Y Combinatorが冬季デモデー開催

Airbnb、DoorDashやStripeなど今や著名な多くの有力スタートアップを輩出してきた米国の名門アクセラレーター、Y Combinator。シード期のスタートアップに少額を投資し、3カ月間で集中的に指導するプログラムを毎年2回、夏と冬に開催している。

コロナ禍で2020年夏季からはフルリモートでの開催となったY Combinatorだが、2021年冬季プログラムには過去最多となる350ものスタートアップが参加した。国外から参加したスタートアップの数も過去最多だ。

Y CombinatorのパートナーでCEOのMichael Seibel(マイケル・サイベル)氏いわく、冬季プログラムには41カ国からの参加があった。参加スタートアップの半数が米国外に拠点を置くという。インドからは43社、イギリスからは19社、メキシコからは14社、カナダからは13社、ブラジルからは9社が参加している。

参加スタートアップの半数が米国外に拠点を置く

「Y Combinatorの2021年冬季プログラムには1万6000ほどの応募があり、結果として41カ国から350社ほどを採択しました。我々の規模が拡大していて、より多くのスタートアップを採択していることに関して批判されることもありますが、過去3年間で応募数が倍増しているということを理解していただきたい」

「Y Combinatorは企業を急成長させ、世界を変えることを目指す起業家を支援するためのビジネスです。我々は規模を拡大させ、チャンスを与えるにふさわしい起業家を可能な限り多くサポートしていきたいと考えています」(Seibel氏)

Y CombinatorのパートナーでCEOのMichael Seibel氏
Y CombinatorのパートナーでCEOのMichael Seibel氏

Y Combinator プレジデントのGeoff Ralston(ジェフ・ラルストン)氏は「リモート展開することで参加を希望する海外の企業が増えました。結果として300社以上が参加し、2021年冬季プログラムはY Combinator史上最大の規模となりました」と述べた。

Y Combinator プレジデントのGeoff Ralston氏
Y Combinator プレジデントのGeoff Ralston氏

筆者は3月23日(米国時間)に開催された2021年冬季プログラムのデモデイに参加した。Seibel氏が言うとおり米国外のスタートアップが多く、約半数はB2Bのサービス。前回の2020年夏季プログラムと比較すると新型コロナウイルス関連のプロダクトが減り、ハイエンドな代替肉・培養肉スタートアップや、ECプラットフォームのShopify、銀行APIのPlaid、共同購入サービスの拼多多(ピンドゥオドゥオ)などを参考にしたサービスが多い印象を受けた。

詳細な内訳は以下のとおりだ。

  • BtoB:46%
  • フィンテック:15%
  • BtoC:14%
  • ヘルステック:12%
  • 産業向け:6%
  • エド(教育)テック:4%
  • 不動産・建築業界向け:3%

開催時刻は日本時間の深夜1時から朝9時半。時折休憩を挟むものの、8時間半で300以上ものスタートアップによるピッチを見るのは初めての体験で、筆者としても正直、苦痛を伴うものだった。筆者が特に注目したのはB2Cのプロダクトを開発する以下の5社だ。

Splitsub

Splitsub

インド発、サブスクリプションサービスの共同購入アプリ。共同購入により割引価格で商品が手に入る中国のEC「拼多多(ピンドゥオドゥオ)」と同じように、NetflixやSpotifyのようなサブスクサービスを共同購入することで、コストを最大80%節約できるという。

Splitsub

Orbillion Bio

Orbillion Bio

和牛、エルク(シカ科の動物)、ラム、アメリカバイソンの生肉を模した培養肉を開発。

Chums

Chums

ECモールのAmazonとSNSのFacebookが合体したようなアプリ。家族や友人とアドバイスし合いながら買い物ができる。

Chums

Camelan

Camelan

短尺動画を活用したマーケットプレイス。2020年3月にローンチし、特にペット用品の売買のために利用されている。誰から何を買っているのかが明確であることが動画の強みだと説明する。

Camelan

Origami

Origami

ロボットが寿司を握るレストランを展開。Origamiが開発したロボットは人間よりも3倍早く巻き寿司を巻くという。

Origami