
Visaプリペイドカードと家計簿アプリをセットにした支出管理サービス「B/43」が、有料プランの提供を開始した。
B/43は毎月の予算をあらかじめVisaブランドのプリペイドカードにチャージしておき、支払いで使用をすると、アプリに支出の明細がリアルタイムで反映されるサービス。家計簿を自動で記録する機能を備えており、簡単に支出管理ができるのが特徴だ。
一人用のマイカードと夫婦やカップルなど二人用のペアカードに加えて、2022年12月には親子用のジュニアカードをローンチ。“ファミリーファイナンス”の文脈で機能強化や利用用途の拡大を進めてきた。

サービス開始から約2年が経過し、現在月間のGMV(決済取扱高)は数十億円規模に成長。累計のダウンロード数も2023年5月時点で数十万件まで増えている。
運営元であるスマートバンク代表取締役の堀井翔太氏によると、特に好調なのがペアカードだ。ペアカード利用者は半年間の継続率が約7割と高い上に、アプリの利用が習慣化する中でB/43を用いて決済をする場面が増え、決済金額自体も伸びていくような構造ができているという。
今回提供を開始した月額480円の有料プラン「B/43プラス」は、家計管理を強化したメンバーシッププランという位置付け。第一弾として限定デザインのカードや複数の新機能を提供するほか、今後も継続的な機能追加を予定しているという。
第一弾では、支払い明細の振り分けや明細への画像添付、支出のカテゴリーのカスタマイズなどの機能を提供する。これらの機能は既存ユーザーからの要望なども踏まえて追加したもので、「(第一弾に関しては)ヘビーユーザー向けに、コアな機能をアップデートした」(堀井氏)という。

例えば通常のB/43の場合、1つの店舗での支払いは1つのカテゴリーに分類されるが、B/43プラスでは支払い明細をより細かく分類できるようになる。スーパーで食品と日用品をまとめて購入した場合、これまで「食品1200円」とあくまで1つのカテゴリで分類していたものが、「食品600円、日用品600円」と振り分けられるようなイメージだ。
またB/43の特徴的な機能として、目的ごとにお金を分けて管理できる「ポケット」機能がある。定番の使い方が“貯金”ポケットを作成し、余ったお金をこのポケット内に移して貯めていくというもの。ほかにも夏休みの旅行資金をペアで積み立てたり、車など大きな買い物のための資金を貯めたりするなど、ポケットは様々な用途で使われているという。
基本プランではポケットの作成上限数は3個までとなっていたが、B/43プラスでは10個まで作成できるようになる。

今回の有料プランは、スマートバンクにとって収益化の観点でも新たなチャレンジとなる。
B/43の主な収益源はカード決済時の手数料だが、堀井氏の話では「決済手数料はテイクレート(自社の取り分)が低いため、ここだけで黒字化をさせたり粗利を稼ごうとすると、とんでもない規模(の市場)を作らないといけない」構造になってしまうという。
「そのため海外で先行しているチャレンジャーバンクなどでは、決済手数料だけでなくユーザー課金や後払いを組み合わせて収益化をするのが鉄板の手法になっています。今回マネタイズのモデルをハイブリッドにしたことも1つのチャレンジで、ようやく少し海外の先行事例に追いついてきたというか、近いかたちのモデルを作れたと考えています」(堀井氏)
決済や支出管理に関連するFintechサービスについては日本でもUPSIDERやバクラク(LayerX)を筆頭に法人領域が賑わってきているが、スマートバンクとしては「得意な領域でもあるC向けのプロダクトを突き詰めていく」のが大枠の方針だ。
「海外ではスマホで体験が完結するモバイルバンキングが当たり前になってきている一方で、日本ではまだまだインターネットバンキングを使っている人がそこまで多くはありません。そのネットバンキング自体も(モバイル完結型ではなく)PCやブラウザベースのものが中心です。既存のネットバンキングよりも遥かに使いやすいモバイルバンキングを作り、市場をリプレイスしていくというのは、プロダクトの進化の方向性としても面白いのではないかと考えています」(堀井氏)