
AIを活用して、広告収益の最大化やウェブサイトの最適化を支援するサービスを手がけるFLUX。同社がDNX VenturesやArchetype Venturesを含む複数の投資家を引受先とした第三者割当増資と新株予約権付社債により33.5億円を調達した。金融機関からの融資なども含めたシリーズBラウンドの総額は44億円になるという。
FLUXでは日本語の自然言語処理技術や予測分析モデルを武器に、デジタルマーケティング領域を中心に複数のサービスを展開する。今後は既存サービスの強化に加えて、別領域にも事業を広げていく計画だ。
代表取締役の永井元治氏によると、すでに一部の顧客には「営業」の課題を解決するための仕組みなども試験的に提供し始めている。広告クリエイティブやコンテンツの自動生成など、生成AIを活用した機能開発などにも取り組むという。
FLUXは2018年5月の創業。“ノーコードAI”を軸としてデジタルマーケティングの領域で複数のサービスを手がける。
2019年にローンチした「FLUX AutoStream」はデジタルメディアの広告収益最大化や運用工数削減を支援するサービスだ。サイトにタグを入れるだけで使い始められるため、開発や運用の負担が少ないのが1つのウリ。特許も取得している「独自ID」によってCookieに依存することなくユーザーの行動を分析し、効果的なアプローチができる仕組みを作った。
FLUX AutoStreamは大手ビジネスメディアやテレビ局、新聞社などに導入が進んでおり、大量のデータを扱ってきた中で磨き上げた自然言語処理技術や予測分析モデルが強みになっているという。この1〜2年ほどはその基盤技術を使って、メディア向けだけでなく、広告主向けや全事業者向けのプロダクトの展開も進めてきた。
直近では同様の技術を他の領域にも広げ始めている。永井氏によると「セールスリードの角度の分析や、効果的な営業スクリプトの分析」など営業領域は特に引き合いが増えている。現段階で正式な製品化はしていないものの、一部の大手企業向けに試験的にサービスの提供を始めた。営業だけでなく、HRやCSなどの分野でも同じ分析技術が活用できるという。
広告やデジタルマーケティング、営業、HRなどは生成AIの活用が期待される分野だ。すでに海外では広告用のクリエイティブや営業メールを自動生成するようなサービスが登場してきており、FLUXとしても既存サービスを含めて生成AIの活用に取り組む。
FLUXでは今回調達した資金を用いて組織体制を強化するほか、他社のM&Aなども検討していくという。