「ピップ ジースピナー」を手に持つピップ代表取締役社長の松浦由治氏(左)とブランド戦略本部の木下絵美氏(右)
「ピップ ジースピナー」を手に持つピップ代表取締役社長の松浦由治氏(左)とブランド戦略本部の木下絵美氏(右)

1972年の販売開始から約50年、肩こりや腰痛に悩む人たちに愛され続けてきた家庭用磁気治療器「ピップ エレキバン」(以下、エレキバン)。販売元のピップは応接室に鶴の絵や振り子時計を飾る昭和の雰囲気が残る企業だが、今年は野心あふれる新たな挑戦に臨んだ。これまでに積み上げてきた技術や知見を総結集し、ハイテクな“ガジェット”の販売に乗り出したのだ。

その新製品の名は「ピップ ジースピナー」(以下、ジースピナー)。内蔵のモーターで磁石を高速回転させることにより変動磁場を発生させ、貼り付けた部位のコリを和らげる。わずか15分でのボディーケアを可能にするガジェットだ。

ピップは10月よりクラウドファンディングの「Makuake」でジースピナーを先行販売。11月からは国内外の最新ガジェットを扱う小売店・b8taでの展示を開始するなど、まるでD2Cブランドのようなアプローチを繰り広げている。

ピップがジースピナーを展開する狙いについて、代表取締役社長の松浦由治氏、そしてブランド戦略本部の担当者たちに話を聞いた。

売上の約95%は卸売業──メーカー部門の強化を目指す

ピップのルーツは1908年に大阪府・大阪市で創業した藤本眞次商店にある。医療用品の卸売業者として創業したが、1967年にメーカー部門を立ち上げて今に至る。