オンラインアシスタントサービス「My Assistant」 画像提供 : キャスター
オンラインアシスタントサービス「My Assistant」 画像提供 : キャスター

データ入力や資料作成、リサーチ業務、会食の予約など“ちょっとした日常業務”をリーズナブルな価格でオンラインアシスタントに依頼できる──。そんな特徴を持つ「My Assistant」が9月1日に再スタートをきった。

2019年1月に1件500円から利用できる単発型のサービスとして始まってから約1年半。本日から月額4万円の定額制モデルへとリニューアルをした。提供元のキャスターで取締役COOを務める森岡由布子氏は「オンラインアシスタントサービスをリーズナブルに使える仕組みを作ることで、日常の事務作業や苦手な業務を小ロットから気軽に依頼できるようにしたいと考えています」とその狙いを話す。

My Assistantでは月額4万円で20時間分の業務を依頼できる。依頼は専用のフォームから必要な情報を入力するだけでよく、進捗確認や依頼の修正・追加などの細かいやりとりにはSlackを使う。電話などのやりとりは不要だ。

対応可能な業務は文章や資料の作成から調べ物、日程調整などまで幅広い。1人のアシスタントが付くのではなく、依頼内容に応じて適切な担当者(キャスト)がマッチングされる仕組み。1つの依頼への対応が完了すると、次の業務を依頼することができる。

「My Assistant」 で依頼できる業務の例
「My Assistant」 で依頼できる業務の例

キャスターでは2014年から法人向けのオンラインアシスタントサービス「CASTER BIZ」を展開してきた。

同サービスは秘書、人事、経理、ウェブサイト運用など多様な業務を経験豊富なアシスタントにサポートしてもらえるのが特徴。30時間分の業務を月額9万6000円から依頼でき、近年はスタートアップや中小企業に加えて大企業での導入実績も増えてきている。キャスターが展開する全サービスの累計顧客数は約1700社に及ぶが、その多くがCASTER BIZのユーザーだという。

サービスを裏で支えるのはキャスター独自の研修を受け、試験に合格した専属の経験豊富なアシスタントたちだ。キャスターでは「リモートワークを当たり前にする」をミッションに掲げ、創業期からフルリモートワークで組織を運営。現在は700名以上のリモートワーカーが在籍しており、CASTER BIZを含む同社のサービスには欠かせない存在となっている。

加えてCASTER BIZでは顧客とアシスタントの間に専任のフロント(ディレクター)が入り、業務がスムーズに回るようにコントロールしている点もポイント。これらの仕組みによって顧客が高い質のサービスを、少ない負担で利用できるような環境を整えた。

ただフロントのスタッフを設けることは、その分だけ関わる人が増えるため価格が上乗せされるという側面もある。特に「量は少ないものの、毎月定期的に依頼したい業務がある」ようなユーザーにとって、月額10万円近くするCASTER BIZはハードルが高い。

そこでユーザーがよりカジュアルにオンラインアシスタントを活用できる選択肢として昨年1月に立ち上げたのがMy Assistantだ。同サービスではフロントのスタッフを介さない仕組みにすることで、CASTER BIZよりも利用料を抑えた。

「My Assistant」 の依頼フロー
「My Assistant」 の依頼フロー
進捗確認などはSlackを用いる
進捗確認などはSlackを用いる

主な利用者は企業で働くビジネスパーソンたち。リサーチや文章作成、データ入力、スケジュール調整など日々の業務の一部を依頼するケースを中心に、これまで1000人以上に使われている。

ユーザー数自体はものすごく大きな数とは言えないかもしれないが、リピート率が70%以上と高く、一度使ったユーザーの中には継続して利用する人も多い。一定のニーズがあることがわかり、今後さらに拡大していくことを見据えた時に、安定して対応できる体制を整備するためにも単発課金型から月額定額制への移行を決断した。

「自分の本業に多くの時間を使うために、細かい事務作業や苦手な業務をオンラインアシスタントに依頼したいという理由で使ってくださる人が多いです。特に月に数回ほどしか依頼したい業務が発生しないような場合、(CASTER BIZの)10万円だとどうしても価格がネックになって使えないという声も一定数ありました。My Assistantを通じて、そういった人たちが気軽にオンラインアシスタントサービスを使えるようにしていきたいと考えています」(森岡氏)

キャスターとしてはリーズナブルなMy Assistantから、手厚いサポートやオプションが充実したCASTER BIZの上位プラン(Executive Plan)まで複数のラインナップを設けることで、各ユーザーのニーズに合わせながらオンラインアシスタントを導入できる仕組みを広げていく計画。ゆくゆくはこれまで蓄積してきたデータやナレッジを活用して一部の業務を自動化するなど、人とテクノロジーのハイブリッドモデルへの進化も目指していくという。

オンラインアシスタントといえば法人向けのものが浸透している印象もあったが、近年は個人が月額数万円から使えるようなサービスもいくつか出てきている状況。「自分が得意ではない業務や負担になっている業務は、どんどんオンラインアシスタントに任せる」という考え方も今後さらに広がっていきそうだ。