5分で分かる携帯新プランまとめ
  • オンライン専用の「新ブランド」として登場
  • 店頭サポートやキャリアメールは無し
  • スマホを使いこなす人向け
  • 従来プランやサブブランドも目を向けてみて
  • ahamoは国際ローミング無料も魅力
  • povoは“トッピング”で差別化
  • ソフトバンクは「LINE」コラボが肝
  • 「シンプルさ」と「納得感」がある新プラン

携帯キャリア3社が発表したオンライン申込専用の新料金プラン。NTTドコモの「ahamo(アハモ)」、auの「povo(ポヴォ)」、ソフトバンクの「SoftBank on LINE」が2021年3月より提供される。

この新料金プランが適しているのはどんな人か、3社のプランの特徴を比較しながらまとめた。なお、この記事では触れていないが、楽天モバイルも1月29日に段階制の新プラン「Rakuten UN-LIMIT VI(アンリミット・シックス)」を発表した。

オンライン専用の「新ブランド」として登場

オンライン専用の「新ブランド」として登場

ドコモの「ahamo」の場合、サービス提供者はNTTドコモだが、マーケティング上は従来のdocomoブランドとは別のブランド「ahamo」を強調している。auの「povo」も同様。ソフトバンクはグループ傘下に加わったLINEブランドを活用した新しい料金プランを提供予定だ。

店頭サポートやキャリアメールは無し

店頭サポートやキャリアメールは無し

新プランは3社とも月20GBのデータ通信ができる「中容量」プラン。税抜3000円を切る割安な設定だ。さらに、「5G」にも追加料金なしで標準対応しており、5Gスマホと組み合わせれば高速な通信も利用できる。

一方、店頭での申込やサポートの利用はできず、キャリアメール(docomo.ne.jpなど)は提供されない。家族複数回線の割引や光回線とのセット割も無い。

また、新料金プランではセット販売されるスマホの品揃えが従来ブランドと異なる可能性もある。場合によっては、これまで使っていたスマホにSIMを差し替えたり、SIMフリースマホを別途購入するといった対応も必要になるだろう。

スマホを使いこなす人向け

スマホを使いこなす人向け

3社がメインターゲットとして意識するのは「20代のスマホネイティブ世代」だが、新プランに年齢制限はない。

ただし、ある程度、スマホを使いこなしているユーザーの方が適しているだろう。具体的には自分のスマホの契約内容や利用状況ををサポートページで調べることができるような人なら、問題なく契約できるだろう。

月20GBというデータ容量は、従来の使い放題プランで標準だった月7GBと比べれば余裕がある。そのため、動画アプリを多用するなど、スマホで多くのデータ通信を行う人に向いている。

従来プランやサブブランドも目を向けてみて

従来プランやサブブランドも目を向けてみて

新料金プランは、多くのユーザーにとって最適な料金になりそうな設定だが、他の料金プランが適している人もいる。

ネットでの手続きが難しい人は、店頭サポートが充実している大手3社のメインブランド(docomo、au、SoftBankブランド)を継続した方が良いだろう。安くしたいなら、UQモバイルやY!mobileなどの実店舗がある格安SIMも選択肢に入る。

また反対に、毎月20GBでは足りないほどモバイル通信を使っている人は、メインブランドで大容量プランを選択した方がストレスなく使えるだろう。メインブランドでなら家族割引や固定回線割引もあるため、家族で複数回線を契約するなら新料金プランと遜色ない料金となる可能性もある。

データ通信をほとんど使わない人は、小容量の段階制プランや、UQモバイルやY!mobileの小容量プランも適している。MVNOや楽天モバイルも選択肢に入るだろう。

ahamoは国際ローミング無料も魅力

https://twitter.com/katsuyasan88/status/1355018521265065988?s=21

新プラン競争の先陣を切ったNTTドコモの「ahamo」。月20GBのワンプランで2980円、5分間までの通話定額付きという内容だ。

従来の携帯料金で多かった期間限定の割引などを廃し、シンプルさ、わかりやすさを重視した内容だ。

5Gにも追加料金なしで対応し、テザリングの利用料も無料で、iPhoneなどが対応する「eSIM」の形式でも提供される。

さらにahamoでは、海外82の国と地域での国際データローミングがひと月あたり14日まで追加料金なしで利用可能だ。アメリカや欧州、中国、韓国などの日本人が多く滞在する国はおおよそカバーしている。この条件は3キャリアの発表が出揃ったサービス開始前の時点では、ahamoだけの特徴となっている。

