
メンズスキンケアブランド「BULK HOMME(バルクオム)」の売上が好調だ。同ブランドを展開するバルクオムによれば、2020年7月~8月の売上は前年同月比で約200%以上を記録しているという。急成長の背景には、コロナ禍による「新しい生活様式の導入」や「在宅時間の増加」がある。
例えば、ZOOMなどを使ったオンライン会議によって自分の顔を見る機会が増えたり、常にマスクを着用していることで肌が荒れるケースが増えたりしている。その結果、スキンケアへの関心が高まり、BULK HOMMEを使って“自分磨き”を始める男性の数が増えている。また、バルクオム代表取締役CEOの野口卓也氏は「リアル店舗で購入していた人の多くがオンラインショッピングへ移行したことに加え、テレビCMによる認知拡大の効果が得られたことで売上が伸びたと思います」と分析する。
そんなバルクオムは2020年9月11日、ニッセイ・キャピタル、丸井グループ、DIMENSION、きらぼしキャピタルを引受先とした第三者割当増資および日本政策金融公庫などからの融資を合わせて総額約15億円の資金調達を実施したことを明かした。
今回、調達した資金は国内マーケティングのさらなる強化、CRM部門の体制強化、グローバル展開の推進に充てる予定だという。
「新型コロナウイルスの影響により、ライフスタイルが大きく変化したことで買い物もリアル店舗からオンラインに移行する消費者が増加しています。そこでさらなる新規顧客獲得のため、テレビCM やデジタル広告などのマーケティング施策を強化するほか、売上の急増による製品発送遅延やコールセンターやメールなどの問い合わせの未対応を防止するため、CRM部門の採用強化および規模拡大を行う予定です」(野口氏)

BULK HOMMEは2013年4月にTSUMO・JPのBULK HOMME事業部として事業を開始。その後、2017年に組織再編を経て、運営元がバルクオムとなっている。これまでに洗顔料、化粧水、乳液といったスキンケアアイテムのほか、シャンプー、トリートメントなどのヘアケア、ボディケアなどを展開。公式オンラインストアのほか、全国1000店舗以上の小売店・ヘアサロンで製品を販売している。
また、グローバル展開に関しては2017年にアジアへ進出。その後、日本企業としては初めてサッカーフランス代表のキリアン・エムバペ選手をグローバルアンバサダーに起用し、2020年5月にイギリス・フランスへ進出した。
「今後、グローバル展開については既存展開国の現地流通金額の拡大、また新規展開国に向けて、米国、欧州、アジア、東南アジア諸国などを視野にいれた提携戦略展開を進めていく予定です」(野口氏)

D2Cスタートアップとして、メンズスキンケア市場を開拓してきたバルクオム。ここ最近でハードワーカーのためのメンズスキンケアブランド「LOGIC(ロジック)」や、コーセーの子会社「コーセーコスメポート」からメンズスキンケアブランド「MAGNIFIQUE(マニフィーク)」、さらには元Facebook Japan代表の長谷川晋氏の新会社「MOON-X」が男性用スキンケアブランド「SKIN X」をスタートさせるなど、新たなメンズスキンケアブランドが続々と立ち上がっている。
そうした状況について、野口氏は「女性系で知名度を持つブランドがメンズラインを出すという文脈でも、スタートアップ的な文脈でも立ち上がるブランドの数が加速度的に増えていると感じます」と語った上で、次のように考えを語る。
「ブランド数が増えることに伴い、オンライン・オフラインそれぞれで展開の幅も広がり、結果としてお客様の選択肢が増えている状況にあると思います。直近はwithコロナとして自分磨きの文脈から、スキンケアやコスメに興味関心を寄せる人も増え、なおかつ可処分所得にも余裕が出ている(今まで使っていた交際費などが減った)状況において、実際に手に取り使用してみている方も増えているという印象です」
「メンズコスメ市場全体の文化醸成=男性が美容に手を出し、継続的に使うという文脈ではとても追い風を感じております。その一方で、事業者目線では数ある競合の中から選択してもらうようにブランドエクイティをあげていく必要があると感じておりますので、その点は戦略的に取り組んでいければと思っています」(野口氏)
創業時から「世界一のブランドをつくる」という目標を掲げているバルクオム。今回の資金調達で、その目標実現に向けて、さらにアクセルを踏んでいく。