KiteRaのメンバー。代表取締役CEOを務める植松隆史氏(写真左上)は、社会保険労務士として事業会社で働いていた経験を持つ
KiteRaのメンバー。代表取締役CEOを務める植松隆史氏(写真左上)は、社会保険労務士として事業会社で働いていた経験を持つ

日本でも特定の業界や産業の課題解決を目指す“バーティカルSaaS”を手掛けるスタートアップが広がってきている。

こうした企業の創業者には、もともと自らが業界内で働く中で直面した壁や痛感した煩わしさを打破するべく、起業を決断した人も少なくない。たとえば医師が医療機関の課題を解決するためのシステムを立ち上げる、弁護士が契約にまつわる業務の負担を軽減するSaaSを開発するといった形だ。

2019年4月創業のKiteRaもまた、そのような背景から設立された。同社の創業者で代表取締役CEOを務める植松隆史氏は、前職の事業会社で社会保険労務士(勤務社労士)として働いていた経験を持つ。

勤務社労士時代に感じた「煩わしい作業」をなくすべく起業

端的に言えば、KiteRaは社労士である植松氏が社労士の負担を軽減するために立ち上げた会社だ。

「前職時代に社内規定類の整理業務に携わっていたのですが、その作業が非効率で手間がかかっていました。規定はWordで作成されるケースが一般的なのですが、契約書と同じように独特な作り方になっているため、細かい編集作業が多い。しかも一度作って終わりではなく、法改正や会社の働き方、ルールが変わる度にメンテナンスが必要になります」