なお、ahamoでセット販売されるスマホについては、現在NTTドコモが取り扱っているラインナップと異なり、ahamo専用のモデルも用意される見通しだ。docomoブランドのスマホはオンラインショップで単体購入してahamoで利用できるが、有料の「ケータイ補償サービス」は提供対象外となる可能性がある。

povoは“トッピング”で差別化

povoは“トッピング”で差別化

auが発表した「povo」は、“トッピング”機能で他社と差別化している。要するにオプションサービスだが、「5分かけ放題」もオプション扱いとしたことで、かけ放題なしなら月額2480円と“3キャリア最安”となる。

基本はシンプルに、自分にあったサービスを必要なタイミングで選んで付け足せるというトッピング機能はユーザーとしては納得しやすいものだろう。

トッピングでの注目は「24時間データ使い放題」(1回200円)。これを選ぶと月20GBの容量とは別枠で、データ通信を24時間の間は無制限で使える。たとえば旅先で撮った写真をまとめてバックアップするといった用途に適している。固定回線を引いていない一人暮らしなら、連続ドラマをスマホに一度にダウンロードして一気見するというシーンでも使えそうだ。

ソフトバンクは「LINE」コラボが肝

povoは“トッピング”で差別化

ソフトバンクが提供する新料金プランは、「Softbank on LINE」がコンセプトとされている。ただしこれは正式なプラン名ではなく、3月の提供開始時までに改めて発表する予定としている。

ソフトバンクグループでは傘下でYahoo! JAPANを運営するZホールディングスが、LINEとの経営統合を進めている。その統合の“シナジー”を、新料金プラン競争で活用したのが「Softbank on LINE」だ。なお、現在提供しているLINEモバイルは、新料金プランの提供開始にあわせて新規申込を終了する予定だ。

目玉は「LINEがギガノーカウント」。すなわち、LINEアプリでのトーク(チャット)や音声通話機能でデータ容量を消費しないというものだ。実際にはLINEの音声通話でデータ容量を大量消費するケースは少ないが、20GBの制限超過後もLINEは使えるという点で安心だ。

手続きはWebサイトのほか、LINEアプリから行える。LINEのトーク機能を利用してチャットで問い合わせが可能だ。

「シンプルさ」と「納得感」がある新プラン

「シンプルさ」と「納得感」がある新プラン

20GBの新料金プランが焦点となった今回の3キャリアの新プラン競争は、“携帯料金値下げ”を政策として掲げる菅義偉首相の意向を受けて、NTTドコモが仕掛けたものだ。

そのため、テレビや大手紙の報道では“官製値下げ”という視点から語られがちな傾向にある。しかし、3社が発表した新プランは、単なる値下げよりも「分かりやすさ」に配慮した点に意義がある。

携帯料金は過去の競争の経緯から、家族割引やキャンペーンなど、さまざまな値下げが登場する複雑な構成になってしまっている。このため、携帯ショップの店頭で説明を受けながら契約するものというイメージが定着してきた。

一方で、スマホを早くから使っている世代には、オンラインの手続きだけで多くをこなす人もいる。全国に数千店舗ある携帯ショップを維持するために割高な料金を負担する上で、店頭サポートを使わないユーザーにとっては不公平感が生じていた面もあるだろう。

そこでドコモがahamoを多くのユーザーにとって最適解となる料金を提示するため、月20GBの1つに集約し、複雑な割引も廃止、手続きもオンラインに絞り、サービスも絞りこんだ。

ソフトバンクやauも、分かりやすさは重視しつつ、独自の要素を追加してahamoに対抗してきた格好だ。料金をシンプルに、納得感が得やすいという意味では、いずれのプランもユーザーの期待に応えたものとも言える。