自分の好みに合ったコーヒーが定期的に届くサブスクリプションサービス「PostCoffee」
自分の好みに合ったコーヒーが定期的に届くサブスクリプションサービス「PostCoffee」 すべての画像提供 : PostCoffee
  • “コーヒー診断”で自分好みのコーヒーが郵便ポストに届く
  • 丸井グループからの資金調達も実施、実店舗も絡めた顧客体験構築へ

オンライン上で実施する“コーヒー診断”を基に、自分の好みに合ったコーヒーが定期的に届くサブスクリプションサービス「PostCoffee(ポストコーヒー)」。2020年2月に正式版の提供をスタートした同サービスが国内外のロースター(コーヒー豆を焙煎して販売する事業者)とタッグを組み、事業を強化する。

1月26日より、PostCoffee内でGLITCH COFFEE & ROASTERSやCOFFEE COUNTYなど国内10カ所のロースターのコーヒー豆を取り扱う。それぞれのコーヒー豆はサブスク型のコーヒーボックスのラインナップに加わるほか、サイト上で単品購入することもできる。

今後は国内に限らず海外のロースターとも協業しながら、「世界中のコーヒーと出会えるマーケットプレイス」ヘと進化させていく計画だ。

“コーヒー診断”で自分好みのコーヒーが郵便ポストに届く

PostCoffeeは3種類のコーヒーが入った専用のコーヒーボックスが定期的に郵便ポストに届くサブスク型のサービスだ。

対象となる30種類以上のコーヒーは「スペシャルティコーヒー」と呼ばれる高品質なものだけ。ウェブ上で実施するコーヒー診断の結果を基に、コーヒーの種類だけでなく淹れ方やミルク・砂糖などのオプションも含めて自分好みにカスタマイズされるのが特徴だ。

コーヒーボックスの料金は月額1480円から。コーヒー豆の量やカスタマイズの内容、配送頻度によって料金が変動する(最小単位は各3杯分の約135gで月に1回)。フィードバック機能やリクエスト機能を通じて、ボックスの内容をアップデートしていくことが可能。各コーヒー豆は会員であれば単品で購入することもできる(一律1280円/150gで送料は無料)。

コーヒー診断の様子。味の好みではなく、ライフスタイルに関する質問が多いのも特徴だ
コーヒー診断の様子。味の好みではなく、ライフスタイルに関する質問が多いのも特徴だ
今回新たにラインナップに追加されたものも含め、各コーヒーは単品で購入することも可能だ
今回新たにラインナップに追加されたものも含め、各コーヒーは単品で購入することも可能だ

これまでは自社で選定・焙煎したコーヒーを提供していたが、今回からはパートナーシップを組む国内外のコーヒー屋のものもPostCoffee上で購入できるようになった。各ロースターのコーヒーは単品購入できるほか(これまで通り一律1280円で販売)、3種類のうちの1つとしてボックスに封入される可能性もある。

POST COFFEE代表取締役の下村領氏によると、ローンチ当初は外部のロースターとの協業を考えていたわけではなかったそう。コロナ禍でのロースターの現状やユーザーの声などが今回の取り組みのきっかけになったという。

「知り合いを介して、コーヒー屋が従来ビジネスの基盤にしていたカフェや飲食店など法人への卸が全然売れなくなったという話を耳にしたんです。PostCoffeeはサブスク型のサービスとしてコーヒーが欲しい人達との繋がりがあるので、両者を上手くマッチングすることでwin-winのエコシステムのようなものが作れないかと考えるようになりました」

「加えて、サービス開始当初から既存ユーザーへのヒアリングを続けてきた結果、『いろいろなコーヒーに出会えること』がPostCoffeeの1番の価値だと感じてもらえていることもわかっていました。(ユーザーのニーズを踏まえても)さまざまなコーヒーと繋がれる仕組みが必要だと思ったんです」(下村氏)

PostCoffeeとロースターとの間で中長期に渡って卸契約をすることになるため、事業者からの反応も良いそう。まずは以下の国内10のロースターから取引をスタートし、今後は海外のロースターも含めてパートナーを広げる。サブスクの利用者を拡大することで事業の基盤を固めつつ、将来的には開かれたマーケットプレイスとして展開していきたいという。

日本全国から厳選した10社のロースターのコーヒー豆がラインナップに加わった
日本全国から厳選した10社のロースターのコーヒー豆がラインナップに加わった
  • And Coffee Roasters(熊本県)
  • COFFEE COUNTY(福岡県)
  • Craftsman Coffee Roasters(山口県)
  • ETHICUS coffee roasters(静岡県)
  • GLITCH COFFEE & ROASTERS(東京都)
  • LEAVES COFFEE ROASTERS(東京都)
  • Life Size Cribe(東京都)
  • LIGHT UP COFFEE (東京都)
  • MANLY COFFEE(福岡県)
  • NAGASAWA COFFEE(岩手県)

丸井グループからの資金調達も実施、実店舗も絡めた顧客体験構築へ

コーヒーボックスのイメージ
コーヒーボックスのイメージ

PostCoffeeの正式ローンチが新型コロナウイルスが急拡大し始めた時期と重なったこともあり、「おうち時間を充実させるための手段の1つ」としてローンチ直後からユーザーを獲得することに成功した。

あくまで参考程度だが、ベータ版期間(2019年3月〜2020年1月)と比べて半年で会員登録数が10倍に拡大。リリース以降に実施したコーヒー診断の回数も累計10万回を突破している。

コーヒーボックスの組み合わせは約15万通りあり、各ユーザーごとに専用の商品を届けるためにはロジスティクスの整備が不可欠。この1年は今まで飲んだコーヒーをリスト化できる「コレクション機能」など要望の多かった機能の実装と並行して、サービスの使い勝手やパッケージの改善、ロジスティクスも含めた体制強化を進めてきた。

当初こそスペシャルティコーヒーになじみのあるような“コーヒーの上級者”がユーザーの中心になると考えていたが、実際に蓋を開けてみると普段はチェーン店などでコーヒーを購入している人も多く、想定よりも幅広いユーザーに使ってもらえているという。

PostCoffeeでは昨年2月に東京・目黒に焙煎所を備えた体験型のリアル店舗をオープン。店舗ではコーヒー診断を実施してプロのバリスタと一緒に自身に合ったコーヒーを選んだり、コーヒーの淹れ方を学んだりすることが可能だ。現在は土日のみの営業
PostCoffeeでは昨年2月に東京・目黒に焙煎所を備えた体験型のリアル店舗をオープン。店舗ではコーヒー診断を実施してプロのバリスタと一緒に自身に合ったコーヒーを選んだり、コーヒーの淹れ方を学んだりすることが可能だ。現在は土日のみ営業。

スペシャルティコーヒーを継続して自宅で楽しんでもらうべく、「コーヒライフのオンボーディング」の一環として、毎週土曜日にはプロのバリスタによるオンラインセミナーも実施しているそう。コロナ禍で稼働がかなり限定されたものの、昨年2月にオープンした実店舗での「コーヒー体験」の取り組みも続けてきた。

POST COFFEEでは12月に丸井グループの子会社であるD2C&Co.など複数社を引受先とした資金調達も実施している。コロナウイルスの状況を鑑みつつにはなるが、ゆくゆくは丸井グループとの協業を通じて各地のリアル店舗を活用し、「オンラインとオフラインがシームレスに繋がったユーザー体験の構築」にも力を入れていく方針だ。