検索エンジン「Bing」のチャットボットAIに、GPT-4を先行して活用していたことを明らかにした。
Things、総額2.2億円の資金調達を実施
製造業向けの製品開発情報管理プラットフォーム「PRISM」を提供するThingsは3月15日、グローバル・ブレインをリード投資家として、新規投資家のSMBCベンチャーキャピタル、静岡キャピタル、新生企業投資、PKSHA Capitalおよび既存投資家のANRIを引受先とした第三者割当増資により、プレシリーズAラウンドで総額2.2億円の資金調達を実施したことを発表した。
起業支援プログラム「1stRound」、新たに13大学での共催に
東京大学と東京大学協創プラットフォーム開発(東大IPC)、その他国内7大学共催の起業支援プログラム「1stRound」は3月15日、九州大学、慶應義塾大学、立命館大学、立命館アジア太平洋大学、早稲田大学がプログラムへ新たに参画すると発表した。
LexxPluss、総額約14.5億円の資金調達を実施
製造業や物流業向けに自動搬送ロボット、ロボットの制御システムを開発するLexxPlussは3月15日、新規投資家としてDRONE FUND、SBIインベストメント、日本政策投資銀行のVCであるDBJキャピタルなど、既存投資家としてインキュベイトファンド、三井住友海上キャピタルなどを引受先とした第三者割当増資により、シリーズAラウンドで総額約14.5億円の資金調達を実施したことを発表した。
Sales Navi、総額1.7億円の資金調達を実施
AIによる営業指導支援サービス「Sales Navi」を開発・提供するSales Naviは3月15日、ジェネシア・ベンチャーズを引受先とする第三者割当増資および融資により、シードラウンドで総額1.7億円の資金調達を実施したことを発表した。
ユニラボ、総額25.8億円の資金調達を実施
BtoBの一括見積もりサービス「アイミツ」などを運営するユニラボは3月15日、JICベンチャー・グロース・インベストメンツをリード投資家として、既存投資家のモバイル・インターネットキャピタル、Spiral Capital、UB Venturesを引受先とした第三者割当増資および日本政策金融公庫、SBI新生銀行、商工組合中央金庫などを対象としたデットファイナンスにより、シリーズCラウンドで総額25.8億円の資金調達を実施したことを発表した。
thestory、総額1.4億円の資金調達を実施
看護師特化のジョブマッチングアプリ「N/thestory」を運営するthestoryは3月15日、GxPartnersをリード投資家に、ドーガン・ベータ、ケップルキャピタル、メディヴァ、その他個人投資家を引受先として、シードラウンドで総額1.4億円の資金調達を実施したことを発表した。
エキサイトホールディングス、東証スタンダード市場へ新規上場承認
エキサイトニュースなどのメディア運営、インターネットサービスプロバイダや格安SIMサービスの提供、SaaS開発などの事業を展開するエキサイトホールディングスは3月15日、東証スタンダード市場への新規上場が承認されたと発表した。想定時価総額は約64億円、上場予定日は4月19日。エキサイトホールディングスは持ち株会社で、子会社のエキサイトは2018年7月、XTechによるTOB(株式公開買付け)で東証ジャスダック市場から上場廃止となっていた。2022年3月期の売上高は約71.3億円。