10月第4週調達サマリー

国内最大級の成長産業領域向け情報プラットフォーム「STARTUP DB」。1万2000社を越える企業の情報を保有するSTARTUP DBのデータを元に、注目のスタートアップの資金調達情報をサマリ形式で紹介する。今回は10月4週の注目資金調達情報だ。

Idein

  • 調達額:20億円
  • 合計資金調達額:32億8900万円
  • 調達先:DG Daiwa Ventures / DGベンチャーズ / いわぎん事業創造キャピタル / アイシン精機 / グローバル・ブレイン / 伊藤忠テクノソリューションズ / 双日
  • 備考:DG Daiwa Venturesは、DG Lab 1号投資事業有限責任組合を通じて出資/グローバル・ブレインは、KDDI Open Innovation Fund3号を通じて出資/いわぎん事業創造キャピタルは、岩⼿新事業創造ファンド2号投資事業有限責任組合を通じて出資

高度なAI解析を利用したIoTシステムを手軽に安価に構築できる開発者向けのPaaS「Actcast」の提供を行っているスタートアップ。

同社は、パターン認識や信号処理の技術をセンシングへ応用し、実世界のあらゆる事柄をソフトウェアで扱うことができるようにすることを目標に、深層学習モデルによる推論の実行を高速化する最適化コンパイラ技術や軽量モデルの研究開発を行っている。同社の高速化技術を用いて市販の安価なコンピュータ上で学習済みモデルの推論を動かすことができるという。また、一般家庭でも手軽に高度なセンシング技術が利用できるようにするための自社製品・サービスの開発なども手掛ける。

2020年10月にはアイシン精機、グローバル・ブレイン、双⽇、DG Daiwa Ventures、DGベンチャーズ、伊藤忠テクノソリューションズ、いわぎん事業創造キャピタルを引受先に約20億円の資金調達を実施。本調達はActcastのさらなる事業拡大を目的に実施され、累計調達額は33億円となった。

みんな電力

  • 調達額:15億円
  • 合計資金調達額:32億1800万円
  • 調達先:ディップ / 丸井グループ / 日本政策金融公庫
  • 備考:プレシリーズCラウンドとして新株予約権付転換社債発行によって調達

再生可能エネルギーを活用した電力の供給事業等の事業を展開しているスタートアップ。

同社は、電力業界でも特に地球に優しい電力に注目をしており、産業用ソーラーのコンサル事業や、自然エネルギーに特化したポータルサイト、次世代につながるエネルギー分野の研究開発を行っている。2016年に発電者と生活者をつなぐ電力小売りサービス「顔の見える電力」を開始し、"納得感を持って選択する"という体験の提供にこだわっている。2020年には清潔な空気環境の選択につながる空気環境改善事業「みんなエアー」を展開。今後もソーシャル・アップデート・カンパニーとして、独自のブロックチェーン技術を基盤とした"顔の見えるライフスタイル"の実現を目指す。

2020年10月にはディップ、丸井グループ、日本政策金融公庫から資金調達を実施。この調達を通して、気候変動など地球規模での問題解決に向けて、脱炭素社会の実現に貢献する方針だ。

KOMPEITO

  • 調達額:3億6900万円
  • 合計資金調達額:10億5300万円
  • 調達先:いわぎん事業創造キャピタル

働く人と企業の健康を支援するオフィス向け野菜提供サービスを展開するスタートアップ。

「OFFICE DE YASAI」はオフィス内で食べられるハンディサイズの野菜・果物を中心に、新鮮でおいしいヘルシーフードを毎週企業のオフィス内に設置した冷蔵庫に届けるサービス。

企業の福利厚生費等を活用し、従業員は1パック100円程度でいつでも購入できる仕組み。ベンチャーからナショナルカンパニー、官公庁など幅広い企業に利用されるなど、顧客数・ラインナップ幅・品数ともに国内最大級を誇る。他にも農産物マッチングサービス、食に関するイベントを企画や運営。

2020年10月にはいわぎん事業創造キャピタルから4億円を超える追加出資を受け、同社提供のOFFICE DE YASAIの全国展開を進める。

フローディア

  • 調達額:1億8000万円
  • 合計資金調達額:36億1900万円
  • 調達先:日本政策金融公庫

メモリ製造に必要な工程・回路を、IP(回路ブロック、及び製法)としてライセンス提供することを主事業としているスタートアップ。

同社の強みは、回路設計と製造プロセスを含むIP技術全般をカバーしており、顧客の要求スペックに応じた最適メモリの開発が可能で、且つ次世代のIoT端末、自動車用高信頼性部品に最も適した組込型不揮発性メモリIPを提供できることだ。

2020年10月にはシリーズC投資ラウンドにて、帝⼈がリード投資家となり、TEL Venture Capital、みやこキャピタル、丸紅ベンチャーズ、NECキャピタルソリューション、IDATEN Venturesによる第三者割当増資による調達と日本政策金融公庫による融資によって総額12億円の資金調達を実施した。本調達により既存の組込メモリー事業を拡⼤していくと共に、新たにエッジコンピューティング側のAI演算に向け、単位消費電⼒あたりの演算能⼒が圧倒的に⾼い半導体デバイスを開発する方針。

トレードワルツ

  • 調達額:非公表
  • 合計資金調達額:非公表
  • 調達先:NTTデータ / 三菱UFJ銀行 / 三菱商事 / 兼松 / 損害保険ジャパン / 東京海上日動火災保険 / 豊田通商

貿易プラットフォーム「TradeWaltz」を開発するスタートアップ。

同社が提供するTradeWaltzは取引単位に原本保証された電子的な貿易書類の連関性を保持し、必要な時に、必要な人が、容易かつ安全に信頼できる情報にアクセスすることを実現した貿易プラットフォーム。同サービスにより、貿易に関わるすべてのデータを一元に電子データとして管理することが可能となり、貿易業務の作業量を大幅に削減することが見込まれている。

2020年10月にはNTTデータ、三菱商事、豊田通商、東京海上日動火災保険、三菱UFJ銀行、兼松、損害保険ジャパンから資金調達を実施。今年度末までにサービスの提供を開始して、国内外の顧客約400社を誘致することを目指している。また、東南アジアでも貿易取引のデジタル化に取り組む見込みである。